外国人の会社設立と雇用|常勤職員1人の要件、初めて外国人を雇う手続き、社会保険と労働保険

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日本で会社設立をした、またはこれからする外国人の経営者で、「人を雇わなければならないらしいが、誰を、どういう手続きで」というところで止まっている方に向けたページです。外国人が代表を務める会社で採用や労務を担当する方、手続きを手伝う社会保険労務士・行政書士事務所の方にも役立つように書いています。
外国人の会社設立と雇用の関係は、2025年10月16日施行の改正で大きく変わりました。在留資格「経営・管理」で、資本金等の額3,000万円以上に加えて、1人以上の常勤職員の雇用が求められるようになったからです。人を雇うと、在留資格だけでなく、労働保険、社会保険、税金の手続きが一緒に始まります。
ここでは、誰を雇えば要件になるのか、雇った日から何をいつまでに出すのかを全体の地図として示し、細かい計算や書類は子記事に回しています。期限や金額は2026年10月時点の各機関の案内によります。
会社が外国人を雇う理由、外国人の経営者が人を雇う理由

「会社が外国人を雇う理由は何ですか」「日本の企業は外国人を雇い入れますか」という質問は、検索でもよく並びます。数字で見ると、厚生労働省が2026年1月30日に公表した「外国人雇用状況」の届出状況では、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人、外国人を雇用する事業所は37万1,215所で、どちらも届出が義務化された2007年以降で最も多くなっています。

雇う理由は会社ごとに違い、人手の確保、語学や海外との取引、専門の技術などさまざまです。ただ、外国人が日本で会社設立をした場合は、もうひとつの向きの雇用があります。外国人の経営者自身が、日本で人を雇う側に立つということです。
- 要件としての雇用経営・管理の在留資格で、1人以上の常勤職員の雇用が求められる。誰でもよいわけではない。
- 事業としての雇用本国の言葉が話せる人、日本の取引先と話せる人など、事業に必要な人を雇う。外国人を雇うこともある。
この2つは重なることもあれば、重ならないこともあります。要件を満たす人を1人雇い、それとは別に事業のために外国人を雇う、という形もとれます。どちらの雇用でも、雇った日から届出と保険の手続きが動き出す点は同じです。
外国人を雇う理由と、雇う側の準備:会社が外国人を雇う理由は何か|調査で多い答えと、外国人の経営者が会社設立後に雇用する3つの理由
このセクションの根拠:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html)
経営管理ビザの常勤職員1人以上:外国人の会社設立で誰を雇えば要件になるか

入管庁の資料では、改正後の経営・管理について、申請者が営む会社等で1人以上の常勤職員を雇用することが必要とされています。以前は資本金の額か常勤職員の人数のどちらかを満たせばよいという取り扱いでしたが、いまは資本金等の額3,000万円以上と常勤職員1人以上の両方です。

同じ国から来た仲間を雇っても、その人が技術・人文知識・国際業務などの在留資格であれば、この要件の常勤職員には数えられません。一方、日本語能力の要件のところでは、常勤職員に法別表第一の在留資格の外国人も含まれるとされています。同じ「常勤職員」という言葉でも、どの要件の話かで範囲が違うので注意してください。
常勤とは、継続的にフルタイムで働く形を指すと考えられています。在留期間の更新では、雇用保険の加入や保険料の納付など、労働保険と社会保険の状況が確認されるとされています。名前だけを借りる形では説明がつかないので、実際に働いてもらう前提で採用を計画してください。
常勤職員の要件をくわしく:常勤職員1人以上という雇用要件|外国人の会社設立で数えられる人と働き方
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)
03合同会社に外国人が出資する場合、出資者と雇用される人は別に考える

関連キーワードに「合同会社 外国人 出資」が出てくるのは、仲間と一緒にお金を出して合同会社をつくり、その仲間に働いてもらおう、と考える外国人の方が多いからでしょう。ここで整理しておきたいのは、合同会社の「社員」という言葉の意味です。
会社法でいう合同会社の社員は、出資をした人のことです。一般にいう従業員ではありません。出資した社員は会社の持ち主であり、業務を執行する立場にもなりえますが、雇用契約にもとづいて給料を受け取る従業員とは立場が違います。
| 立場 | 会社との関係 | 雇用の手続き |
|---|---|---|
| 出資した社員 | 出資によって会社の持ち主になる | 雇用契約を結ぶ立場ではない |
| 代表社員・業務執行社員 | 会社の業務を執行し、代表する | 役員として扱われる |
| 従業員 | 雇用契約を結んで働く | 労働保険・社会保険・外国人雇用状況の届出の対象になる |
そのため、出資してくれた仲間で常勤職員の要件を満たそうとする設計は、説明が難しくなります。厚生労働省の案内でも、労働保険は労働者を一人でも雇っていれば加入するもので、役員は原則として対象外とされています。出資者とは別に、雇用契約を結ぶ常勤職員を置く前提で計画を立て、個別の扱いは行政書士に確かめてください。
合同会社への外国人の出資:合同会社への外国人の出資と会社設立|海外送金の段取り、外為法の報告、出資比率と利益配分
このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)
初めて外国人を雇用するときの手続き:在留カードの確認と外国人雇用状況の届出

「初めて外国人を雇用するときの手続きは?」という質問には、雇う前の確認と、雇ったあとの届出に分けて答えるのが分かりやすいでしょう。外国人の経営者が日本で会社設立をして外国人を雇う場合も、日本人の経営者と同じ義務を負います。

外国人雇用状況の届出は、外国人を雇ったときと離職したときに、事業主がハローワークへ出すものです。対象は外国人労働者のうち、在留資格「外交」「公用」の人と特別永住者を除いた人です。届出の際は在留カードや旅券で内容を確認し、写しの添付は不要とされています。届出を怠ったり虚偽の届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象になります。
最初のひとりの採用の実務:最初のひとりの採用と雇用契約|外国人の会社設立後に人を雇う実務の順番
このセクションの根拠:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html)
人を雇った日から始まる労働保険:成立届と雇用保険の期限

労働者を一人でも雇えば、事業主は労働保険(労災保険と雇用保険)に加入します。社長ひとりの会社のうちは関係がなくても、常勤職員を雇った時点で手続きが始まります。兵庫労働局の案内では、雇用したときの手続きが次のように整理されています。

外国人を雇った場合は、雇用保険の資格取得届に在留資格などを書くことで、外国人雇用状況の届出を兼ねられます。窓口が労働基準監督署とハローワークに分かれているので、日本で会社設立をした直後は、どちらに何を出すのかを一覧にしておくと迷いません。
労働保険の保険料は、1年分を概算で申告して納め、翌年に確定させる仕組みです。この年度更新は、原則として毎年6月1日から7月10日の間に行うとされています。最初の年は申告の作業そのものが初めてになるので、時期をカレンダーに入れておいてください。
このセクションの根拠:兵庫労働局「労働者を雇用したとき(労働保険)」(https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudou_hoken/tetsuzuki/ippan_jigyo/koyoushitatoki.html)
SECTION 06社会保険は社長ひとりでも加入:会社設立直後の新規適用届

健康保険と厚生年金保険は、労働保険とは考え方が違います。日本年金機構の案内では、常時従業員を使用する法人の事業所は加入が義務づけられており、役員報酬を受け取る代表者ひとりの会社でも対象になります。個人事業では常時5人以上という人数の基準がありますが、法人にすると人数に関係なく加入する形です。
- 登記を終え、登記事項証明書を取る新規適用届の添付書類になります。
- 新規適用届を出す事業所が適用されることになった事実の発生から5日以内に、事業主が提出します。
- 被保険者資格取得届を出す代表者や常勤職員の分を、新規適用届と一緒に出します。被扶養者がいれば異動届も。
- 国民健康保険から切り替える代表者が国民健康保険に入っていた場合は、市区町村で切替えの手続きをします。
5日以内という期限は、会社設立の後の手続きの中でも特に短いものです。登記の完了や証明書の取得が遅れて間に合いそうにないときは、黙って遅らせるより、年金事務所に事情を伝えて相談してください。
社会保険の加入手続き:法人の社会保険はいつ加入するか|外国人の会社設立で登記の直後に出す届と、雇用したときの期限
このセクションの根拠:日本年金機構「1-1 事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」(https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/jigyosho/20141205.html)
人件費と年間の手続き:常勤職員1人を雇い続けるために

常勤職員を1人雇うと、毎月の給与に加えて、健康保険料と厚生年金保険料の会社負担分、雇用保険料の会社負担分、全額が会社負担の労災保険料がかかります。代表者自身の役員報酬にも社会保険料がかかるため、常勤職員1人と代表者1人の会社なら2人分を会社が負担することになります。料率は年度や都道府県で変わるため、資金計画を立てる時点の最新の料率で計算してください。

手続きは雇った日で終わらず、1年を通して続きます。毎月の給与計算と保険料の納付、源泉所得税の納付。年に一度の社会保険の算定基礎届、労働保険の年度更新、年末調整。人が辞めたときには資格喪失届と、外国人であれば外国人雇用状況の届出です。経営・管理の在留資格で常勤職員が要件になっている会社では、その人が辞めたときの体制をどう保つかも考えておく必要があります。
人件費の見積もり方:常勤職員を雇用する人件費の見積もり方|外国人の会社設立で1年分を積み上げる
社会保険料の負担:社会保険料の負担はいくらか|外国人の会社設立で役員と雇用する人に毎月かかるお金
社会保険の年間スケジュール:社会保険と労働保険の年間スケジュール|外国人の会社設立後、人を雇用してから来る手続き
このセクションの根拠:日本年金機構「適用事業所と被保険者」(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html)
外国人の会社設立と雇用のよくある質問

外国人が日本で会社設立をしたあと、雇用について相談の場でよく出る質問です。在留資格の判断は事案によって分かれるため、目安としてお読みください。
日本人の配偶者を常勤職員として雇えますか。
日本人や、日本人の配偶者等の在留資格をもつ人は、常勤職員の対象に含まれます。ただし実際にフルタイムで働いていることが前提で、雇用契約や社会保険の加入など、勤務の実態を示せる形にしておく必要があります。
留学生をアルバイトで雇えば、常勤職員の要件を満たせますか。
満たせません。留学は法別表第一の在留資格で、常勤職員の対象外とされています。また留学生を雇うには資格外活動の許可が必要で、包括的な許可では1週について28時間以内などの範囲が定められています。
常勤職員が辞めたらどうなりますか。
社会保険と雇用保険の資格喪失届を出し、外国人であれば外国人雇用状況の届出もします。経営・管理では常勤職員1人以上の雇用が要件のため、次の人を雇うまでの体制について、早めに行政書士へ相談してください。
外国人を雇ったとき、入管にも届け出る必要がありますか。
技術・人文知識・国際業務などで働く外国人本人は、勤め先が変わったときなどに、14日以内に所属機関に関する届出を入管へ出します。会社の側は、外国人雇用状況の届出をハローワークに出していれば、入管への所属機関による届出は不要とされています(出入国在留管理庁のQ&A)。
この項目の根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html)
09まとめ:雇用は会社設立の計画に最初から組み込む

外国人の会社設立と雇用について、要件、手続き、費用の順に見てきました。改正後の経営・管理では、人を雇うことが会社の設計そのものに入っています。会社設立の段階から、採用の時期と人件費を計画に入れておくことが、在留資格の更新までを見通すことにつながります。
- ●常勤職員は日本人、特別永住者、法別表第二の在留資格の人に限られる
- ●合同会社の出資者は従業員ではない。雇用契約を結ぶ常勤職員を別に置く
- ●外国人を雇うときは在留カードを確認し、外国人雇用状況の届出を期限内に出す
- ●労働保険は成立届が10日以内、雇用保険の資格取得届は翌月10日まで
- ●社会保険は法人なら社長ひとりでも加入。新規適用届は5日以内
- ●人件費は会社負担の保険料まで含め、1年分を積み上げて資本金と比べる
期限や料率は改定されることがあります。実際の手続きの前に、厚生労働省、日本年金機構、管轄の労働基準監督署やハローワークの案内を確認してください。労務の手続きは社会保険労務士へ、在留資格の要件は行政書士へ相談すると、手戻りが少なくなります。
このセクションの根拠:厚生労働省「労働保険の成立手続」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/index.html)
最初のひとりを迎える前に
人を雇うことは、外国人の経営者にとって、日本の制度とまとめて向き合う最初の場面です。在留カード、雇用契約、労働保険、社会保険、源泉徴収。名前は多くても、雇った日を起点に期限が並んでいるだけなので、日付順に並べれば一つずつ片づけられます。
日本で会社設立をした外国人の方は、採用が決まったら、その日から10日以内と翌月10日までに出すものを紙に書き出してみてください。そこまで終われば、あとは毎月と毎年のくり返しです。
採用や労務を手伝う方は、雇う人の在留資格と、その人が経営・管理の常勤職員に当たるかを最初に確かめてください。そこが分かれば、届出の種類も在留資格の説明も、迷わずに決まります。
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