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会社設立を司法書士に依頼するといくら?|報酬の全国平均、資本金で変わる法定費用、外国人の場合に増える作業

会社設立を司法書士に依頼するといくら?|報酬の全国平均、資本金で変わる法定費用、外国人の場合に増える作業

最初に:どんな方に向けた記事か

日本で会社設立をする外国人で、司法書士に登記を頼むつもりはあるものの「全部でいくら用意すればいいのか」「見積もりの金額が事務所ごとに違うのはなぜか」が分からない方に向けて書いています。資本金を3,000万円にする予定の方が、費用をどう見込むかにも触れました。

外国人の経営者から予算の相談を受けた会計事務所や行政書士事務所の担当者、日本側の協力者として資金計画を手伝う方にも、数字の出どころを確かめる資料として使っていただけます。

金額は2026年10月時点の国税庁・日本公証人連合会・法務省の公表値と、日本司法書士会連合会が2024年3月に行った報酬アンケートの結果にもとづきます。報酬は各司法書士が自由に定めるもので、ここに書く平均は相場の目安にすぎません。

会社設立時に司法書士に依頼するといくらくらいかかるか:総額は3つの層で考える

司法書士に会社設立を依頼したときの費用は3つの層に分かれる
司法書士に会社設立を依頼したときの費用は3つの層に分かれる

関連する質問の「会社設立時に司法書士に依頼するといくらくらいかかりますか?」に答えるとき、まず分けておきたいのが費用の層です。司法書士に払う報酬、国や公証人に納める法定費用、証明書の取得や郵送・翻訳などの実費。見積もりに書かれた合計額は、この三つを足したものです。

このうち法定費用は、日本でどの司法書士に頼んでも、自分で本人申請をしても同じ額になります。事務所によって変わるのは報酬と実費の部分です。外国人の会社設立では、この実費と報酬の部分に、日本人の設立にはない作業が乗ってきます。

株式会社・電子定款・資本金3,000万円の場合の例。報酬は事務所が定め、実費は事案で変わります(2026年10月時点)
株式会社・電子定款・資本金3,000万円の場合の例。報酬は事務所が定め、実費は事案で変わります(2026年10月時点)

「会社設立◯万円」と大きく書かれた広告の多くは、報酬だけの金額です。比べるときは、法定費用を含むのか、実費はどこまで含むのかを必ず確かめてください。日本司法書士会連合会も、会則により報酬の額や算定方法、諸費用を明示し、依頼者との合意で決めることになっていると案内しています。

このセクションの根拠:日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」(https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/)

SECTION 02司法書士の報酬の目安:全国アンケートの平均は10万7,887円

日本司法書士会連合会の報酬アンケート(2024年3月実施)から読める司法書士の報酬
日本司法書士会連合会の報酬アンケート(2024年3月実施)から読める司法書士の報酬

司法書士の報酬は自由化されていますが、日本司法書士会連合会は「報酬に関するアンケート」の結果を公開しています。2024年(令和6年)3月に実施されたこの調査では、会社設立登記について次の条件の報酬額をたずねています。

発起人2名、資本金の額500万円の株式会社の発起設立による設立登記手続の代理業務を受任し、定款、議事録、その他証明書等の全ての書類(登記に必要な書類)を作成し、定款認証手続及び登記申請の代理をした場合出典:日本司法書士会連合会「報酬に関するアンケート(2024年3月実施)」

この条件での有効回答は932件、平均は10万7,887円でした。定款の作成から認証、登記申請の代理までを丸ごと任せた場合の報酬で、登録免許税や定款認証の手数料は含まれていません。アンケートのコメントでも、報酬のほかに登録免許税や定款認証の費用が別に必要だと書かれています。

日本司法書士会連合会「報酬に関するアンケート」(2024年3月実施)の全国平均。各設問の前提条件は本文を参照
日本司法書士会連合会「報酬に関するアンケート」(2024年3月実施)の全国平均。各設問の前提条件は本文を参照

注意したいのは、この平均が「日本人どうし2名、資本金500万円」の標準的な会社を想定した数字だという点です。外国人が発起人や役員になって日本で会社設立をする場合は、確認する書類が増えるため、平均より高い見積もりになることは十分にありえます。平均を下回る見積もりが出たときは、どの作業が含まれていないのかを確かめる材料として使ってください。

このセクションの根拠:日本司法書士会連合会「報酬に関するアンケート(2024年3月実施)」(https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/11/2a2e2c594bc4cd9ff2ca0f6d916db85e.pdf)

登録免許税は資本金で決まる:500万円と3,000万円で何が変わるか

会社設立の登録免許税は、資本金の額と会社の種類で決まる
会社設立の登録免許税は、資本金の額と会社の種類で決まる

設立登記の登録免許税は、国税庁の税額表で資本金の額の1000分の7と定められています。計算した額が最低額に届かない場合は、株式会社なら15万円、合同会社なら6万円になります。株式会社の場合、資本金がおよそ2,143万円までは最低額の15万円に収まり、それを超えると資本金に比例して増えていきます。

資本金の額ごとの設立登記の登録免許税(国税庁 No.7191 による計算。2026年10月時点)
資本金 株式会社 合同会社
500万円 15万円(計算額3万5,000円が最低額未満) 6万円(計算額3万5,000円が最低額未満)
1,000万円 15万円(計算額7万円が最低額未満) 7万円
3,000万円 21万円 21万円
5,000万円 35万円 35万円

※ 資本金3,000万円になると、株式会社と合同会社の登録免許税は同じ額になります。

在留資格「経営・管理」の基準で資本金等の額3,000万円が求められるようになってから、外国人の会社設立では資本金3,000万円で登記する例が増えています。その場合、登録免許税は株式会社でも合同会社でも21万円です。合同会社を選んで費用を抑える効果は、この資本金の水準では登録免許税の面ではなくなります。

あとから3,000万円に増資すると、税額はどうなるか

資本金500万円で会社設立をして、あとから2,500万円を増資する場合を考えてみます。設立時の登録免許税は15万円、増資の登記は増加した資本金の1000分の7(最低3万円)なので17万5,000円。合計32万5,000円になり、最初から3,000万円で設立した場合の21万円より11万5,000円多くかかります。増資の登記には別に司法書士の報酬も発生します(アンケートの「募集株式の発行」の平均は6万962円)。

このセクションの根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)

定款認証の手数料と印紙:株式会社の会社設立だけにかかる費用

株式会社の会社設立で公証役場に支払う費用
株式会社の会社設立で公証役場に支払う費用

株式会社の会社設立では、公証人による定款の認証が必要です。日本公証人連合会によると、認証の手数料は資本金の額などで次の3段階に分かれています。

  • 資本金100万円未満3万円。発起人が全員自然人で3人以下、発起人が設立時発行株式の全部を引き受け、取締役会を置かない会社なら1万5,000円
  • 資本金100万円以上300万円未満4万円
  • それ以外(300万円以上)5万円

資本金3,000万円の会社設立なら5万円です。手数料のほかに、定款の謄本の交付を受ける費用(1ページ250円)がかかります。紙の定款で認証を受けると印紙税4万円も必要ですが、電子定款にすればかかりません。司法書士の多くは電子定款に対応しているため、依頼した時点で印紙代4万円が浮くことになります。

外国法人や海外に住む外国人が発起人になる場合、公証役場とのやり取りに書類の確認が加わります。署名証明書や本国の会社の証明書を公証人がどう扱うかは、認証を受ける公証役場に事前に確認しておくのが確実です。この事前確認を司法書士に任せるかどうかで、報酬の額も変わってきます。

このセクションの根拠:日本公証人連合会「会社の定款認証手数料の改定」(https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee)

05外国人の会社設立で司法書士の報酬が上がりやすい作業

外国人が関わる会社設立で、司法書士の作業が増えるところ
外国人が関わる会社設立で、司法書士の作業が増えるところ

司法書士の報酬が事務所ごとに違う理由の一つは、外国人の会社設立に固有の作業をどこまで基本料金に含めるかの考え方の違いです。見積もりを比べる前に、自分の会社設立にどの作業が入るのかを把握しておきましょう。

外国人の会社設立で追加の費用が出やすい作業。見積もりで「含む・別料金」を確かめる項目として使えます
外国人の会社設立で追加の費用が出やすい作業。見積もりで「含む・別料金」を確かめる項目として使えます

翻訳について法務省は、外国語で作られた添付書面には原則として日本語訳を付けること、登記と関係のない部分は訳を省略できる場合があることを示しています。訳文を本人や知人が作り、司法書士がそれを確認する形にすれば、翻訳料の分を抑えられることがあります。どの範囲を自分でやれば報酬が下がるのか、遠慮なく聞いてみてください。

一方で、削らないほうがよい作業もあります。署名証明書の作成者が登記で受け付けられるかの確認や、払込みの口座が払込取扱機関に当たるかの確認は、ここで間違えると書類の取り直しになり、本国とのやり取りでかえって時間と費用がかかります。

このセクションの根拠:法務省「商業登記の申請書に添付される外国語で作成された書面の翻訳について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00102.html)

設立直後に取る証明書の手数料:登記事項証明書と印鑑証明書

会社設立のあとに取る登記事項証明書と印鑑証明書の手数料
会社設立のあとに取る登記事項証明書と印鑑証明書の手数料

登記が終わると、法人口座の開設、在留資格「経営・管理」の申請、事務所の契約などで、会社の登記事項証明書と印鑑証明書が何通も必要になります。司法書士の見積もりに「証明書◯通」と含まれていることがありますが、それで足りるかどうかは自分の予定から数えるしかありません。

登記事項証明書・印鑑証明書の手数料(法務省「登記手数料について」。2025年4月1日以降の額)
請求の方法 登記事項証明書 印鑑証明書
書面で請求 600円 500円
オンラインで請求し、郵送で受け取る 520円 450円
オンラインで請求し、窓口で受け取る 490円 420円

※ 登記事項証明書は1通が50枚を超えると、50枚ごとに100円が加算されます。

1通ずつは少額でも、外国人が日本で会社設立をすると銀行の審査や入管への申請で原本を求められる場面が重なります。設立直後の1か月で何通使うかを、司法書士と相談しながら見込んでおくと、あとから何度も法務局に足を運ばずに済みます。

会社の印鑑証明書は、法務局に会社の印鑑を届け出ていないと取れません。オンライン申請では印鑑の届出が任意になっているため、司法書士に依頼する際に印鑑の届出も含めてもらうかどうかを確認しておきましょう。

このセクションの根拠:法務省「登記手数料について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/)

設立後にも続く司法書士の費用:増資・役員変更・本店移転

外国人の会社が設立後に司法書士へ依頼することが多い登記
外国人の会社が設立後に司法書士へ依頼することが多い登記

会社設立の費用を見積もるとき、設立後の登記の費用まで考えている人は多くありません。けれども、株式会社には役員の任期があり、経営が動けば増資や本店の移転も起こります。そのたびに法務局への変更登記が必要で、司法書士に頼めば報酬がかかります。

設立後によくある登記の費用の目安。報酬は日本司法書士会連合会の報酬アンケート(2024年3月)の平均、登録免許税は国税庁 No.7191 による
設立後によくある登記の費用の目安。報酬は日本司法書士会連合会の報酬アンケート(2024年3月)の平均、登録免許税は国税庁 No.7191 による

役員変更は、任期が満了して同じ人が再任される場合にも登記が必要です。外国人の役員が海外に住んでいると、就任承諾書や署名証明書を改めて用意することになり、日本人だけの会社より手間がかかります。登記を怠ると過料の対象になることもあるため、任期の管理は設立のときから意識しておいてください。

日本で在留資格を更新していく過程で、設立後に資本金を増やしたり、事務所を移したりする外国人の経営者もいます。登記の費用は小さくありませんが、事前に分かっていれば年間の予算に組み込めます。

このセクションの根拠:法務省「商業・法人登記」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06.html)

SECTION 08まとめ:司法書士の見積もりは、同じ条件で内訳を並べて比べる

会社設立で司法書士の費用を比べるときの見方
会社設立で司法書士の費用を比べるときの見方

会社設立を司法書士に頼むといくらかかるかは、資本金の額と、外国人が関わる部分の作業量で決まります。外国人が日本で会社設立をするときの費用の見方を、最後に整理しておきます。

  1. 費用は報酬・法定費用・実費の3層。広告の金額は報酬だけのことが多い
  2. 報酬の全国平均は10万7,887円(発起人2名・資本金500万円の株式会社。2024年3月の報酬アンケート)
  3. 登録免許税は資本金×1000分の7。資本金3,000万円なら株式会社も合同会社も21万円
  4. 株式会社は定款認証の手数料(資本金300万円以上で5万円)と謄本代がかかる。電子定款なら印紙4万円は不要
  5. 署名証明書・翻訳・外国法人の証明書・海外送金の確認が、外国人の案件で報酬が上がる要因
  6. 設立後も役員変更・増資・本店移転で登記の費用が続く

見積もりを取るときは、資本金・会社の種類・発起人と役員の国籍と住所を同じ条件で伝え、内訳つきで出してもらってください。金額の安さだけでなく、外国人の会社設立をどれだけ扱ってきたかも、比べる材料に加えると安心です。

このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)

予算を組んでいる方へ

資本金3,000万円で株式会社を設立するなら、法定費用だけで約26万円、そこに司法書士の報酬と実費が加わります。まずはこの法定費用を動かせない額として確保し、報酬の部分を見積もりで比べる、という順番で考えると予算が立てやすくなります。

見積もりを依頼するときは、「役員は海外に住んでいる」「本国の会社が出資する」など、外国人の会社設立ならではの事情を最初に伝えてください。後から伝えると追加料金になりやすく、比較の意味が薄れてしまいます。

費用の相談に乗る立場の方は、設立後の変更登記や証明書の手数料まで含めた1年分の見込みを一緒に作ってあげてください。日本で事業を続けるための費用として、外国人の経営者にも納得してもらいやすくなります。

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