社会保険の年間スケジュール|外国人の会社設立後に来る手続きの時期

この記事の対象
日本で会社設立をした外国人の方が、社会保険と労働保険の年間の手続きを把握する場面を想定した記事です。労務を担当する日本側の担当者にも読んでいただけます。
会社設立の後、毎月来る作業と、年に一度来る作業があります。時期が決まっているものが多いため、年間の予定表を作っておくと管理しやすくなります。
手続きの時期や様式は改定されることがあります。この記事は全体像をつかむためのものです。実際の手続きは日本年金機構や厚生労働省のページでご確認ください。
毎月来る作業

会社設立の後、毎月来る作業があります。給与の計算、保険料の控除と納付、源泉所得税の納付です。
給与の計算では、額面の給与から社会保険料と所得税を控除して、手取りを出します。日本で会社設立をした外国人が自分で計算する場合、給与計算のソフトを使うと負担が減ります。
社会保険料は、会社の分と本人の分を合わせて納めます。納付書が届くか、口座振替で引き落とされます。
源泉所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日までに納付します。納期の特例を使っている場合は、年2回にまとめて納めます。
給与明細も作成します。控除の内訳が分かるものを、従業員に渡します。
会社設立の直後は、届出の手続きに追われます。それが一段落すると、今度は毎月の定型的な作業が始まります。日本で会社設立をした外国人にとって、ここからが日常の運営です。
給与の締め日と支払日は、雇用契約書に書いた内容に従います。会社設立のときに決めた条件を守ってください。
毎月の作業は、決まった手順で進みます。給与の締め、計算、支払い、控除した保険料と所得税の納付。この流れを一度覚えてしまえば、あとは繰り返しです。日本で会社設立をした外国人にとって、最初の数か月が慣れる時期になります。
このセクションの根拠:日本年金機構「適用事業所と被保険者」(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html)
02算定基礎届

標準報酬月額は、年に一度見直されます。この手続きを算定基礎届といいます。
一定期間の報酬をもとに、次の期間の標準報酬月額を決めます。決まった時期に、対象となる書類を提出することになります。
日本で会社設立をした外国人が、1年目に初めて経験する作業です。何をするのか分からず戸惑うことがあります。
提出すると、新しい標準報酬月額が決まり、保険料も変わります。資金計画に影響することがあるため、時期を把握しておいてください。
日本年金機構から案内が届きます。日本語で書かれているため、内容を確認できる体制にしておいてください。会社設立の後、郵便物の管理は重要です。
標準報酬月額が変わると、翌月以降の保険料が変わります。会社設立から1年経った時期に、資金計画を見直すきっかけにもなります。
手続きの案内は郵送で届きます。期限が書かれているため、届いたら内容を確認してください。日本で会社設立をした外国人が日本語の書類に慣れていない場合、常勤職員や専門家に確認してもらう体制にしておいてください。
このセクションの根拠:日本年金機構「適用事業所と被保険者」(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html)
労働保険の年度更新

労働保険には年度更新という手続きがあります。1年分の保険料を概算で申告して納め、翌年に確定させる仕組みです。
毎年決まった時期に来ます。日本で会社設立をした外国人が人を雇っている場合、この手続きが発生します。
申告の内容は、1年間に支払った賃金の総額をもとに計算します。賃金台帳などの記録が必要になります。
まとまった金額を一度に納めることになるため、資金の準備をしておいてください。会社設立の1年目は、この手続きが初めてになります。
社会保険労務士に依頼していれば、この手続きも扱ってもらえることがあります。会社設立の後、任せる範囲を決めておいてください。
賃金台帳は、法令で作成と保存が求められています。日本で会社設立をした外国人が人を雇っている場合、この記録を残しておいてください。年度更新のときに使います。
年度更新の時期は、ほかの手続きと重なることがあります。日本で会社設立をした外国人は、この時期に作業が集中することを見込んでおいてください。
申告した概算の保険料と、実際の賃金にもとづく確定の保険料に差があれば、その分を精算します。日本で会社設立をした外国人が2年目を迎えるとき、この精算が来ます。
このセクションの根拠:厚生労働省「労働保険の成立手続」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/index.html)
年末調整

年末には、年末調整という手続きがあります。1年間に源泉徴収した所得税を精算するものです。
従業員から書類を集めることになります。扶養の状況や、保険料の支払いを申告してもらうものです。日本で会社設立をした外国人が人を雇っている場合、この作業も来ます。
精算の結果、還付になることも、追加で徴収することもあります。12月の給与で調整するのが一般的です。
その後、源泉徴収票を作成して従業員に渡します。税務署や市区町村へ提出する書類もあります。
会社設立の1年目は、この作業も初めてになります。税理士に依頼している場合、一緒に対応してもらえることが多くあります。
外国人の従業員がいる場合、扶養の状況の確認に時間がかかることがあります。本国にいる家族を扶養に入れる場合など、追加の資料が必要になります。日本で会社設立をした外国人が雇う側になるとき、早めに案内しておいてください。
年末調整の書類は、従業員に記入してもらうものです。日本語での案内が必要になります。外国人の従業員がいる場合、書き方を説明する場面も出てきます。
源泉徴収票は、従業員が確定申告をするときにも使います。日本で会社設立をした外国人が雇う側として、期限内に渡してください。
このセクションの根拠:国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm)
SECTION 05人の出入りがあったとき

従業員を雇ったとき、辞めたとき。そのつど手続きが必要になります。
雇ったときは、社会保険の被保険者資格取得届と、雇用保険の被保険者資格取得届を提出します。辞めたときは、それぞれの資格喪失届を提出します。
外国人を雇用したときと離職したときは、外国人雇用状況の届出も必要です。日本で会社設立をした外国人が、別の外国人を雇う場合にも関係します。
期限が定められているものが多いため、人の出入りがあったらすぐに動いてください。
在留資格「経営・管理」では、常勤職員1人以上の雇用が必要です。その人が辞めた場合、要件を満たす体制をどう保つかも考えることになります。
人の出入りがあったときの手続きは、期限が短いものが多くあります。日本で会社設立をした外国人は、従業員が辞めると分かった時点で、必要な手続きを確認してください。
退職した従業員には、離職票などの書類が必要になることがあります。次の就職や、雇用保険の給付に使われます。日本で会社設立をした外国人が雇う側として、この対応も求められます。
このセクションの根拠:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html)
報酬が変わったとき

報酬が大きく変わったときは、月額変更届という手続きで標準報酬月額を見直すことがあります。
昇給や減給があった場合、一定の条件に当てはまると届出が必要になります。日本で会社設立をした外国人が従業員の給与を変えるとき、この点も確認してください。
代表者の役員報酬を変えた場合も同じです。ただし、役員報酬は原則として事業年度の途中で自由に変えられないという税務上の取り扱いがあります。
標準報酬月額が変わると、保険料も変わります。資金計画にも影響します。
手続きの条件は細かく定められています。判断に迷う場合は、年金事務所か社会保険労務士に確認してください。
報酬の変更は、社会保険だけでなく税務にも影響します。日本で会社設立をした外国人が役員報酬を見直すときは、税理士と社会保険労務士の両方に確認してください。
届出が必要かどうかの判断は、条件が細かく定められています。日本で会社設立をした外国人が迷った場合、年金事務所に電話で聞くこともできます。
このセクションの根拠:日本年金機構「適用事業所と被保険者」(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html)
年間の予定表をつくる

これらの手続きを管理するには、年間の予定表をつくるのがいちばんです。いつ何が来るかを1枚の表にまとめておいてください。
毎月来るのは、給与計算、社会保険料の納付、源泉所得税の納付。年に一度来るのは、算定基礎届、労働保険の年度更新、年末調整、そして法人税と地方税の申告です。
日本で会社設立をした外国人にとって、1年目はすべてが初めてです。予定表を作りながら進めていけば、2年目からは同じことの繰り返しになります。

税理士や社会保険労務士に依頼していれば、時期が来ると連絡をもらえることもあります。会社設立の後、こうした体制を作っておくと安心です。
予定表には、在留期間の満了日も書き込んでおいてください。日本で会社設立をした外国人にとって、更新の準備も年間の予定のひとつです。
予定表は、紙でもデータでも構いません。大事なのは、いつも見える場所に置いておくことです。日本で会社設立をした外国人にとって、手続きの期限を忘れないための仕組みになります。
月ごとに区切って書くと見やすくなります。1月から12月まで並べて、その月に来る手続きを書き込む形です。会社設立の1年目にこれを作っておけば、翌年からは確認するだけで済みます。
このセクションの根拠:日本年金機構「1-1 事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」(https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/jigyosho/20141205.html)
08よくある質問

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。
毎月どういう作業がありますか。
給与の計算、社会保険料の納付、源泉所得税の納付が毎月来ます。源泉所得税は、納期の特例を使っている場合は年2回にまとめて納めます。
算定基礎届とは何ですか。
標準報酬月額を年に一度見直す手続きです。一定期間の報酬をもとに、次の期間の標準報酬月額を決めます。決まった時期に書類を提出することになります。
常勤職員が辞めたらどうなりますか。
社会保険と雇用保険の資格喪失届を提出します。あわせて、在留資格「経営・管理」では常勤職員1人以上の雇用が要件とされているため、体制をどう保つかを行政書士にご相談ください。
この項目の根拠:日本年金機構「適用事業所と被保険者」(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html)
まとめ:1年目を乗り切れば形になる

外国人が日本で会社設立をしたあとの社会保険と労働保険の年間の手続きを見てきました。毎月来る作業と、年に一度来る作業に分かれます。
- 毎月:給与計算、社会保険料の納付、源泉所得税の納付
- 年に一度:算定基礎届、労働保険の年度更新、年末調整
- 人の出入りがあったら、そのつど資格取得届と資格喪失届
- 報酬が大きく変わったら、月額変更届を検討する
- 年間の予定表をつくって、いつ何が来るかを把握する
手続きの時期や様式は改定されることがあります。実際の手続きは日本年金機構や厚生労働省のページでご確認ください。手続きの代行については社会保険労務士へご相談ください。
最後にひとつ。年間の予定表は、会社設立の1年目に作っておくと、その後ずっと使えます。手続きの名前と時期を書き込んだ1枚の紙が、事業を支える道具になります。
このセクションの根拠:日本年金機構「適用事業所と被保険者」(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html)
読んでくださった方へ
労務の手続きは、事業そのものではありません。それでも、続けなければ会社は回りません。
日本で会社設立をした外国人にとって、1年目は覚えることが多く、負担も大きいと思います。ただ、2年目からは同じことの繰り返しになります。
年間の予定表を1枚作ってみてください。それだけで、見通しが立ちます。作った表は、来年もそのまま使えます。
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