外国人の合同会社設立|1人でできるか、代表社員・出資・ビザ・外国人雇用まで

このページを読んでほしい方
合同会社という形で日本に会社をつくろうとしている外国人の方と、その準備を横で支える行政書士、人事、取引先の担当者に向けて書いています。株式会社より費用が軽いと聞いて合同会社に関心を持ったものの、自分の在留資格や出資のしかたで本当に足りるのか、まだ確信が持てない段階の方を想定しました。
検索では「合同会社は1人で設立できますか?」「合同会社がダメな理由は何ですか?」といった質問が並び、関連キーワードには「代表社員 外国人」「外国人 出資」「外国人雇用」が出てきます。このページは、その問いを一つずつ取り上げる地図の役目をします。手続きの細部や株式会社との10項目の比較は、それぞれの子記事に分けました。
記載は2026年10月時点で公表されている法務省、出入国在留管理庁、厚生労働省などの資料にもとづきます。
外国人が合同会社を設立するには:会社設立の流れを4つに分ける

「外国人が合同会社を設立するにはどうしたらいいですか?」という質問への短い答えは、会社の中身を決め、定款を作り、出資を払い込み、法務局へ登記を申請する、の4段階です。法務省の案内では、合同会社の定款は公証人の認証を受ける必要がないとされています。株式会社の会社設立で避けて通れない公証役場の予約が、そっくり抜けるわけです。

定款は、社員になろうとする人が作り、全員が署名または記名押印します。目的、商号、本店の所在地、社員の氏名と住所、全員が有限責任社員であること、出資の目的と価額は、必ず書かなければならない事項です。出資は、定款を作ったあと、設立の登記をするまでに全額を払い込みます。
外国人の会社設立で見落としやすいのは、この4段階の前にある準備です。同じ法務省のページは、日本に滞在する目的に応じた在留資格の申請や、外国為替及び外国貿易法にもとづく報告が、登記の手続きより前に必要になる場合があると注意しています。印鑑登録をしていない人は、署名と本国官憲のサイン証明で記名押印に代えます。
書類の取り寄せ、払込みの記録の作り方、登記が終わるまでの待ち時間は、手続きの子記事で日程表と一緒に追っています。
手続きを順番に追う:合同会社の設立手続きを工程ごとに|外国人が日本で会社設立を進める定款・出資・登記の書類と日程
このセクションの根拠:法務省「合同会社の設立手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00141.html)
02合同会社は1人で設立できるか:外国人ひとりの会社設立

関連する質問の「合同会社は1人で設立できますか?」には、できる、と答えられます。会社法は社員が1人の合同会社を認めており、外国人がひとりで出資して日本で会社設立をする場合、その人が唯一の社員であり、業務を執行する社員であり、会社を代表する代表社員になります。
ここでいう社員は、日常の日本語でいう従業員ではなく、出資者のことです。この言葉のずれは、外国人の方が日本の資料を読むときにつまずきやすい点のひとつです。
- 社員出資した人。会社法上の言葉で、雇われて働く人とは別です。
- 業務執行社員会社の業務を行う社員。定款で絞ることもできます。
- 代表社員会社を代表する社員。氏名と住所が登記されます。
- 従業員雇用契約で働く人。社員とは呼びますが、出資者ではありません。
1人で始めた合同会社にも、あとから社員を迎えることはできます。ただし、新しく加わった社員は原則として業務の執行にも関わる立場になります。将来、経営には口を出さない出資者を入れたいと考えているなら、定款で業務執行社員を誰にするかを決めておくか、最初から株式会社を選ぶかを比べておくと迷いが減ります。
合同会社という仕組みそのもの、有限責任の意味、LLCという英語の呼び方と米国の制度との違いは、基本の子記事にまとめました。
合同会社の仕組みと費用:合同会社(LLC)の仕組みと会社設立の費用|外国人が日本で選ぶ前に知る「社員」と定款認証
このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)
合同会社の代表社員が外国人のとき:住所・署名・法人の代表社員

関連キーワードの「合同会社 代表社員 外国人」で調べる人は、外国人が代表になれるか、日本に住んでいなくてよいかを気にしています。法務省は、内国会社の代表者のうち少なくとも1人が日本に住所を持たなければならないという以前の取扱いを廃止しており、代表者の全員が海外に住んでいても設立の登記を申請できると案内しています。日本人である必要もないとされています。
| 代表社員 | 本人を示すもの | 確認しておくこと |
|---|---|---|
| 日本に住む外国人(印鑑登録あり) | 市区町村の印鑑証明書 | 登記する氏名の表記を在留カードとそろえる |
| 印鑑登録のない外国人 | 署名と、本国官憲などのサイン証明 | 外国語の証明書には日本語訳を付ける |
| 外国法人 | 法人の存在と代表権を示す証明書、宣誓供述書など | 職務執行者を選び、その氏名と住所も登記する |
※ 求められる書類の形は事案と登記所で変わります。申請先の法務局か司法書士へ事前に確認してください。
合同会社に特有なのは、法人が代表社員になれる点です。本国の会社が出資して日本に合同会社をつくり、その本国の会社自身が代表社員になる形は、外国法人の日本拠点でよく見られます。法人は自分で手を動かせないため、その職務を行う人として職務執行者を選び、氏名と住所を登記します。職務執行者を選んだことと、本人が就任を承諾したことを示す書面も添付します。
外国人の代表社員:外国人が合同会社の代表社員になる会社設立|海外在住・サイン証明・職務執行者と登記の決まり
このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)
合同会社への外国人の出資:海外送金と外為法の報告

関連キーワードの「合同会社 外国人 出資」は、外国に住む人や外国の会社が、日本の合同会社にお金を出せるかという疑問です。出資する人の国籍や住所に制限はありません。問題になるのは、そのお金をどの口座に、いつ入れ、どう記録するかという実務と、外国からの投資に関する届け出です。
- 払込みの方法を決める会社の口座はまだないので、代表社員などの個人口座に入れる形がよく使われます。
- 定款を作ってから送金する定款より前の日付の入金は、出資として扱われないことがあります。
- 着金額を確かめる海外送金は手数料や為替で目減りします。定款の額に届かなければ追加で入れます。
- 記録を残す代表社員が作る払込みの証明書や領収書に、通帳や取引明細の写しを合わせて登記に添えます。
外国人や外国法人が日本の会社に出資するとき、外国為替及び外国貿易法の対内直接投資等に当たり、日本銀行を通じた報告や、業種によっては事前の届出が必要になる場合があります。どの様式をいつまでに出すかは、事業の内容と出資の割合で変わるため、日本銀行の外為法Q&Aで確かめるか、専門家に判断してもらってください。このページでは期限の数字までは書きません。
合同会社では、利益の配分を出資の割合と違う形に定款で決めることもできます。共同で会社設立をするなら、出資額、配分、退社するときの払い戻しを定款の段階で決めておいてください。
出資と外為法の報告:合同会社への外国人の出資と会社設立|海外送金の段取り、外為法の報告、出資比率と利益配分
このセクションの根拠:日本銀行「よく寄せられる質問と回答(外為法Q&A):「対内直接投資・特定取得に関する報告書・届出書」関係」(https://www.boj.or.jp/about/services/tame/faq/t_naito.htm)
SECTION 05合同会社と外国人のビザ:経営・管理と出資の総額3,000万円

関連キーワードの「合同会社 外国人 ビザ」と、関連する質問の「資本金3000万円必要ですか?」は、同じ不安から出ています。日本に住んで合同会社を経営する外国人の多くは、在留資格「経営・管理」を申請します。2025年10月16日施行の改正で、その基準に3,000万円以上の資本金等が入りました。入管庁の資料では、合同会社の場合は出資の総額を指すとされています。
つまり、費用を抑えるために合同会社を選んでも、経営・管理を取るための金額の基準は下がりません。会社法の上では少ない出資でも合同会社をつくれますが、それは在留資格とは別の物差しです。永住者や日本人の配偶者等など、活動に制限のない在留資格の方が日本で会社設立をする場合は、この基準を当てはめる場面ではありません。

公表された許可基準に、株式会社と合同会社のどちらが有利という書き方はありません。会社の形よりも、事業の中身と、申請する人が実際に経営しているかどうかが見られます。基準の一つひとつをどう満たすかは、ビザのカテゴリーで扱っています。
合同会社と経営・管理:合同会社で会社設立した外国人の経営管理ビザ|出資の総額3,000万円の数え方と代表社員の役割
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)
合同会社の外国人雇用:在留カードの確認と雇用状況の届出

関連キーワードの「合同会社 外国人雇用」には、二つの立場の人が混ざっています。外国人が会社設立をした合同会社で人を雇いたい人と、日本人が経営する合同会社が外国人を採用したい人です。どちらの場合も、雇い主が合同会社であることで特別な手続きが増えるわけではなく、株式会社と同じ決まりが当てはまります。
厚生労働省は、外国人を雇い入れたときと離職したときに、すべての事業主がハローワークへ届け出る必要があると案内しています。特別永住者と、在留資格「外交」「公用」の人は対象外です。届け出る事項は在留カードか旅券で確かめ、在留カードの写しを添える必要はないとされています。
| 区分 | 雇い入れたとき | 離職したとき |
|---|---|---|
| 雇用保険の被保険者になる人 | 翌月10日まで(資格取得届で届出) | 翌日から10日以内(資格喪失届で届出) |
| 雇用保険の被保険者にならない人 | 翌月末日まで | 翌月末日まで |
※ 届出を怠ったり偽ったりすると30万円以下の罰金の対象になります。2026年10月時点の案内です。
採用の前には、その人の在留資格で、任せたい仕事をしてよいかを確かめます。就労の範囲が決まっている在留資格では、仕事の内容が範囲から外れると、本人だけでなく会社の側も問題になります。判断に迷う職種は、採用を決める前に行政書士か出入国在留管理局に確認してください。
合同会社の外国人雇用:合同会社の外国人雇用|会社設立のあとに要る在留カードの確認、任せる仕事、ハローワークへの届出
このセクションの根拠:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html)
合同会社がダメと言われる理由と、株式会社との比べ方

関連する質問の「合同会社がダメな理由は何ですか?」を調べると、行政書士事務所などの解説では、社会的な信用が株式会社より低く見られることがある、株式を発行してまとまった資金を集める形がとれない、社員どうしの関係がこじれると経営に響きやすい、といった点が挙げられています。どれも、すべての合同会社に当てはまる欠点というより、事業の相手や将来の計画によって効いたり効かなかったりする性質です。

外国人が日本で会社設立をするとき、合同会社を選ぶ理由として大きいのは、定款認証が要らないことと、登録免許税の最低額が6万円で済むことです。株式会社は最低15万円なので、資本金が小さいうちは費用の差がはっきり出ます。一方、経営・管理の基準に合わせて出資を3,000万円にすると、登録免許税はどちらも21万円になり、差は定款認証の手数料の分だけに縮みます。
日本の合同会社は、名前が似ていても米国のLLCとは税の扱いが違い、法人として法人税の対象になります。本国のLLCと同じ感覚で選ぶと、想定と違う結果になることがあります。税の扱いは、会社設立の前に税理士へ確かめてください。
設立費用、任期、決算公告、意思決定のしかたまで10項目で並べた比較は、子記事にあります。
株式会社との10項目の比較:合同会社と株式会社の違いを10項目で比較|外国人の会社設立でどちらを選ぶかの判断材料
このセクションの根拠:金森国際行政書士事務所(外国人雇用・就労ビザステーション)「株式会社と合同会社の比較(外国人会社設立)」(https://visa-station.jp/shurou/keiei-kanri-visa/kabusikigaisya-goudougaisya-hikaku/)
08合同会社の設立でよく聞かれること

検索の「関連する質問」と、外国人の会社設立の相談でくり返し出る質問を選びました。答えが事案で変わるものは、確認先も添えています。
外国人でも合同会社の代表社員になれますか。
なれます。国籍の条件はなく、法務省の案内では代表者の全員が海外に住んでいても設立の登記を申請できるとされています。日本で経営者として働くかどうかは、在留資格の側で別に確認します。
合同会社の設立にかかる法定費用はいくらですか。
設立登記の登録免許税は出資の総額の1000分の7で、6万円に満たなければ6万円です。定款認証の手数料はかかりません。紙の定款なら収入印紙4万円が加わり、電子定款ならかかりません。専門家への報酬は別です。
合同会社でも経営・管理のビザは取れますか。
公表された許可基準に会社の形による有利不利は書かれていません。資本金等の額は、合同会社なら出資の総額を指すとされ、3,000万円以上という基準も同じです。
あとから株式会社に変えられますか。
組織変更という手続きで変えられます。ただし手続きと費用がかかるため、取引先や資金調達の計画が見えているなら、会社設立の時点で形を選ぶほうが負担は小さくなります。
この項目の根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)
まとめ:外国人の合同会社設立は、出資と代表社員の形から決める

合同会社は、外国人ひとりでも、海外に住んだままでも、外国の会社が代表社員になる形でもつくれます。公証役場での認証がなく、日本で会社設立をする費用と手間を軽くできるのが強みです。その代わり、在留資格の基準や雇用の決まりは株式会社と変わりません。
- 出資する人と代表社員を決め、それぞれの住所と在留資格を確かめる
- 印鑑証明書が使えるか、サイン証明が必要かを人ごとに分ける
- 外国からの出資なら、外為法の報告が要るかを先に確かめる
- 経営・管理を取るなら、出資の総額を3,000万円以上で組む
- 人を雇うときは、在留カードで就労の範囲を確かめ、届出を出す
合同会社の会社設立は、決めることが少ない分、最初の設計がそのまま会社の形になります。登記は司法書士、在留資格は行政書士、税務は税理士へ、事情を具体的に伝えて確認してください。
このセクションの根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)
合同会社で日本での一歩を踏み出す方へ
合同会社は、身軽に始めたい人のための形です。株式会社ほど知られていないことを気にする声もありますが、事業の中身をきちんと説明できれば、会社の形だけで判断される場面はそれほど多くありません。
外国人の方が日本で会社設立をするときに時間がかかるのは、本国からの書類と、在留資格の準備です。出資の段取りと代表社員の決め方が固まったら、法務局と専門家への相談を早めに始めてください。
支える側の方は、本人が社員として何を出し、何を担うのかを一緒に書き出してあげてください。それが定款の下書きになります。
この記事は役に立ちましたか?
押した数は同じ端末では二重に数えません。内容の誤りや制度変更に気づいた方は、お問い合わせページからご連絡ください。



