資本金の払込みはどうやる?外国人が日本で会社設立するときの口座と払込証明のつくり方

この記事の対象
定款まで進んで、これから資本金を払い込む段階にいる外国人の方と、その作業を手伝う日本側の担当者に向けた記事です。どの口座に、いつ、どうやって入れるのかを確認したい場面を想定しています。
日本で会社設立をするとき、資本金の払込みは登記の添付書類につながる作業です。手順そのものは難しくありませんが、順番と日付を間違えると、登記の段階でやり直しになります。
特に外国人の場合、口座の準備や海外からの送金で、日本人だけで設立する場合には起きない問題が出てきます。その部分を中心にまとめました。
SECTION 01資本金はなぜ発起人個人の口座に払い込むのか

資本金の払込みは、会社設立の登記より前に行います。この時点では会社はまだ登記されていないため、会社名義の口座は存在しません。そこで、発起人個人の口座に払い込み、その記録を残すという方法をとります。
外国人が日本で会社設立をする場合、この個人口座をどう用意するかが最初の壁になります。日本に住民登録があり在留カードを持っていれば、通常は口座を作れます。海外在住の場合は、この点が難しくなります。
- 誰の口座か発起人(株式会社の場合)または社員(合同会社の場合)の個人口座です。
- どの銀行か日本の銀行法に規定されている銀行などを使います。
- いつ入れるか定款の作成のあとに入れるのが原則とされています。
- 何を残すか通帳の表紙、1ページ目、入金の記載があるページの写しを取ります。
すでに持っている個人口座を使うことができます。会社設立のために新しく作る必要はありません。ただし、入金の記録が分かりやすいほうがよいため、動きの少ない口座を使う方もいます。
発起人が複数いる場合は、それぞれが自分の名義で振り込みます。誰がいくら出したのかが通帳の記録から読み取れる状態にしておくと、あとの説明が楽になります。外国人が日本で会社設立をするとき、本国の家族から出資を受ける形をとることもありますが、その場合も名義と金額の対応が分かるようにしてください。
口座を持っていない場合は、まず個人の口座を開くところから始めます。日本に住民登録があり在留カードを持っていれば、通常は開設できます。ただし、在留期間が短い場合や、来日して間もない場合は、開設を断られることもあります。会社設立の日程には、この時間も見込んでおいてください。
このセクションの根拠:会社設立JAPAN「会社設立時の資本金払込口座について」(https://samurai-law.com/kaisha/sub01_06/)
入れる順番と日付

払込みは、定款を作成したあとに行うのが原則とされています。定款の日付より前に入金されていると、そのお金が資本金として払い込まれたものなのか、それとも個人のお金なのかが区別できないためです。
外国人が日本で会社設立をするとき、この順番を知らずに先に送金してしまう例があります。特に本国から送る場合、着金までに数日かかるため、送金を早めに指示したくなります。しかし、着金の日付が基準になる点に注意してください。

合同会社の場合は定款の認証がないため、定款の作成日が基準になります。株式会社の場合も、認証の日ではなく定款の作成日を基準に考えるのが一般的です。どちらにしても、払込みが先にならないようにするという点は同じです。
このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)
払込みがあったことを証する書面のつくり方

登記に添える書類として、払込みがあったことを証する書面を作ります。代表取締役または代表社員が作成し、会社の実印を押します。これに通帳の写しなどを合わせて綴じます。
- ●通帳の表紙:銀行名と支店名が分かる部分です。
- ●通帳の1ページ目(表紙の裏):口座名義、口座番号が分かる部分です。
- ●入金の記載があるページ:日付、金額、振込人の名前が分かる部分です。
- ●払込みがあったことを証する書面:払い込まれた金額の総額と株式数などを記載します。
日本で会社設立をする外国人が発起人の場合、通帳の名義がローマ字やカタカナになっていることがあります。定款に書いた氏名の表記と、通帳の名義の表記が違うと、同一人物であることの確認を求められることがあります。
綴じ方や記載の様式は、法務局の案内に示されています。書式そのものは難しくありませんが、金額や日付の書き間違いは補正の対象になります。会社設立の登記を司法書士に依頼している場合は、この部分も含めて作成してもらえます。
払込みの金額は、定款に書いた資本金の額と一致している必要があります。為替の関係で端数が出た場合や、振込手数料が引かれて着金額が減ってしまった場合は、不足分を追加で入金します。会社設立の実務では、手数料の分を上乗せして送金しておく方法がよく使われます。
このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)
04海外から送金する場合の注意

外国人が日本で会社設立をするとき、資本金を本国から送ることがあります。この場合、いくつか確認しておくことがあります。
着金までの日数
海外送金は、中継銀行を経由するため数日かかることがあります。通貨や国によっては、さらに時間がかかります。定款の作成日と着金日の前後関係を守るには、この日数を見込んで日程を組む必要があります。
円以外の通貨で入金された場合
外貨のまま入金されると、円換算をどうするかという問題が出ます。資本金の額は円で登記されるためです。為替レートの証明が必要になることがあります。会社設立の前に、金融機関と法務局に確認しておくと安心です。
送金の目的の確認
金融機関から、送金の目的や資金の出どころについて確認を受けることがあります。犯罪収益移転防止法にもとづく取引時確認が義務づけられているためです。会社設立のための資本金であることを説明できるようにしておいてください。
送金元の名義も確認しておいてください。発起人本人の口座から送るのが基本です。第三者の口座から送金されると、誰が出資したのかが分かりにくくなります。日本で会社設立をする外国人が、本国の会社の口座から送るような場合は、事前に説明の方法を決めておいてください。
このセクションの根拠:警察庁「犯罪収益移転防止法の解説(JAFIC)」(https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/hourei/law_com.htm)
協力者を立てる場合の整理

海外在住の外国人が日本で会社設立をする場合、日本に住む人に協力してもらうことがあります。資本金の払込先として口座を使わせてもらう、発起人や設立時取締役に一時的に入ってもらう、といった形です。
手続きとしては進みますが、あとで整理が必要になります。実際の出資者は誰なのか、経営するのは誰なのか。在留資格の審査ではこの点が問われます。名義だけを借りる形は、後から解消するのに手間がかかります。
- 協力の範囲何をどこまで頼むのかを、書面で残しておきます。
- 出資の実態実際に誰が出したお金なのかが分かるようにします。
- 役員の変更協力者に一時的に役員になってもらった場合、後で変更登記が必要になります。
- 費用役員変更の登記には登録免許税がかかります。資本金1億円以下の会社では1件につき1万円です。
協力者に頼む場合、その方にも負担がかかることを忘れないでください。発起人になれば出資の記録が残り、役員になれば登記に氏名と住所が載ります。会社設立が終わったあとの整理まで含めて、事前に説明し、了解を得ておくことが大切です。
このセクションの根拠:さくら国際(司法書士法人・行政書士法人)「非居住外国人のみで会社を設立し、会社名義の銀行口座は開設できますか」(https://www.sakura-kokusai.com/case/866/)
払込みのあと、資本金のお金はどうなるか

払い込んだ資本金は、登記が終わって法人口座が開設できたら、会社の口座に移します。そこから先は、会社の資金として事業に使えます。
ただし、法人口座の開設には時間がかかります。外国人が代表の会社では、審査に数週間かかることも珍しくありません。その間、資本金は発起人個人の口座に置いたままになります。
日本で会社設立をした直後は、法人口座がないまま支払いが発生することがあります。会社の設立費用や、事務所の初期費用などです。これらを個人が立て替えた場合は、領収書を保管し、あとで精算する形にします。
このセクションの根拠:全国銀行協会「全国銀行協会」(https://www.zenginkyo.or.jp/)
SECTION 07よくある失敗と、その避け方

資本金の払込みでつまずく例は、いくつかの型に分かれます。日本で会社設立をする外国人によく起きるものを挙げます。

どれも、会社設立の前に確認しておけば避けられるものです。特に日付の順番は、あとから直すことができません。送金の手配をする前に、定款の日程を確認してください。
もうひとつ挙げるなら、通帳を記帳していないまま写しを取ろうとして慌てる例です。ネット銀行でない場合、記帳しないと入金の記録がページに反映されません。会社設立の書類を作る直前になって気づくことが多いので、払込みの後すぐに記帳しておいてください。
このセクションの根拠:会社設立JAPAN「会社設立時の資本金払込口座について」(https://samurai-law.com/kaisha/sub01_06/)
よくある質問

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。
資本金はどの口座に払い込みますか。
会社設立の登記が終わるまで会社名義の口座はないため、発起人(合同会社では社員)の個人口座に払い込みます。登記の完了後、法人口座を開設してそこへ移します。
定款の作成前に入金してしまいました。
払込みは定款の作成のあとに行うのが原則とされています。日付が前後している場合の取り扱いは事案によりますので、登記を出す法務局または司法書士にご相談ください。
海外の口座から送金してもよいですか。
日本国内の口座に着金することが必要です。外貨で入金された場合は円換算の証明が必要になることがあります。着金までの日数も含めて、事前に金融機関へ確認してください。
この項目の根拠:会社設立JAPAN「会社設立時の資本金払込口座について」(https://samurai-law.com/kaisha/sub01_06/)
まとめ:日付と記録を押さえる

資本金の払込みは、外国人が日本で会社設立をする過程の中で、作業としては短い部分です。しかし、日付の順番と記録の残し方を間違えると、登記の段階でやり直しになります。
- 定款を作成する。この日付を基準にする
- 発起人個人の口座を用意する。海外在住なら協力者の検討も含めて考える
- 定款の日付より後に払い込む。海外送金は着金日を確認する
- 通帳の写しや取引明細を取り、払込みがあったことを証する書面をつくる
- 登記を申請する。完了後、法人口座を開いて資金を移す
手続きの細かい様式は法務局の案内をご確認ください。海外からの送金や協力者を立てる形については、事案によって整理の仕方が変わります。会社設立の登記は司法書士、在留資格は行政書士へご相談ください。
このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)
読んでくださった方へ
資本金の払込みは、事務作業のように見えて、実は日程全体を左右する部分です。海外からの送金が絡むと、なおさら見通しが立てにくくなります。
日本で会社設立をする外国人の方から、この工程についての相談をよく受けます。多くは「順番を知らなかった」というものです。この記事が、その確認に役立てば幸いです。
送金の手配をする前に、一度、定款の日程と着金の見込みを並べてみてください。それだけで避けられる手戻りがあります。
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