決算と申告の1年|外国人が日本で会社設立した後に来る税務の流れ

この記事の対象
日本で会社設立をした外国人の方が、1年目の税務の流れを把握する場面を想定した記事です。経理を手伝う日本側の担当者にも読んでいただけます。
会社設立の届出が終わると、日々の記帳が始まります。事業年度が終わると決算を組み、申告と納税をすることになります。
税務の取り扱いは事案によって変わります。この記事は流れの整理です。実際の処理については、税理士へご相談ください。
1年の流れをつかむ

会社の税務は、事業年度を単位として回ります。日々の記帳を続け、事業年度が終わったら決算を組み、申告と納税をする。この繰り返しです。
事業年度は、会社設立のときに定款で決めた期間です。多くの会社が1年を1事業年度としています。日本で会社設立をした外国人も、この区切りで動くことになります。
法人税の申告は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に行うこととされています。あわせて納税もします。
このほか、源泉所得税の納付が毎月または年2回、消費税の申告が事業年度ごと、地方税の申告も同じ時期に来ます。
1年目は初めてのことばかりです。会社設立の直後から記帳を続けていれば、決算のときに慌てずに済みます。
外国人が日本で会社設立をするとき、税の仕組みは本国と違うことが多い部分です。用語も日本語で、慣れるまで時間がかかります。まずは1年の流れを大づかみに理解するところから始めてください。
申告の時期は事業年度で決まります。会社設立のときに事業年度をいつにしたかで、毎年の作業の時期が決まることになります。
1年の流れを紙に書き出しておくと、いつ何が来るかが見えます。決算月、申告の時期、源泉所得税の納付、年末調整。日本で会社設立をした外国人は、この年間表を作っておいてください。
このセクションの根拠:国税庁「法人税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/hojin.htm)
日々の記帳

会社の入出金を記録することを記帳といいます。売上、仕入、経費、給与。すべてを記録します。
領収書や請求書も保管します。帳簿や書類には、法令で定められた保存の期間があります。捨ててしまうと、後で困ることがあります。
日本で会社設立をした外国人が記帳を自分でやる場合、会計ソフトを使うことになります。日本語の表示に慣れるまで時間がかかることもあります。
税理士に依頼するという選択肢もあります。記帳から依頼するのか、確認だけ依頼するのかで費用が変わります。
後回しにすると、決算の直前にまとめて処理することになります。費用も時間もかかります。月ごとに整理する習慣をつけてください。
また、法人口座ができるまでの間に個人が立て替えた費用も、記録しておいてください。会社設立の直後は、この整理が必要になります。
記帳のルールにも決まりがあります。日付、取引の相手、金額、内容。これらを記録します。日本で会社設立をした外国人が自分で記帳する場合、最初に税理士に教わっておくと安心です。
現金と預金の管理も分けてください。会社のお金と個人のお金を混ぜると、後で整理できなくなります。外国人が日本で会社設立をした直後に、この区別を徹底しておいてください。
また、経費として認められるものと認められないものの区別も覚えることになります。事業に関係する支出かどうかが基準になります。判断に迷うものは、税理士に確認してください。
このセクションの根拠:国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm)
03源泉所得税の納付

給与を支払うと、そこから所得税を控除して納めることになります。源泉徴収といいます。
原則として、給与を支払った月の翌月10日までに納付します。日本で会社設立をした外国人が、代表者に役員報酬を出す場合も対象になります。
給与の支払いを受ける人が常時10人未満である場合、納期の特例という制度を使えることがあります。年に2回にまとめて納める仕組みです。
納付が遅れると、加算税や延滞税がかかることがあります。会社設立の直後は手続きが多く、忘れやすい部分です。カレンダーに入れておいてください。
年末には年末調整という手続きもあります。1年分の所得税を精算するものです。外国人が日本で会社設立をして人を雇っている場合、この作業も来ます。
外国人の従業員がいる場合、その方の所得税の扱いも確認が必要です。居住者か非居住者かで税率が変わることがあります。日本で会社設立をして人を雇う外国人は、この点も税理士に確認してください。
年末調整では、従業員から書類を集めることになります。扶養の状況や保険料の支払いを申告してもらうものです。会社設立の1年目は、この作業も初めてになります。
このセクションの根拠:国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm)
決算を組む

事業年度が終わったら、その期間の数字をまとめます。決算といいます。
貸借対照表、損益計算書などの決算書類を作ります。1年間でいくら売り上げ、いくら使い、いくら残ったのかが分かる資料です。
日本で会社設立をした外国人にとって、この作業は初めてのものです。記帳が正確にできていれば、決算はその集計になります。
税理士に依頼する場合、この段階で資料を渡すことになります。領収書、請求書、通帳の記録、契約書。整理しておくと作業が早く進みます。
決算書類は、法人税の申告に使うだけでなく、在留期間の更新でも提出することがあります。会社設立の後、事業の状況を示す資料になります。
決算の作業には時間がかかります。事業年度が終わってから2か月というのは、思ったより短い期間です。日本で会社設立をした外国人は、決算の時期の前から資料を整理し始めてください。
決算のときには、在庫の数量を数える作業も入ります。物販や飲食の事業では、この作業が必要です。日本で会社設立をした外国人が、初めての決算で戸惑う部分のひとつです。
決算の内容は、次の事業年度の計画にもつながります。何にいくら使ったのか、どこで利益が出たのか。日本で会社設立をした外国人が事業を伸ばしていくうえで、この振り返りが役に立ちます。
このセクションの根拠:国税庁「法人税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/hojin.htm)
法人税の申告と納税

決算が組めたら、法人税の申告をします。原則として、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に申告と納税をすることとされています。
申告書は、決算書類をもとに作成します。e-Taxで提出することもできます。日本で会社設立をした外国人が自分で作成するのは難しいため、税理士に依頼することが多くあります。
赤字の場合、法人税はかかりません。ただし申告は必要です。青色申告の承認を受けていれば、欠損金を翌期以降に繰り越せる仕組みがあります。
納税の資金も準備しておいてください。利益が出た年は、納税額が大きくなることがあります。資金繰りに影響します。
在留期間の更新では、法人税等の納付義務を適切に履行しているかが確認されるとされています。外国人が日本で会社設立をして事業を続けるうえで、この点は重要です。
申告の期限を延長できる制度もあります。ただし条件があり、事前の手続きが必要です。会社設立の後、税理士に確認しておいてください。
納税は、金融機関の窓口、e-Tax、口座振替などの方法で行えます。会社設立の後、どの方法を使うかを決めておいてください。
このセクションの根拠:国税庁「法人税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/hojin.htm)
SECTION 06消費税と地方税

法人税のほかにも、申告と納税をする税があります。消費税、法人住民税、法人事業税です。
消費税は、課税事業者である場合に申告します。新しく設立した法人の納税義務の判定には、資本金の額が関わる仕組みがあります。
法人住民税には、所得がなくてもかかる均等割という部分があります。日本で会社設立をした外国人が、赤字の年でも納めることになる税です。
法人事業税も、都道府県に納めます。これらの地方税は、eLTAXを使って申告することもできます。
申告の時期は、法人税と同じ時期に来ることが多くあります。会社設立から1年後、まとめて作業をすることになります。
複数の自治体に拠点がある場合、それぞれに申告することになります。日本で会社設立をした外国人が事業を広げるときは、この点も考えてください。
消費税の申告が必要かどうかは、事業年度ごとに判定されます。日本で会社設立をした外国人が2年目、3年目と進むうちに、課税事業者になることがあります。毎年確認してください。
このセクションの根拠:地方税共同機構「eLTAX 地方税ポータルシステム」(https://www.eltax.lta.go.jp/)
税理士に依頼するかどうか

税務の作業をどこまで自分でやるかを決めてください。記帳から依頼するのか、決算と申告だけ依頼するのか。費用が変わります。
日本で会社設立をした外国人の場合、日本語での書類作成に不安があると、依頼する範囲が広くなりがちです。その分の費用も、資金計画に入れておいてください。
顧問料は毎月かかることが多く、決算と申告のときには別に費用が発生します。会社設立の直後に契約して、記帳の方法から相談する方が多くあります。
外国語での対応ができる税理士事務所もあります。数は限られますが、探せば見つかります。会社設立の相談をするとき、対応できる言語を聞いてみてください。
また、事業計画書の確認を依頼できる場合もあります。2025年10月16日施行の改正で、在留資格の申請には専門家の確認が必要になりました。窓口をまとめられると負担が減ります。
税理士を選ぶときは、料金だけでなく、連絡の取りやすさも見てください。日本で会社設立をした外国人にとって、聞きたいときに聞ける相手であることが大切です。
税理士との契約は、年単位で結ぶことが多くあります。会社設立の直後に決めた相手と、長く付き合うことになります。相性も含めて選んでください。
依頼したあとも、内容は確認してください。任せきりにすると、自分の会社の状況が分からなくなります。会社設立をした外国人にとって、数字を見る習慣は経営そのものです。
このセクションの根拠:国税庁「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」(https://www.e-tax.nta.go.jp/)
よくある質問

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。
法人税の申告はいつまでですか。
原則として、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に申告と納税をすることとされています。事業年度は、会社設立のときに定款で定めた期間です。
赤字でも申告は必要ですか。
赤字であっても申告は必要です。また、法人住民税の均等割は所得がなくてもかかります。青色申告の承認を受けていれば、欠損金を翌期以降に繰り越せる仕組みがあります。
記帳は自分でできますか。
会計ソフトを使えば自分でも進められます。ただし日本語の表示に慣れるまで時間がかかることがあります。税理士に記帳から依頼するという選択肢もあります。
この項目の根拠:国税庁「法人税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/hojin.htm)
09まとめ:記帳を続ければ決算は楽になる

外国人が日本で会社設立をしたあとの1年目の税務の流れを見てきました。日々の記帳を続けていれば、決算のときに慌てずに済みます。
- 会社設立の直後から記帳を始める。領収書も保管する
- 給与を払うなら、源泉所得税を毎月または年2回納める
- 事業年度が終わったら決算を組む。資料を整理しておく
- 法人税の申告と納税は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内
- 消費税と地方税の申告も同じ時期に来る
税務の取り扱いは事案によって変わります。この記事は流れの整理です。実際の処理については、税理士へご相談ください。
最後にひとつ。決算書類は、会社の1年間の記録です。数字を見れば、事業がどう動いたかが分かります。外国人が日本で会社設立をして事業を続けるうえで、自分の会社の数字を読めるようになると、判断が変わります。
このセクションの根拠:国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm)
読んでくださった方へ
税務の作業は、事業そのものではありません。それでも、続けなければ会社は動きません。
日本で会社設立をした外国人にとって、1年目はすべてが初めてです。負担も大きいと思います。ただ、2年目からは同じことの繰り返しになります。
記帳を後回しにしないこと。これだけで、1年目の負担はずいぶん軽くなります。月に一度、時間を決めて整理してみてください。
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