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外国人が日本で合同会社を設立するとき|仕組み・費用・株式会社との違い

外国人が日本で合同会社を設立するとき|仕組み・費用・株式会社との違い

この記事の対象

日本で会社設立をするにあたって、合同会社を検討している外国人の方に向けた記事です。費用を抑えたい、手続きを簡単にしたい、という理由で検討することが多い形態です。

合同会社は、出資した人がそのまま経営する形の会社です。株式会社と違って、定款の認証がありません。その分、設立の費用と日数を抑えられます。

ただし、対外的な見え方や将来の選択肢の面で違いもあります。この記事では、仕組みと手続きを整理したうえで、選ぶときの判断材料をお示しします。

合同会社の仕組み

合同会社では、出資と経営が一体になっています
合同会社では、出資と経営が一体になっています

合同会社は、出資した人がそのまま経営に当たる形の会社です。株式会社のように、株主と取締役という区分けがありません。

合同会社では、出資者のことを社員と呼びます。日本語の日常的な用法では社員は従業員を指しますが、会社法上の社員は出資者のことです。外国人が日本で会社設立をするとき、この言葉の違いで混乱することがあります。

  • 社員出資者のことです。従業員ではありません。
  • 業務執行社員業務を執行する社員です。定款で定めます。
  • 代表社員会社を代表する社員です。登記されます。
  • 従業員雇われて働く人です。会社法上の社員とは別です。

ひとりで会社設立をする場合、その人が唯一の社員であり、業務執行社員であり、代表社員になります。株式会社の場合と同じく、ひとりでも設立できます。

日本で会社設立をする外国人が代表社員になる場合、登記されるのは代表社員としての氏名と住所です。株式会社の代表取締役に相当する立場です。

合同会社の社員は、出資した額を限度に責任を負います。個人の財産すべてで責任を負うわけではありません。この点は株式会社の株主と同じです。

合同会社は2006年に施行された会社法で新しく設けられた形態です。それ以前からある有限会社とは別のものです。日本で会社設立をする外国人が資料を読むとき、有限会社という言葉が出てきたら、いまは新しく設立できない形だと考えてください。

このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)

定款認証がないという違い

合同会社には定款認証の工程がありません
合同会社には定款認証の工程がありません

合同会社では、定款の認証が不要です。定款そのものは作りますが、公証人に認証してもらう工程がありません。これが株式会社との大きな違いです。

認証がないため、認証手数料の3万円から5万円と、謄本代がかかりません。予約や事前確認のやり取りも不要になるため、会社設立の日数も短くなります。

外国人が日本で会社設立をする場合、公証役場での書類の扱いを確認する手間が省けるのは大きな利点です。印鑑証明書が取れない場合の扱いも、法務局への確認だけで済みます。

定款には、目的、商号、本店の所在地、社員の氏名と住所、出資の目的と価額などを記載します。会社設立の書類として、株式会社と同じくらい大切なものです。

定款の作成そのものは、株式会社と同じくらいの作業量です。認証がないだけで、内容を考える手間は変わりません。外国人が日本で会社設立をする場合、事業目的の書き方などは同じように検討することになります。

このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)

03費用がどれだけ違うか

合同会社と株式会社の設立費用の差
合同会社と株式会社の設立費用の差

設立時の法定費用を比べると、合同会社のほうが10万円以上安くなります。認証手数料がかからないことと、設立登記の登録免許税の最低額が低いことが理由です。

設立時の法定費用の比較(電子定款の場合)
設立時の法定費用の比較(電子定款の場合)

ただし、資本金の額が大きくなると、この差は相対的に小さくなります。登録免許税は資本金の額の1000分の7で計算されるため、資本金3,000万円であれば、どちらも21万円になります。

在留資格「経営・管理」の基準に合わせて資本金3,000万円にする外国人が日本で会社設立をする場合、登録免許税の差はなくなり、認証手数料の差だけが残ります。それでも5万円程度の差にはなります。

設立後の維持費にも差があります。株式会社では決算公告の義務がありますが、合同会社にはありません。日本で会社設立をした外国人が長く続けることを考えると、こうした細かい違いも積み重なります。

設立の日数でも差が出ます。株式会社では公証役場への事前確認と予約が入るため、そこで1週間前後かかることがあります。合同会社にはこの工程がないため、書類がそろえばすぐに登記へ進めます。会社設立を急ぐ事情がある外国人にとっては、この差が判断材料になることもあります。

このセクションの根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)

設立の手続きの流れ

合同会社の設立手続きの流れ
合同会社の設立手続きの流れ

合同会社の設立は、定款の作成、出資金の払込み、登記の申請という流れで進みます。株式会社と比べて、認証の工程がありません。

  1. 会社の内容を決める商号、事業目的、出資の額、本店所在地、社員の構成、事業年度を決めます。
  2. 定款を作成する社員が定款を作り、署名または記名押印します。認証は不要です。
  3. 出資金を払い込む社員の個人口座に払い込み、通帳の写しなどで記録を残します。
  4. 代表社員を決める定款で定めるか、社員の互選で決めます。
  5. 登記を申請する本店所在地を管轄する法務局へ提出します。申請日が設立日になります。

日本で会社設立をする外国人の場合、印鑑証明書が取れないときの扱いは株式会社と同じです。記名押印に代えて署名し、その署名が本人のものであることを本国の官憲が証明した書類を添えることになります。

確認先が法務局だけになるため、事前の問い合わせも一か所で済みます。会社設立の準備が少し楽になる部分です。

出資金の払込みも、株式会社と同じく社員個人の口座に行います。会社の口座はまだないためです。海外から送金する場合の注意点も同じです。着金日と定款の日付の前後関係を確認してください。

登記の申請書の様式は、株式会社のものとは別です。法務局のページから合同会社用の様式をダウンロードしてください。日本で会社設立をする外国人が自分で申請する場合、様式を間違えないようにしてください。

このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)

在留資格との関係

在留資格の審査と会社形態の関係
在留資格の審査と会社形態の関係

在留資格「経営・管理」の審査において、株式会社と合同会社のどちらが有利ということは、公表された許可基準の中には書かれていません。

入管庁の資料では、資本金等の額について、事業主体が法人である場合、株式会社における払込済資本の額(資本金の額)、または合名会社、合資会社若しくは合同会社の出資の総額を指すとされています。合同会社も同じ基準の対象です。

つまり、外国人が日本で会社設立をして合同会社を選んだ場合も、3,000万円以上の出資の総額が必要になります。費用を抑えるために合同会社にしても、この基準は変わりません。

事業計画書の内容も、会社の形態によって変わるものではありません。何をどう売るのか、いくら見込んでいるのか。外国人が日本で会社設立をして在留資格を申請するときに求められることは、株式会社でも合同会社でも同じです。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)

SECTION 06合同会社が向いている場合

合同会社が選ばれる場面
合同会社が選ばれる場面

合同会社が向いているのは、費用を抑えて始めたい場合と、出資者と経営者が同じで意思決定を早くしたい場合です。

  • 少人数で始める事業:社員が数人で、全員が経営に関わる形。
  • 消費者向けの事業:飲食、小売、サービスなど、会社の形態が取引に影響しにくい分野。
  • 本国の会社の日本拠点:外国法人が親会社になる形でも設立できます。
  • 費用を抑えたい場合:設立時の法定費用が大きく下がります。

逆に、大企業との取引が中心になる事業や、将来的に投資を受けることを考えている場合は、株式会社のほうが進めやすいことがあります。日本で会社設立をする外国人が、どちらを選ぶかは事業の相手によります。

あとから株式会社に変えることもできます。組織変更という手続きですが、時間と費用がかかります。会社設立の時点で目的に合った形を選ぶほうが、結果として負担は少なくなります。

実際に、日本で会社設立をする外国人が合同会社を選ぶ例は増えています。設立の費用と手間が抑えられることに加え、意思決定が早いという点も理由に挙げられます。

このセクションの根拠:JETRO「日本での拠点設立方法」(https://www.jetro.go.jp/invest/setting_up/section1/page1.html)

合同会社で気をつけること

社員の追加は、経営権に直結します
社員の追加は、経営権に直結します

合同会社では、社員が経営に関わります。新しく出資を受けて社員が増えると、その人も経営に関わることになります。株式会社のように、出資だけしてもらうという形が取りにくい構造です。

定款で業務執行社員を定めることで、経営に当たる人を絞ることはできます。日本で会社設立をする外国人が、出資は受けたいが経営は自分で行いたいという場合、この設計を考えてください。

もうひとつ、合同会社は日本ではまだ株式会社ほど広く知られていません。取引先によっては、株式会社であることを条件にされることがあります。事業の相手を考えて選んでください。

社員が抜けるときの扱いも決めておいてください。合同会社では、社員の退社という手続きになります。出資の払い戻しをどうするかなど、定款で定めておけることがあります。会社設立の段階で考えておくと、後で揉めにくくなります。

このセクションの根拠:法務省「商業・法人登記」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06.html)

よくある質問

よくある質問。判断の材料としてお読みください
よくある質問。判断の材料としてお読みください

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。

合同会社の「社員」とは従業員のことですか。

会社法上の社員は出資者のことで、従業員とは別です。日常的な日本語の用法とは意味が違うため、混同しないようにしてください。

合同会社でも経営管理ビザは取れますか。

公表された許可基準の中に、会社の形態による有利不利は書かれていません。資本金等の額については、合同会社の場合は出資の総額を指すとされています。

あとから株式会社に変えられますか。

組織変更という手続きで変更できます。ただし手続きと費用がかかるため、会社設立の時点で目的に合った形態を選ぶほうが負担は少なくなります。

この項目の根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)

09まとめ:費用と、事業の相手から決める

合同会社を選ぶときの判断材料
合同会社を選ぶときの判断材料

外国人が日本で会社設立をするときに合同会社を選ぶ場合、押さえておきたいのは次の点です。定款認証がないこと、費用が抑えられること、社員という言葉が出資者を指すこと、在留資格の基準は同じであること。

  1. 設立時の法定費用は、株式会社より10万円以上安くなる
  2. 定款認証がないため、日数も短くなる
  3. 役員の任期がないため、設立後の登記の手間も減る
  4. 在留資格「経営・管理」の資本金等の基準は、合同会社でも同じ
  5. 取引先や将来の資金調達を考えると、株式会社が向く場合もある

どちらを選ぶかは、事業の内容と相手によって変わります。この記事は仕組みの整理です。会社設立の設計については司法書士や税理士へ、在留資格については行政書士へご相談ください。

最後に補足すると、合同会社でも法人であることに変わりはありません。法人税の申告も、社会保険の加入も、株式会社と同じように必要です。日本で会社設立をした外国人にとって、設立後にやることは形態によって大きく変わるわけではありません。

このセクションの根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)

読んでくださった方へ

合同会社は、日本ではまだ新しい形の会社です。海外の制度に近い部分もあり、外国人にとってはむしろ分かりやすいと感じる方もいます。

費用が安いという理由だけで選ぶより、事業の相手が誰かを考えて選ぶほうが、後で後悔が少ないと思います。

日本で会社設立をする形を決めかねている場合は、事業計画を持って一度専門家に相談してみてください。事業の内容から、向いている形が見えてきます。

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