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司法書士が外国人の登記で確かめること|会社設立の本人確認・氏名と住所・署名証明・翻訳・払込み

司法書士が外国人の登記で確かめること|会社設立の本人確認・氏名と住所・署名証明・翻訳・払込み

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日本で会社設立をする外国人で、司法書士に登記を頼むことは決めたけれど、「何を聞かれるのか」「どんな書類を求められるのか」を前もって知っておきたい方に向けた記事です。役員や出資者に海外在住の外国人が含まれる会社を、主に想定しています。

外国人の役員を迎える会社の総務担当や、外国人の経営者と司法書士のあいだで書類の受け渡しをする協力者の方にも、準備の段取りとして読んでいただけるようにしました。

内容は2026年10月時点の法務省・法務局・警察庁の公開情報と、司法書士事務所による実務解説にもとづいています。登記で受け付けられる書類の細部は管轄の法務局の判断によるため、最終的には依頼する司法書士の指示に従ってください。

司法書士 外国人 登記:依頼を受けた司法書士が最初に見る「人・書類・お金」

司法書士が外国人の会社設立の登記で最初に確かめる3つの軸
司法書士が外国人の会社設立の登記で最初に確かめる3つの軸

サジェストの「司法書士 外国人 登記」で調べている方が気にしているのは、外国人が関わると司法書士の確認がどう変わるのか、という点だと思います。外国人の会社設立の登記で、司法書士が最初の打ち合わせで確かめることは、大きく三つに分けられます。

外国人が関わる設立登記で司法書士が確かめる3つの軸(法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」などをもとに作成)
外国人が関わる設立登記で司法書士が確かめる3つの軸(法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」などをもとに作成)

法務省は、2015年(平成27年)3月16日の通知で代表取締役のうち1人は日本に住所を持つという取扱いを廃止しており、いまは代表取締役の全員が海外に住んでいても設立登記を申請できるとしています。日本人である必要もありません。つまり、外国人だから登記ができないという場面はほとんどなく、司法書士の仕事は「日本の登記で通る形に書類をそろえること」に集中します。

この記事では、司法書士の確認の順番に沿って、依頼する側が準備しておくことを見ていきます。どれも事前に分かっていれば、本国とのやり取りを1往復減らせるものばかりです。

このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)

依頼者の本人確認:会社設立の登記で司法書士が取引時確認をする理由

犯罪収益移転防止法にもとづき、司法書士は会社設立の依頼者を確認する
犯罪収益移転防止法にもとづき、司法書士は会社設立の依頼者を確認する

司法書士に会社設立の登記を頼むと、最初にパスポートや在留カードの提示を求められます。警察庁のJAFICがまとめた犯罪収益移転防止法の概要によると、司法書士は特定事業者に当たり、会社等の設立又は合併等に関する行為又は手続の代理・代行が特定業務とされています。依頼を受ける時点で取引時確認を行う義務があるということです。

2024年(令和6年)4月1日からは、本人特定事項の確認に加え、取引を行う目的、職業・事業の内容、実質的支配者の確認も行うことになりました。外国人の会社設立では、出資者が本国の会社だったり、出資者と経営者が別の人だったりすることがあるため、誰が最終的に会社を支配するのかを説明する場面が出てきます。

  1. 本人確認書類を用意するパスポート、日本に住んでいれば在留カード。法人が出資するなら、その会社の存在を示す書類。
  2. 事業の内容を説明できるようにする何の事業を、どこで、誰を相手に行うのか。事業計画書の下書きがあれば十分です。
  3. 実質的支配者を整理する出資比率と、議決権を誰が持つかを図にしておくと説明が短く済みます。
  4. 面談の方法を確認する海外在住ならオンラインでの面談や、書類の送付による確認の方法を事前に聞いておきます。

同じ概要によると、司法書士は疑わしい取引の届出義務の対象から外れており、資産及び収入の状況の確認も不要とされています。とはいえ確認そのものは省略されないため、日本で会社設立をする外国人は、身分証と事業の説明を最初の面談に持っていくつもりで準備しておくのが確実です。

このセクションの根拠:警察庁 犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)「犯罪収益移転防止法の概要(令和8年8月7日時点)」(https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/hourei/data/hougaiyou20260807.pdf)

03外国人の氏名をどう登記するか:カタカナ表記と書類の突き合わせ

外国人の役員の氏名は、登記ではカタカナで記載するのが原則
外国人の役員の氏名は、登記ではカタカナで記載するのが原則

商業登記では、外国人の役員の氏名はカタカナで記載するのが原則とされています。司法書士事務所の解説では、漢字を使う国の人は登記に使える漢字であれば漢字で登記でき、使えない字を含む場合はカタカナに置き換える扱いが紹介されています。どの読みを当てるかは本人の希望を聞いて決めることになります。

司法書士が気にするのは、カタカナの決め方そのものより、書類のあいだで表記がそろっているかどうかです。パスポートのローマ字、署名証明書の表記、定款や就任承諾書のカタカナ、払込みの口座の名義。このどこかでミドルネームの有無や姓と名の順番が違うと、同じ人であることを説明する手間が増えます。

氏名の表記をそろえる書類(例)
書類 表記 確認すること
パスポート ローマ字 ミドルネーム、姓と名の順番
署名証明書 ローマ字(国による) パスポートと同じ綴りか
定款・就任承諾書 カタカナ(または登記に使える漢字) 全書類で同じカタカナか
払込みの口座 銀行の登録名義 定款の発起人と同じ人と分かるか

※ 表記の扱いは管轄の法務局の判断によります。迷う場合は司法書士を通じて事前に確認してください。

外国人の会社設立を依頼するときは、全員分のパスポートの写しと、希望するカタカナ表記を一覧にして渡してください。これだけで、司法書士が書類を作り始めるまでの時間がかなり縮まります。

このセクションの根拠:司法書士事務所リーガルエステート「外国人関与の登記実務|氏名表記(カタカナ・ローマ字)の論点整理」(https://s-legalestate.com/name-notation)

役員の住所と本人確認証明書:海外に住む外国人の場合の書き方

外国人の役員の住所と、それを裏付ける本人確認証明書
外国人の役員の住所と、それを裏付ける本人確認証明書

株式会社の設立登記では、代表取締役の住所が登記されます。日本で暮らしている外国人なら住民票の住所、海外に住んでいるなら現地の住所を書くことになります。海外の住所の書き方は国ごとに順序が違うため、司法書士と相談して登記上の表記を決めます。

法務省の案内では、株式会社の設立登記と取締役・監査役などの就任の登記(再任を除く)では、印鑑証明書を添付する場合を除き、役員の本人確認証明書を付けることになっています。例として挙げられているのは、個人番号の記載がない住民票の写し、戸籍の附票、運転免許証などのコピー(裏面も含め、本人が「原本と相違がない」と書いて記名したもの)です。

  • 日本に住んでいる外国人の役員住民票の写しや在留カードのコピーなどが本人確認証明書の候補になります。印鑑登録をしていれば印鑑証明書を使う方法もあります。
  • 海外に住んでいる外国人の役員住民票がないため、どの書面で住所と氏名を示すかを司法書士と決めます。署名証明書や宣誓供述書で住所も証明する方法がとられることがあります。
  • 通知カード個人番号の通知カードは本人確認証明書に使えません。

外国人の場合の本人確認証明書の扱いについて、法務省のページは「管轄の登記所にお尋ねください」としています。海外在住の役員がいる会社設立では、ここが司法書士の腕の見せどころで、どの国のどの書類を使うかで本国での準備の中身が変わります。依頼の早い段階で、役員一人ひとりの住所の状況を伝えてください。

このセクションの根拠:法務省「添付書面としての本人確認証明書及び旧氏の併記について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00085.html)

署名証明書を受け取ったら司法書士が確かめること

外国人の会社設立で印鑑証明書の代わりになる署名証明書の確認
外国人の会社設立で印鑑証明書の代わりになる署名証明書の確認

印鑑証明書を取れない外国人は、署名証明書(サイン証明)で代えます。法務省の案内では、原則として本国官憲が作成したものが必要で、住んでいる国にある本国の大使館などが作ったものや、本国の公証人が作ったものも使えるとされています。やむを得ない事情があれば、居住国の官憲や公証人、日本の公証人が作ったものが認められることもあります。

署名証明書を受け取った司法書士が見るところ(法務省の案内と司法書士事務所の解説をもとに作成)
署名証明書を受け取った司法書士が見るところ(法務省の案内と司法書士事務所の解説をもとに作成)

司法書士事務所の解説では、ある国の在日大使館で署名証明書が発行されていない時期があり、その場合は別の方法を探す必要があったという例も紹介されています。国ごとに事情が違うため、取りに行く前に、司法書士にどの機関で何を作ってもらうかを決めてもらうのが近道です。

署名証明書に添えて定款などに署名する場合、印鑑を押せない外国人は、契印の代わりに各ページのつづり目への署名やイニシャルで対応できるとも法務省は示しています。どの方法をとるかも、事前に司法書士と合わせておいてください。

このセクションの根拠:司法書士法人永田町事務所「宣誓供述書や署名(サイン)証明書の取得地や注意点」(https://asanagi.co.jp/2022/06/18/3590/)

SECTION 06外国語の書類と日本語訳:省略できる部分と、日本語で作る議事録

外国人の会社設立の登記に付ける外国語書類の翻訳
外国人の会社設立の登記に付ける外国語書類の翻訳

法務省は、商業登記の申請書に添付する外国語の書面には、原則として日本語訳を付けるとしています。そのうえで、官公署の証明書のうち本国の行政上の目的でしか使わない欄などは、訳文に「翻訳省略」と書いて訳を省ける場合があると示しています。ただし、証明書を作った機関(領事や公証人など)が分かる部分は省略できません。

同じ内容が二つの外国語で書かれた証明書なら、片方の訳で足りるという扱いも示されています。訳文を誰が作るかについて、法務省のページは特定の資格を求めていません。本人や会社の担当者が訳し、司法書士が確認するという分担もよく見られます。

外国人の会社設立では、本国の会社の登記簿や宣誓供述書など、長い外国語の書類が出てくることがあります。どの部分を訳し、どこを省略するかで訳文の量が大きく変わるため、翻訳に取りかかる前に司法書士に範囲を決めてもらうと、時間も費用も抑えられます。

このセクションの根拠:法務省「商業登記の申請書に添付される外国語で作成された書面の翻訳について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00102.html)

資本金の払込みの確認:払込取扱機関と、口座の名義

外国人の会社設立で司法書士が確かめる資本金の払込み
外国人の会社設立で司法書士が確かめる資本金の払込み

発起設立の株式会社では、払込みを証する書面として、設立時代表取締役などが作る「払い込まれた金額を証する書面」と、払込取扱機関が作った預金通帳の写しや取引明細表などを合わせて使います。司法書士は、この口座が払込取扱機関の口座に当たるか、名義が認められる人か、金額と日付が定款と合っているかを確かめます。

払込取扱機関に当たる口座・当たらない口座(法務省の案内による)
口座のある銀行 払込取扱機関か
内国銀行の日本国内の本支店 当たる
内国銀行の海外支店(現地法人は除く) 当たる
外国銀行の日本国内支店 当たる
外国銀行の海外の本支店 当たらない
外国の法律で設立された現地法人の銀行 当たらない

※ 外貨預金に払い込んだ場合は、払込日の為替相場と円換算した金額をあわせて書きます。

口座の名義として認められるのは、発起人か設立時取締役です。設立時取締役の口座を使うときは、払込金の受領権限を委任したことを示す委任状が必要になります。発起人と設立時取締役の全員が日本に住所を持たない場合に限り、第三者(法人を含む)の口座も認められ、その場合も委任状が要ります。

海外に住む外国人だけで日本での会社設立をするとき、日本に住む協力者の口座を払込みに使う例があるのはこのためです。ただ、協力者の口座に入った資本金を会社の口座へ移すまでの段取りや、在留資格の審査で資金の流れをどう説明するかまで考えておかないと、登記のあとで困ります。

このセクションの根拠:会社設立JAPAN「会社設立時の資本金払込口座について」(https://samurai-law.com/kaisha/sub01_06/)

まとめ:外国人の登記は、司法書士に渡す前の準備で早さが決まる

司法書士に外国人の会社設立の登記を頼む前の準備
司法書士に外国人の会社設立の登記を頼む前の準備

司法書士が外国人の登記で確かめることは、人・書類・お金の三つに集約されます。どれも外国人の会社設立だからこそ増える確認ですが、依頼する側が前もって材料をそろえておけば、日本での会社設立の日程は大きく崩れません。

  1. 司法書士は犯罪収益移転防止法の特定事業者。会社設立の代理では本人特定事項と、取引目的・事業内容・実質的支配者を確認する
  2. 外国人の役員の氏名は、登記ではカタカナが原則。全書類で表記をそろえる
  3. 印鑑証明書を付けない役員は本人確認証明書が必要。海外在住者の扱いは管轄の登記所に確認
  4. 署名証明書は作成者が登記で認められる機関かを先に確かめる
  5. 外国語の書類は原則として全体を訳す。日本の会社の議事録は日本語で作る
  6. 資本金は払込取扱機関の、発起人か設立時取締役の口座へ。全員が海外在住なら第三者の口座も可

最初の打ち合わせには、全員分のパスポートの写し、希望するカタカナ表記、住所の状況、資本金をどこからどこへ送るかのメモを持っていってください。司法書士への依頼がはじめての外国人でも、これだけで話はかなり具体的になります。

このセクションの根拠:法務省「商業・法人登記」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06.html)

これから司法書士に連絡する方へ

日本で外国人の登記を扱った経験は、司法書士ごとにかなり差があります。最初の問い合わせで「役員に海外在住の外国人がいる」「本国の会社が出資する」など、自分の会社設立の事情を一言で伝え、同じような案件を扱ったことがあるかを聞いてみてください。

本人確認の質問や、資金の出どころについての質問は、司法書士が法律にもとづいて行っているものです。答えにくいと感じても、ここで説明した資料は在留資格の申請でもそのまま役立ちます。

海外にいる外国人と司法書士のあいだで書類を受け渡す日本側の方は、届いた書類をすぐに司法書士へ回し、自分で中身を直さないようにしてください。署名証明書や訳文は、手を加えた時点で使えなくなることがあります。

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