外国人の会社設立と資本金|3000万円の基準は誰に必要か、数え方、いつからか、飲食店の場合まで

最初にお伝えしたいこと
日本で会社設立をしたい外国人の方と、資本金の相談を受けた行政書士・会計事務所・取引先の担当者のためのページです。
「外国人は資本金3,000万円がないと会社をつくれない」という言い方を見かけますが、正確ではありません。3,000万円は在留資格「経営・管理」の基準で、会社法の下限ではないからです。ここでは、その基準が誰に当てはまり、何を数え、いつから始まったのかを、入管庁の資料に沿って確かめていきます。
金額や扱いは2026年10月時点の公表資料によります。資金の集め方や税務は事業ごとに違うため、実際の判断は税理士や行政書士、金融機関と相談してください。
外国人の会社設立で資本金はいくら?会社法の1円と、在留資格の3,000万円

会社設立で外国人が払い込む資本金はいくらか。関連する質問に出てくるこの問いには、物差しを2本用意すると答えやすくなります。1本目は会社法で、株式会社の資本金は1円からでも設立できます。国籍による違いはありません。
2本目は在留資格です。日本で会社設立をした外国人が、その会社の経営者として在留資格「経営・管理」を取るなら、2025年10月16日以降は資本金等3,000万円以上が基準になります。会社の設立と、経営管理ビザの申請とで、求められる額がまったく違うわけです。
資本金の額は、設立にかかる税金にも響きます。株式会社の設立登記の登録免許税は資本金の額の1000分の7で、最低15万円です。少額の資本金なら15万円、3,000万円なら21万円になります。

資本金を決める4つの物差し:資本金の決め方を4つの物差しで考える|外国人の会社設立で会社法・在留資格・税金・信用を並べる
このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)
外国人が会社設立するには資本金3000万円必要ですか?当てはまる人と、当てはまらない人

外国人であれば誰でも資本金3,000万円が必要、というわけではありません。基準が当てはまるのは、在留資格「経営・管理」で日本で事業を経営または管理する人です。
- 当てはまるこれから経営管理ビザを申請する人。経営者でなく管理者として活動する人も含む
- 当てはまる(猶予あり)施行日前から経営・管理で在留している人。令和10年10月16日までの更新は総合判断
- 当てはまらない永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者など活動に制限のない人
- そもそも別の話出資だけして経営に関わらない人。資本金の額は会社法と事業の都合で決める
入管庁のQ&Aでは、申請人が管理者として活動する場合でも資本金等の要件を満たす必要があるとされています。雇われ社長や支店長のような立場でも、会社の規模は3,000万円以上で見られるということです。
個人事業で日本で事業を始める外国人も、在留資格「経営・管理」を取るなら対象です。ただし数え方が違い、事業所の確保や雇用する職員の1年間分の給与、設備投資経費など、事業のために投下された総額で見られます。証明には、直近年度の決算文書や、必要に応じて領収書などを出すとされています。
3,000万円が要る人・要らない人:資本金3000万円の集め方|外国人の会社設立で自己資金・借入・共同出資・増資をどう説明するか
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)
SECTION 03経営管理ビザの資本金3000万円の数え方|資本準備金・合算・複数の会社

法人の場合、3,000万円に数えるのは株式会社の払込済資本の額(資本金の額)、または合名会社・合資会社・合同会社の出資の総額です。入管庁は、登記事項証明書などで事業の規模が3,000万円以上か確認するとしています。日本で会社設立をした外国人が気をつけたいのは、ここに入らないものです。
| よくある疑問 | 入管庁の答え |
|---|---|
| 資本準備金も含めてよいか | 含まれない。資本剰余金・利益剰余金も含まれない |
| 給与や事務所の維持費を足せるか | 法人は資本金の額または出資の総額で判断するため、合算できない |
| 複数の会社の資本金を合わせられるか | できない。いずれか一つの会社が3,000万円以上である必要がある |
| 決算前で貸借対照表がない | 設立時または設立後の任意の時点の貸借対照表を作って出す |

申請書の資本金の欄は3段に分かれています。1段目は事業の用に供される財産の総額、2段目は払込済資本の額または出資の総額、3段目はそのうち申請人本人の出資額を書くと案内されています。共同で出資して会社設立をする場合は、本人がいくら出したかが別に見えるということです。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html)
経営管理ビザ 500万円から3000万円へ、いつから?施行日と経過措置

関連キーワードの「経営管理ビザ 500万円 いつから」「経営管理ビザ 3000万円 いつから」は、同じ改正の前後を指しています。入管庁の見直し資料では、従前の要件は資本金・出資総額500万円(資本金の代わりに2人以上の雇用でも可)、改正後は3,000万円とされています。施行は2025年10月16日です。

3年が過ぎた後も、すぐに一律で不許可になるわけではありません。見直し資料では、改正後の基準に適合しない場合でも、経営状況や法人税の納付状況などを総合的に考慮して判断するため、資本金の額等が3,000万円に満たないことのみをもって一律に不許可とはしない、と書かれています。
施行日と経過措置:外国人の会社設立に関わる改正はいつから?|経営管理ビザ3000万円・500万円が切り替わる日付の読み方
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」許可基準に係る見直しについて(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448231.pdf)
資本金3000万円はなぜ必要なのか|入管庁の資料から読める範囲

関連する質問には「資本金3000万円の外国人はなぜ必要なのか?」もあります。ここでは制度の背景を推測で語らず、入管庁の資料に書かれている前提だけを拾います。
入管庁のQ&Aは、登記事項証明書などで「経営する事業の規模が3,000万円以上の事業の規模であるか確認します」と説明しています。資本金は、事業の規模を測る物差しとして使われているということです。
改正後の規模等に応じた経営活動を行うための事業所を確保する必要があることから、自宅を事業所と兼ねることは、原則として認められません。出典:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」
事業所についての記述も、同じ「規模」という言葉で書かれています。常勤職員1人以上の雇用、事業計画書の専門家確認、経歴の要件とあわせて読むと、改正後の基準は、一定の規模で実際に事業を動かす会社を想定していると読めます。外国人が日本で会社設立をするとき、3,000万円だけを集めても、ほかの基準とそろっていなければ申請は通りにくいと考えてください。
政策としての理由や評価を知りたい方は、報道や専門家の解説も参考になります。ページ末尾の紹介サイトには、改正を報じた新聞記事も入れています。
3,000万円の理由を資料から読む:資本金3000万円はなぜ必要なのか|外国人の会社設立を国会答弁と入管庁の資料から読む
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html)
06外国人が資本金3000万円で飲食店を開くとき|許認可と事業所の扱い

関連キーワードに「外国人 資本金3000万円 飲食店」があります。飲食店を開くために日本で会社設立をする外国人にも、経営管理ビザの基準は同じように当てはまります。入管庁の資料に、業種によって資本金の基準を変えるという記載はありません。
飲食店ならではの論点は、許認可と店舗です。改正後は、事業に必要な許認可の取得状況を示す資料の提出が求められます。在留許可を受けてからでないと許認可が取れないなど正当な理由があるときは、次回の更新申請のときに提出すればよいとされ、その場合は取得できない具体的な理由を書いた文書(様式自由)を出すよう案内されています。

注意したいのは、店舗の内装や厨房設備にお金をかけても、法人の場合はそれで3,000万円を満たしたことにはならない点です。数えるのは資本金の額で、内装や設備はその資本金の使いみちという位置づけになります。飲食店の会社設立では、開業資金の計画と、資本金の額の計画を分けて立ててください。
飲食店を開くときの許認可と資本金:外国人が資本金3000万円で飲食店を開くとき|会社設立・営業許可・店舗・スタッフの順番
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/businessmanager.html)
資本金3,000万円の用意と払込み|海外からの送金と、払込みの証明

会社設立のために3,000万円を用意する方法は、自己資金、借入、共同出資、増資などに分かれます。どれを選んでも、在留資格の審査では、その資金がどこから来たのかを説明できることが大切になります。急に増えた預金は、経路を聞かれると考えておいてください。
払込みの手続きにも決まりがあります。法務省の案内では、株式会社の発起設立で払込みがあったことを証する書面として、払込取扱機関に払い込まれた金額を証する書面と、口座の通帳の写しや取引明細などを合わせたものを使えるとされています。
- ●払込先:日本の銀行の国内本支店、外国銀行の日本国内支店、内国銀行の海外支店。外国の現地法人の銀行は対象外
- ●外貨で払い込む場合:払込日の為替相場と、それで換算した日本円の額を書面に記載する
- ●通帳の名義人:発起人か設立時取締役(設立時取締役なら受領権限の委任状を付ける)
- ●発起人と設立時取締役の全員が日本に住所がない場合:第三者の口座も認められる(委任状を付ける)
海外に住む外国人が日本で会社設立をする場合、この最後の特例が使えるかどうかで段取りが変わります。協力者の口座を使うなら、委任状の作り方と、そのお金の流れを後から説明できるかを、事前に確認してください。
3,000万円の用意の仕方と説明の準備:資本金3000万円の集め方|外国人の会社設立で自己資金・借入・共同出資・増資をどう説明するか
払込みの口座と証明のつくり方:資本金の払込みはどうやる?外国人が日本で会社設立するときの口座と払込証明のつくり方
このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)
資本金と会社設立のよくある質問

外国人の会社設立と資本金について、相談で繰り返し出てくる質問をまとめました。事案ごとに結論が変わることがあるため、判断の材料としてお使いください。
永住者が会社設立をするとき、資本金はいくら必要ですか?
在留資格の基準としての3,000万円は当てはまりません。会社法上は1円からでも設立でき、登録免許税や取引先からの見え方などを踏まえて、事業に合う額を決めることになります。
合同会社でも3,000万円が必要ですか?
経営・管理の在留資格を取るなら必要です。合同会社の場合は、出資の総額が3,000万円以上かで見られます。
経営管理ビザの申請後に増資して3,000万円にすればよいですか?
新しく申請する場合は、登記事項証明書などで事業の規模を確認するとされているため、申請までに資本金を3,000万円以上にして登記を済ませておくのが前提です。すでに在留している人の更新については、令和10年10月16日までの経過措置があります。
この項目の根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」許可基準に係る見直しについて(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448231.pdf)
SECTION 09まとめ:資本金は「会社法」「在留資格」「説明」の3つで決める

外国人の会社設立と資本金の話は、どの物差しで測っているかを取り違えると、ずれていきます。最後に要点を並べます。
- 会社法の下限は1円。3,000万円は在留資格「経営・管理」の基準
- 永住者など活動に制限のない人には、3,000万円の基準は当てはまらない
- 数えるのは登記された資本金か出資の総額。資本準備金や合算は数えない
- 2025年10月16日から3,000万円。在留中の人は令和10年10月16日まで総合判断
- 飲食店でも基準は同じ。許認可と店舗の準備を並行させる
- 払込みは銀行と名義人の決まりを守り、資金の出どころを説明できるようにする
資本金の額は、会社設立の最初に決めて登記に載る数字です。あとから直すと登記と費用が追加でかかります。日本で会社設立をする前に、在留資格の予定と資金計画を並べて、専門家と一度確かめておくのがいちばんの近道です。
このセクションの根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)
資本金で悩んでいる方へ
3,000万円という数字は大きく、ここで日本での会社設立をあきらめかける外国人の方もいます。ただ、自分が本当にその基準の対象なのか、数え方を誤っていないかを確かめると、見通しが変わることがあります。
資金の集め方や払込みの段取りは、一人ひとり事情が違います。数字を固める前に、在留資格と会計の両方が分かる専門家へ相談してみてください。
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