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会社設立 外国人 取締役

外国人取締役の登記と会社設立の必要書類|就任承諾書・印鑑証明書・本人確認証明書を立場別に

外国人取締役の登記と会社設立の必要書類|就任承諾書・印鑑証明書・本人確認証明書を立場別に

書類を集める前に読んでほしい方

外国人の方が取締役になる会社設立や、すでにある会社に外国人を取締役として迎える手続きで、何をそろえればよいのかを知りたい方に向けた記事です。登記を担当する日本側の方、本国から書類を送る外国人本人のどちらが読んでも、自分の担当分が分かるように並べました。

関連キーワードの「外国人 取締役 登記 必要書類」「外国人 代表 取締役 登記 必要書類」で調べると、書類の名前は出てきても、誰の分がいつ要るのかが見えにくいと感じるかもしれません。ここでは商業登記規則の条文と法務局の記載例をもとに、立場ごとに分けて確かめます。

内容は2026年10月時点の商業登記規則、会社法、法務省・法務局の公表資料にもとづいています。添付書類の細かな扱いは申請先の法務局が判断するため、提出の前に確認してください。

外国人取締役の登記の必要書類は、3つの分かれ目で決まる

外国人取締役の必要書類を決める3つの分かれ目
外国人取締役の必要書類を決める3つの分かれ目

日本で会社設立をするときも、設立後に役員を入れ替えるときも、外国人が取締役になるときの必要書類は、3つの組み合わせで決まります。1つめは会社設立の登記か、設立後の就任の登記か。2つめは取締役会を置く会社か、置かない会社か。3つめは、その外国人が日本に住所を持っているか、海外に住んでいるかです。

必要書類が変わる3つの分かれ目(商業登記規則61条と法務局の記載例をもとに作成)
必要書類が変わる3つの分かれ目(商業登記規則61条と法務局の記載例をもとに作成)

商業登記規則61条4項は、設立の登記では設立時取締役が就任承諾書に押した印鑑の証明書を、取締役の就任(再任を除く)の登記でも同じ証明書を添えるよう定めています。同条5項は、取締役会を置く会社ではこれを代表取締役の分に置き換えています。同条7項は、印鑑証明書を添えない取締役について、就任承諾書の氏名・住所と同じ氏名・住所が載った公的な証明書、いわゆる本人確認証明書を求めています。

この3つの項を押さえておくと、法務局の案内に出てくる書類がどの場面のものかを見分けやすくなります。会社設立の登記全体の添付書類と申請の進め方は、登記カテゴリーの記事で扱っています。

このセクションの根拠:e-Gov法令検索「商業登記規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023)

就任承諾書:外国人取締役が署名するときの書き方と、省略できる場合

外国人取締役の就任承諾書
外国人取締役の就任承諾書

就任承諾書は、取締役に選ばれた人がその就任を承諾したことを示す書面です。法務局が公開している設立登記申請書の記載例(英語版もある)では、「私は、令和○年○月○日、貴社の設立時取締役に選任されたので、その就任を承諾します。」という文面に、日付、住所、氏名を書き、印を押す形が示されています。会社設立の書類の中では短い1枚ですが、外国人の取締役にとっては署名の形が問われる書類です。

取締役会を置かない会社では、設立時取締役の就任承諾書に市町村に登録した印鑑を押すことになっています。同じ記載例は、外国人が市町村に印鑑登録をしていない場合は、記名押印に代えて署名すれば足りるとし、その場合は署名が本人のものであることを示す本国官憲(その国の領事と、日本にいる権限のある官憲を含む)の証明書、いわゆるサイン証明書を添えるとしています。

  • 日付選任された日と、承諾した日を書きます。
  • 住所本人確認証明書やサイン証明書と同じ書き方にそろえます。
  • 氏名登記したいカタカナ(または漢字・通称名)で書き、署名の場合は本人が自署します。
  • 押印か署名か印鑑登録がある人は登録した印鑑、ない外国人は署名とサイン証明書の組み合わせです。

発起人の中から選ばれた人がその場で就任を承諾し、承諾した旨と住所、記名押印が選任の決議書に載っている場合は、別に就任承諾書を付けなくてよいとされています。このときは申請書に「就任承諾書は、設立時取締役選任決議書の記載を援用する。」と書きます。外国人の発起人がそのまま取締役になる会社設立では、書類を1枚減らせることがあります。

このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)

SECTION 03外国人の代表取締役の必要書類:印鑑証明書とサイン証明書は誰の分が要るか

印鑑証明書(サイン証明書)が必要な人
印鑑証明書(サイン証明書)が必要な人

印鑑証明書、またはその代わりのサイン証明書を誰の分そろえるかは、取締役会の有無で変わります。取締役会を置かない会社では設立時取締役の全員の分、取締役会を置く会社では設立時代表取締役の分です。日本で代表取締役になる外国人は、どちらの会社でも必ず対象になります。会社設立の手続きで本国から取り寄せる書類が最も多くなるのは、この部分です。

印鑑証明書(サイン証明書)が必要な人(商業登記規則61条4項・5項と法務局の記載例をもとに作成)
印鑑証明書(サイン証明書)が必要な人(商業登記規則61条4項・5項と法務局の記載例をもとに作成)

法務省の案内では、外国人の署名証明書は本国の官憲が作ったものが原則で、住んでいる国にある本国の大使館などが作ったもの、本国の公証人が作ったものも使えるとされています。国籍がA国で住んでいるのがB国という人なら、A国の行政機関、日本にあるA国大使館、B国にあるA国大使館、A国の公証人のいずれが作ったものも差し支えない、という例が示されています。

代表取締役は、会社の印鑑を法務局に届け出る立場でもあります。法務局の記載例は、代表取締役が申請書や委任状に押す印鑑は登記所に提出した印鑑でなければならないとする一方、外国人が登記を申請する場合は、申請書や委任状の署名が本人のものであることの本国官憲の証明書を添えて申請できるとしています。

このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)

本人確認証明書:日本に住む外国人と、海外に住む外国人取締役で変わる書類

外国人取締役の本人確認証明書
外国人取締役の本人確認証明書

印鑑証明書を添えない取締役、たとえば取締役会を置く会社で代表ではない取締役には、本人確認証明書が必要です。法務省は使える書類の例として、住民票記載事項証明書(マイナンバーの記載がないもの)、戸籍の附票、住所が記載された住基カードの写し、運転免許証などの写し、マイナンバーカード表面の写しを挙げ、通知カードは使えないとしています。運転免許証の写しは表裏をコピーし、本人が「原本と相違がない。」と書いて記名します。

外国人取締役の本人確認証明書の考え方(法務省・法務局の案内をもとに作成)
住んでいる所 使える書類の例 気をつけること
日本(外国人住民) 住民票記載事項証明書、運転免許証の写しなど マイナンバーの記載がないものを選ぶ
海外 外国官憲が作った、氏名と住所が記載された証明書 就任承諾書と同じ住所の書き方にする
海外 外国官憲が発行した身分証明書などの写し(住所の記載があるものに限る) 本人が原本と相違ない旨を書いて記名する

※ 再任の場合と、その取締役の印鑑証明書を添える場合は、本人確認証明書は要りません。

海外に住む外国人について、法務局の記載例は、外国官憲が作った氏名と住所の載った証明書のほか、外国官憲が発行した身分証明書などの写しで住所の記載があるものに、本人が原本と相違ない旨を書いて記名したものも当たるとしています。住所欄のない旅券の写しは、この条件を満たしません。

日本に住む外国人については、会計事務所や司法書士の解説で在留カードの写しを例に挙げるものもあります。ただ、法務省の案内の例示には在留カードが明記されていないため、在留カードの写しを使いたいときは、申請先の法務局に確かめてから準備するのが安全です。会社設立の日程に余裕がないときほど、この確認を先に済ませておくと安心です。

このセクションの根拠:法務省「添付書面としての本人確認証明書及び旧氏の併記について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00085.html)

設立後に外国人を取締役に迎える就任登記:議事録・株主リスト・2週間の期限

設立後の外国人取締役の就任登記
設立後の外国人取締役の就任登記

会社設立のあとで外国人を取締役に迎えるときは、役員の変更の登記をします。会社法915条1項は、登記事項に変更が生じたときは2週間以内に本店の所在地で変更の登記をしなければならないとし、怠ると976条により100万円以下の過料の対象になります。海外から書類を取り寄せる外国人の取締役では、この2週間は短く感じられるはずです。

  1. 株主総会で選任する議事録に、選任の決議と、就任する外国人の氏名を記録します。
  2. 株主リストを作る株主総会の決議を要する登記では、議決権の多い順の株主などを記載した書面を添えます(商業登記規則61条3項)。
  3. 就任承諾書と証明書をそろえる就任承諾書、印鑑証明書またはサイン証明書、本人確認証明書を用意します。
  4. 申請して登録免許税を納める役員の変更は1件につき3万円、資本金1億円以下の会社は1万円です(2026年10月時点)。

期限は変更が生じた日から数えるので、サイン証明書の取得に何日かかるかを先に確かめ、そのうえで株主総会の日と就任の日を決めると、期限に追われずに済みます。本国の役所や大使館の予約が取れるかどうかで、取得までの日数は大きく変わります。日本で会社設立をしたあとに海外から役員を迎える会社では、とくにこの順番が効いてきます。

このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)

06サイン証明書が取れないとき:通達で認められている代わりの書面

サイン証明書が取れないときの代わりの書面
サイン証明書が取れないときの代わりの書面

会社設立の必要書類の中でも、外国人取締役の書類で予定が狂いやすいのが、サイン証明書が取れない場面です。新日本法規の『法苑』に掲載された司法書士の解説は、平成28年6月28日の通達で、代表取締役などの就任承諾書や印鑑届書に外国人が署名した場合に、印鑑証明書の代わりに本国官憲が作った署名証明書を添付できること、その本国官憲には当該国の領事が含まれることが示されたと整理しています。

署名証明書をめぐる通達の流れ(法務省の案内と新日本法規の解説をもとに作成)
署名証明書をめぐる通達の流れ(法務省の案内と新日本法規の解説をもとに作成)

同じ解説は、やむを得ない事情の例として、本国に署名証明書の制度がない場合、本国では取れても居住国など本国以外にある本国官憲では取れない場合、居住国に本国官憲がない場合の3つが示されたとしています。法務省の案内では、このようなときは居住国の官憲や公証人、日本の公証人が作った書面が認められることがあり、個別の事情は管轄の登記所に相談するよう案内されています。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人のブログでは、ある国の在日大使館でサイン証明書が取れず、代わりの方法を検討した事例も紹介されています。どの機関に頼めるかは国によって大きく違うので、取締役に就く外国人の国籍と住んでいる国が決まった時点で、申請先の法務局か司法書士に取得先を相談してください。会社設立の準備に入る前にこの相談を済ませておくと、日程の見通しが立ちます。

このセクションの根拠:新日本法規出版「最近の商業登記法令の改正による渉外商業登記実務への影響(法苑185号)」(https://www.sn-hoki.co.jp/articles/article090429/)

外国語の必要書類には日本語訳を:訳文の付け方と、氏名の表記

外国語の添付書類と日本語訳
外国語の添付書類と日本語訳

法務省は、外国語で作られた書面を商業登記の申請書に添付するときは、原則としてその書面全体の日本語訳を付けるよう案内しています。外国人取締役のサイン証明書や、住所が書かれた証明書も、原則として訳文が必要です。会社設立の登記でも、設立後の就任の登記でも同じです。

  • 原則書面の全体を日本語に訳して添付します。
  • 省略できる部分外国官憲の証明書のうち、本国官憲が事務的に使う欄や手数料の領収部分など、証明の対象に関係しない部分。訳文には省略した旨を書きます。
  • 省略できない部分領事や公証人など、証明書を作った人に関する記載です。
  • 二つの外国語の併記同じ内容が二つの外国語で書かれていれば、一方の訳で足ります。

訳文で気をつけたいのは、取締役の氏名と住所の書き方です。訳文に書いたカタカナが、就任承諾書や申請書のカタカナと違っていると、同じ人の書類であることを説明しにくくなります。翻訳者の資格についての決まりは法務省の案内には書かれておらず、疑問があるときは管轄の登記所に問い合わせるよう案内されています。

このセクションの根拠:法務省「商業登記の申請書に添付される外国語で作成された書面の翻訳について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00102.html)

まとめ:外国人取締役の必要書類は、立場を決めてから集める

外国人取締役の必要書類のまとめ
外国人取締役の必要書類のまとめ

外国人取締役の登記の必要書類は、会社設立か設立後の就任か、取締役会を置くか、日本に住んでいるかの3つで決まります。そこが決まれば、就任承諾書に加えて、印鑑証明書かサイン証明書、または本人確認証明書のどれを誰の分用意するかがはっきりします。会社設立を急ぐときほど、この順番を飛ばさないことが近道になります。

外国人取締役の登記の必要書類チェック(2026年10月時点)
外国人取締役の登記の必要書類チェック(2026年10月時点)

書類の取り寄せに時間がかかるのは、ほとんどが本国で作る証明書です。日本で会社設立をする外国人の方は、取締役に就く人の国籍、住んでいる国、印鑑登録の有無を先に一覧にし、司法書士か申請先の法務局に、どの証明書が使えるかを確かめてから本国に依頼してください。

このセクションの根拠:司法書士事務所リーガルエステート「外国人を取締役・役員として登記する際の本人確認書類や手続き」(https://s-legalestate.com/kaigai/corporate/foreigner-officer-registration/)

本国から書類を送る方、日本で受け取る方へ

必要書類の多くは、取締役になる外国人本人にしか取れません。本国の役所や大使館に出向く前に、日本側で決めた氏名と住所の書き方を受け取ってから動くと、取り直しを避けられます。

日本で書類を受け取る担当者の方は、届いた証明書の日付、住所、氏名の綴りを、その日のうちに就任承諾書と見比べてください。食い違いに早く気づけば、それだけ早く手を打てます。

書類がそろえば、外国人が取締役になる会社設立も、日本人だけの会社と同じように登記できます。焦らず、ひとつずつ確かめていきましょう。

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