設立登記の申請を通すには|外国人が日本で会社設立するときの添付書類と申請の実務

この記事の対象
日本で会社設立をするにあたって、これから法務局へ登記を申請しようとしている外国人の方に向けた記事です。書類の準備を手伝う日本側の担当者にも読んでいただけます。
設立登記は、会社を法的に成立させる手続きです。申請した日が会社の設立日として登記されます。ここまで来れば、会社設立の作業としては最後の山を越えたことになります。
様式や添付書類は改定されることがあります。この記事は流れをつかむためのものですので、実際の提出書類は法務局の案内でご確認ください。
設立登記で何が起きるのか

設立登記を申請すると、その会社が法的に成立します。ここで大事なのは、会社の設立日が、登記が完了した日ではなく、申請した日になるという点です。日本で会社設立をする外国人が、設立日にこだわりを持っている場合、この日を狙って書類をそろえることになります。
申請は、本店所在地を管轄する法務局に対して行います。どの法務局が管轄になるかは、法務局のページで確認できます。管轄を間違えると受け付けられないため、事前に確認してください。
登記が完了すると、登記事項証明書が取れるようになります。会社の商号、本店、事業目的、資本金の額、役員の氏名などが記載された書類です。会社設立の後、あらゆる手続きでこの証明書を使うことになります。
同時に、会社の法人番号も指定されます。国税庁の法人番号公表サイトで確認できます。この番号は、税務や社会保険の手続きで使います。
外国人が日本で会社設立をする場合、この登記が終わって初めて、在留資格の申請に必要な資料がそろい始めます。会社の線と在留資格の線が、ここで交差することになります。
登記事項証明書には、履歴事項全部証明書、現在事項全部証明書など種類があります。会社設立の後に提出を求められるのは、多くの場合、履歴事項全部証明書です。窓口で取るときに、どの種類が必要かを確認してから請求してください。
このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)
登記申請書に書く内容

登記申請書には、会社の基本的な情報を記載します。商号、本店の所在地、事業目的、資本金の額、発行可能株式総数、発行済株式の総数、役員の氏名と住所、公告の方法などです。合同会社の場合は項目が少し変わります。
これらはすべて、定款で決めた内容です。会社設立の準備段階で決めたことを、申請書の様式に写していく作業になります。定款と申請書で内容が食い違うと、補正を求められます。
様式は法務局のページからダウンロードできます。株式会社用、合同会社用など、会社の形態ごとに別の様式が用意されています。日本で会社設立をする外国人が自分で申請する場合、様式を間違えないようにしてください。
記載例も公開されています。どこに何を書くのかが示されているため、初めての方でも進められるようになっています。ただし、会社の形態や機関設計によって記載する内容が変わるため、自分の場合に合った記載例を選んでください。
外国人が代表者になる場合、氏名の記載方法についても確認が必要です。パスポートの表記と、他の書類の表記をそろえてください。会社設立の書類全体で、同じ表記を使うのが原則です。
このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)
SECTION 03添付する書類

登記申請書には、いくつかの書類を添えます。株式会社の場合、定款、払込みがあったことを証する書面、設立時取締役の就任承諾書、印鑑証明書または代わりの書類、印鑑届書、登録免許税の納付用台紙などです。
定款は、株式会社であれば公証人の認証を受けたものを使います。合同会社であれば、作成した定款をそのまま添付します。会社設立の形態によって、この点が変わります。
払込みがあったことを証する書面は、代表者が作成し、会社の実印を押します。通帳の表紙、1ページ目、入金の記載があるページの写しを合わせて綴じるのが一般的です。ネット銀行の場合は取引明細を印刷して使います。
就任承諾書は、役員になる人が、その役職を引き受けることを示す書類です。設立時取締役、設立時代表取締役など、就任する役職ごとに作ります。
印鑑届書は、会社の実印を法務局に届け出るための書類です。この印鑑は登記の前に作っておく必要があります。日本で会社設立をする外国人が印鑑の作成を後回しにすると、ここで止まります。
このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)
印鑑証明書が取れない場合の扱い

設立登記では、発起人や設立時取締役の印鑑証明書が求められます。日本に住民登録があり印鑑登録をしていれば、市区町村で取れます。日本で会社設立をする外国人の場合、まずこの登録ができるかを確認してください。
印鑑登録をしていない場合、法務省のページでは、外国人の署名証明書について、本国の官憲が作成したものが認められるとされています。本国に所在する官憲のほか、日本や第三国に所在する本国の官憲が作成したものも含まれるとされています。
本国の公証人が作成したものも認められるとされています。やむを得ない事情がある場合には、居住国の官憲、居住国の公証人、日本の公証人が作成したものも許容される場合があるとされています。
外国語で作成された書面には、原則として日本語訳を添えます。ただし、一部については省略できる場合もあるとされています。会社設立の書類を出す前に、登記を出す法務局へ確認してください。
どの書類でよいかは、事案によって判断が分かれることがあります。外国人が日本で会社設立をする準備に入る前に、法務局へ問い合わせておくと確実です。
なお、日本に住民登録がある外国人であれば、市区町村で印鑑登録ができます。登録できる印鑑には氏名の一部が含まれていることなどの条件があり、自治体によって扱いが異なります。会社設立の準備を始める前に、住んでいる市区町村の窓口で確認してみてください。
このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)
代表取締役の住所要件について

以前は、株式会社の代表取締役のうち少なくとも1人は日本に住所を有する必要があるという取り扱いがありました。法務省のページでは、この取り扱いが変わり、代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合であっても、設立の登記ができるとされています。
これは、日本にまだ住んでいない外国人が日本で会社設立をする場合に大きな意味を持ちます。日本在住の協力者を代表者に立てなくても、登記そのものは進められることになります。
ただし、これは登記の話です。在留資格「経営・管理」を取るには、日本で実際に経営に当たることが求められます。登記ができることと、日本で経営できることは別の問題です。
また、資本金の払込みには日本国内の口座が必要になることが多く、この点は別に検討することになります。法務省のページでは、払込取扱機関について、内国銀行の日本国内の支店のほか、内国銀行の海外支店も含まれるとされています。
このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)
06登録免許税の計算と納付

設立登記には登録免許税がかかります。国税庁の税額表では、株式会社の設立登記は資本金の額の1000分の7で、これによって計算した税額が15万円に満たないときは15万円とされています。
合同会社の設立登記も同じく資本金の額の1000分の7ですが、最低額は6万円です。日本で会社設立をする外国人が費用を抑えたい場合、この差が判断材料のひとつになります。
資本金の額の1000分の7が15万円を超えるのは、資本金が約2,142万9,000円を超えたあたりからです。在留資格「経営・管理」の基準に合わせて資本金3,000万円にする場合、登録免許税は21万円になります。
納付は、収入印紙を購入して納付用台紙に貼付する方法が一般的です。金額が大きいため、購入する場所によっては在庫がないこともあります。会社設立の登記を申請する日の前に用意しておいてください。
オンラインで申請する場合は、電子納付も使えます。収入印紙を買いに行く手間が省けます。
このセクションの根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)
申請の方法と、補正

申請の方法は、窓口への持参、郵送、オンラインの3つがあります。オンライン申請には事前の準備が必要で、電子証明書などを使います。
書類に不備があると、法務局から補正の連絡が来ます。軽微なものであれば、その場で直せることもあります。日本で会社設立をする外国人が自分で申請する場合、連絡を受けられる電話番号を書いておいてください。
補正になると、その分だけ完了が遅れます。ただし、設立日は申請した日のまま変わらないのが一般的です。取下げになった場合は、改めて申請することになります。
外国人が日本で会社設立をする場合、書類の一部が外国語であることもあります。翻訳の内容や、書類の組み合わせについて確認を受けることがあります。事前に法務局へ相談しておくと、補正を減らせます。
補正の連絡は電話で来ることが多くあります。日本語でのやり取りになるため、日本で会社設立をする外国人が自分で申請する場合、日本語で対応できる人と一緒に進めるほうが安心です。
このセクションの根拠:法務省「商業・法人登記のオンライン申請について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html)
よくある質問

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。
代表取締役は日本に住所がないとだめですか。
法務省のページでは、代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合であっても設立の登記ができるとされています。ただし、在留資格「経営・管理」を取るには日本で実際に経営に当たることが求められるため、登記と在留資格は分けて考える必要があります。
設立日は選べますか。
申請した日が設立日として登記されます。書類がそろっていれば、希望の日に申請することで設立日を選べます。
登記が完了するまでどれくらいかかりますか。
混み具合によりますが、数日から2週間程度が目安です。完了しないと登記事項証明書が取れないため、次の手続きはそれまで待つことになります。
この項目の根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)
SECTION 09まとめ:書類がそろえば、あとは手順

登記が完了したら、登記事項証明書と会社の印鑑証明書を取ります。この2つは、このあとの手続きで何度も使います。まとめて取っておくと、窓口へ行く回数が減ります。
税務署への届出、年金事務所への届出、法人口座の開設、在留資格の申請。会社設立の後には、これらの手続きが続きます。どれも登記事項証明書が必要になることが多くあります。
記載内容に誤りがないかも確認してください。商号、本店、資本金の額、役員の氏名。誤りがあれば、更正の登記が必要になります。日本で会社設立をした外国人の場合、氏名の表記に誤りがないかを特に確認してください。
法人番号も確認しておきます。国税庁の法人番号公表サイトで検索できます。税務や社会保険の届出で使う番号です。
外国人が日本で会社設立をするときの設立登記について見てきました。申請そのものは、そろった書類を出す作業です。難しいのは、その書類をそろえるところです。
- 管轄の法務局を確認する。本店所在地で決まります
- 申請書の様式を、会社の形態に合わせて選ぶ
- 添付書類をそろえる。印鑑証明書が取れない場合は代わりの書類を用意する
- 登録免許税を計算し、収入印紙または電子納付で納める
- 申請する。申請した日が設立日になる
- 完了後、登記事項証明書と会社の印鑑証明書を取る
様式と添付書類は改定されます。実際の提出前に法務局の案内をご確認ください。会社設立の登記については司法書士へ、在留資格については行政書士へご相談ください。
このセクションの根拠:法務省「商業・法人登記」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06.html)
読んでくださった方へ
登記の申請までたどりつけば、会社設立の作業としては大きな山を越えたことになります。あとは完了を待ち、証明書を取るだけです。
日本で会社設立をする外国人にとって、いちばん時間がかかるのは書類をそろえるところです。特に本国から取り寄せる証明書は、早めに手配しておいてください。
分からないことがあれば、法務局に電話で聞いてみてください。手続きの内容については、丁寧に教えてもらえます。
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