本文へ移動
会社設立 外国人 税金

公租公課の履行が在留期間の更新に効く|外国人の会社設立で滞納を作らない

公租公課の履行が在留期間の更新に効く|外国人の会社設立で滞納を作らない

この記事の対象

日本で会社設立をして在留資格「経営・管理」を持っている外国人の方が、在留期間の更新に向けて準備する場面を想定した記事です。

2025年10月16日施行の改正にともなう資料では、在留期間更新時に確認される公租公課の支払義務の履行状況が具体的に挙げられています。日ごろの事務処理が、そのまま審査に出る部分です。

以下は公表資料をもとにした整理です。個別の判断は事案によって変わります。更新の準備については、入管手続きに詳しい行政書士へご相談ください。

01公租公課とは何を指すか

公租公課の範囲
公租公課の範囲

公租公課という言葉は、税金と、社会保険料などの公的な負担をあわせて指すものです。会社が納めるべきものが対象になります。

入管庁の資料では、在留期間更新時には公租公課の支払義務の履行状況を確認するとされています。労働保険の適用状況、社会保険の適用状況、そして国税と地方税の納付状況が挙げられています。

日本で会社設立をした外国人にとって、この確認は日ごろの事務処理がそのまま出る部分です。会社設立の直後からきちんと処理しておけば、更新のときに困りません。

逆に、後回しにしていると、更新の直前に慌てることになります。滞納があれば、その解消も必要になります。

次の項から、それぞれの中身を見ていきます。

この確認が明記されたことで、日本で会社設立をした外国人にとって、事務処理の重要性が高まりました。事業がうまくいっていても、納付を怠っていれば更新に響きます。

逆に言えば、きちんと処理していれば、その記録が自分を守ります。会社設立の直後から、納付の記録を残しておいてください。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)

労働保険の適用状況

労働保険の適用状況
労働保険の適用状況

入管庁の資料では、労働保険の適用状況として、雇用保険の被保険者資格取得の履行、雇用保険の保険料納付の履行、労災保険の適用手続等の状況が挙げられています。

2025年10月16日施行の改正で、1人以上の常勤職員の雇用が必要になりました。人を雇っている以上、これらの手続きが発生します。

日本で会社設立をした外国人が、雇用の手続きを済ませていない場合、更新の場面で指摘を受けることになります。会社設立の直後に済ませておいてください。

労働保険には年度更新という手続きもあります。1年分の保険料を概算で申告して納め、翌年に確定させる仕組みです。毎年決まった時期に来ます。

手続きが多いため、社会保険労務士に依頼する方法もあります。会社設立の後、専門家に任せる範囲を決めておいてください。

雇用保険の被保険者資格取得届は、雇い入れた月の翌月10日までに提出することとされています。日本で会社設立をした外国人が人を雇ったとき、この期限も確認してください。

このセクションの根拠:厚生労働省「労働保険の成立手続」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/index.html)

社会保険の適用状況

社会保険の適用状況
社会保険の適用状況

入管庁の資料では、社会保険の適用状況として、健康保険および厚生年金保険の被保険者資格取得の履行と、上記社会保険料納付の履行が挙げられています。

法人の事業所は、常時従業員を使用する場合、健康保険と厚生年金保険の適用事業所になります。この従業員には、代表者ひとりだけの場合も含まれるとされています。

つまり、社長ひとりの会社でも加入が原則です。日本で会社設立をした外国人が、この点を知らずに加入していないことがあります。

新規適用届は、事実の発生から5日以内に提出することとされています。会社設立の直後は手続きが集中しますが、この期限は特に短くなっています。

加入を後回しにしたまま数年経つと、遡っての加入と保険料の支払いが必要になることがあります。負担が大きくなるため、早めに手続きしてください。

社会保険料は毎月納めます。金額は標準報酬月額にもとづいて決まります。日本で会社設立をした外国人が資金計画を立てるとき、この毎月の支出も入れておいてください。

加入の手続きには、登記事項証明書などの添付書類が必要です。会社設立の登記が完了してから動くことになります。証明書をまとめて取っておくと、この手続きも進めやすくなります。

このセクションの根拠:日本年金機構「適用事業所と被保険者」(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html)

SECTION 04国税の納付状況

国税の納付状況
国税の納付状況

入管庁の資料では、事業所として納付すべき国税について、法人の場合として、源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税が挙げられています。

個人事業主の場合は、源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税が挙げられています。

日本で会社設立をした外国人が法人としてやっている場合、前者が対象になります。源泉所得税は毎月または年2回、法人税と消費税は事業年度ごとに納めます。

納付が遅れると、加算税や延滞税がかかることがあります。金額が増えるだけでなく、更新の場面でも記録に残ります。

納税証明書という書類で、納付の状況を示すことができます。更新の申請で提出を求められることがあります。会社設立の後、取り方を確認しておいてください。

納税証明書には種類があります。未納の税額がないことを証明するもの、納付すべき税額を証明するものなど。更新の申請でどれが必要かは、行政書士に確認してください。

e-Taxを使えば、納税証明書の請求もオンラインでできることがあります。日本で会社設立をした外国人が窓口へ行く時間を取りにくい場合、こうした方法も検討してください。

このセクションの根拠:国税庁「法人税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/hojin.htm)

地方税の納付状況

地方税の納付状況
地方税の納付状況

入管庁の資料では、地方税について、法人の場合として法人住民税(都道府県民税・市区町村民税)と法人事業税が挙げられています。

法人住民税には、所得がなくてもかかる均等割という部分があります。赤字の年でも納めることになります。日本で会社設立をした外国人が、この負担を見落とすことがあります。

法人事業税は、都道府県に納めます。所得に応じてかかるものです。

納付書は、自治体から郵送で届きます。日本語で書かれているため、内容を確認できる体制にしておいてください。会社設立の後、郵便物の管理は重要です。

個人事業主の場合は、個人住民税と個人事業税が挙げられています。日本で会社設立をせずに個人でやっている外国人が対象になります。

均等割の金額は、資本金等の額によって変わります。在留資格の基準に合わせて資本金3,000万円にした場合、その分だけ均等割も上がることがあります。日本で会社設立をする外国人は、この点も知っておいてください。

このセクションの根拠:地方税共同機構「eLTAX 地方税ポータルシステム」(https://www.eltax.lta.go.jp/)

滞納がある場合

滞納がある場合の対応
滞納がある場合の対応

すでに滞納がある場合、更新の前に解消しておくのが基本です。納付できる分は納めてください。

一度に納められない場合、分納の相談ができることがあります。税務署や自治体、年金事務所に相談してみてください。相談の経過が分かる資料を残しておいてください。

日本で会社設立をした外国人が資金繰りに苦しむと、税や社会保険料の納付を後回しにしてしまうことがあります。ただ、これは更新に響きます。

入管庁の資料では、改正後の許可基準に適合しない場合であっても、経営状況が良好であり、法人税等の納付義務を適切に履行しており、次回更新申請時までに改正後の許可基準を満たす見込みがあるときは、その他の在留状況を総合的に考慮して判断するとされています。

つまり、納付義務の履行は、経過措置の判断でも材料になります。滞納があると、その分だけ不利になる可能性があります。

納付が難しい状況になったら、まず専門家に相談してください。税理士や社会保険労務士が、対応の方法を提案してくれることがあります。外国人が日本で会社設立をして事業を続けるうえで、こうした相談先を持っておくことが大切です。

分納の相談をした場合、その合意の内容を書面で残してもらってください。更新の申請で、状況を説明する材料になります。会社設立の後に資金繰りが厳しくなったとき、この記録が役に立ちます。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)

07日ごろの管理の仕方

日ごろの管理の仕方
日ごろの管理の仕方

公租公課の管理は、年間の予定表をつくることから始まります。いつ何が来るかを書き出しておいてください。

毎月来るのは、源泉所得税の納付と社会保険料の納付です。年に一度来るのは、労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届、法人税と地方税の申告、年末調整です。

日本で会社設立をした外国人にとって、これらはすべて初めてのものです。1年目に一度経験すれば、2年目からは同じことの繰り返しになります。

税理士や社会保険労務士に依頼していれば、時期が来ると連絡をもらえることもあります。会社設立の後、こうした体制を作っておくと安心です。

納税証明書や、社会保険の納付の記録は、更新の申請で使います。取っておいてください。

記録は、更新の申請の直前ではなく、日ごろから残しておいてください。納付書の控え、領収証書、電子納付の記録。日本で会社設立をした外国人にとって、これらが自分の事業を証明する材料になります。

また、これらの記録は融資の申込みでも使います。日本で会社設立をした外国人が資金を借りるとき、納税の状況が見られます。日ごろの処理が、事業の選択肢を広げることにもつながります。

このセクションの根拠:日本年金機構「1-1 事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」(https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/jigyosho/20141205.html)

よくある質問

よくある質問。判断の材料としてお読みください
よくある質問。判断の材料としてお読みください

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。

更新のときに何を確認されますか。

入管庁の資料では、労働保険の適用状況、社会保険の適用状況、そして事業所として納付すべき国税・地方税の納付状況が挙げられています。

社会保険に入っていない場合どうなりますか。

法人の事業所は、常時従業員を使用する場合、健康保険と厚生年金保険の適用事業所になります。代表者ひとりだけの場合も含まれるとされています。未加入の状態は更新のときに確認されるため、早めに手続きしてください。

滞納があると更新できませんか。

滞納があること自体で必ず不許可になるとは限りませんが、判断の材料になります。入管庁の資料では、経過措置の判断においても法人税等の納付義務を適切に履行していることが挙げられています。早めに解消するか、分納の相談をしてください。

この項目の根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)

まとめ:日ごろの処理が更新に出る

公租公課の管理の要点
公租公課の管理の要点

在留期間の更新で確認される公租公課について見てきました。労働保険、社会保険、国税、地方税。いずれも、会社設立の後に発生する義務です。

  1. 会社設立の直後に、労働保険と社会保険の手続きを済ませる
  2. 源泉所得税を毎月または年2回納める。遅れないようにする
  3. 法人税、消費税、地方税を期限内に申告し、納税する
  4. 年間の予定表をつくり、いつ何が来るかを把握する
  5. 滞納があれば、更新の前に解消するか、分納の相談をする

個別の判断は事案によって変わります。この記事は公表資料をもとにした整理です。更新の準備については、入管手続きに詳しい行政書士へご相談ください。

最後にひとつ。公租公課の管理は地味な作業ですが、日本で会社設立をした外国人にとっては、在留資格を守る作業でもあります。1年目からきちんと処理しておいてください。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html)

読んでくださった方へ

税や社会保険の納付は、事業が苦しいときほど後回しにしたくなるものです。ただ、それが在留資格に影響するとなると、話は変わります。

日本で会社設立をした外国人にとって、事業を続けることと、日本にいられることは直結しています。納付の管理は、その両方を守る作業です。

資金繰りが厳しいときは、放置せずに相談してください。早く動けば、取れる方法があります。

この記事は役に立ちましたか?

押した数は同じ端末では二重に数えません。内容の誤りや制度変更に気づいた方は、お問い合わせページからご連絡ください。