会社設立の費用を抑える方法|外国人が日本で使える選択肢と、削ってはいけない部分

この記事の立場
日本で会社設立をするにあたって、できるだけ費用を抑えたい外国人の方に向けた記事です。手続きを手伝う日本側の担当者が、選択肢を説明する場面も想定しています。
費用を抑える方法はいくつかあります。ただ、抑えた結果として後で余計な手間や出費が生じることもあります。この記事では、抑えられる部分と、抑えないほうがよい部分を分けて示します。
金額は2026年8月時点の公表資料にもとづく目安です。制度は変わりますので、実際の判断の前に一次情報をご確認ください。
抑えられる費用と、抑えられない費用

外国人が日本で会社設立をするときの費用のうち、法律で決まっている部分は動かせません。登録免許税の税率も、定款認証の手数料も、金額が定められています。
抑えられるのは、どの形態を選ぶか、電子定款にするか、どこまで自分でやるか、という選択の部分です。ここを整理すると、削れるところが見えてきます。

日本で会社設立をする外国人の場合、これらに加えて翻訳や証明書の取り寄せの費用が乗ります。ここは削りにくい部分です。必要な書類を正確に把握して、余分なものを取らないようにするのが現実的な節約になります。
このセクションの根拠:JETRO「日本での拠点設立方法」(https://www.jetro.go.jp/invest/setting_up/section1/page1.html)
方法1:合同会社を選ぶ

合同会社を選ぶと、設立時の法定費用が下がります。定款の認証が不要なため認証手数料がかからず、設立登記の登録免許税の最低額も6万円です。株式会社の15万円と比べて9万円の差があります。
認証手数料が3万円から5万円、謄本代が2,000円前後なので、合計すると10万円以上の差になります。日本で会社設立をする外国人が費用を抑えたい場合、最初に検討する選択肢です。
在留資格「経営・管理」の審査において、株式会社と合同会社のどちらが有利かということは、公表された基準の中には書かれていません。資本金等の額については、合同会社の場合は出資の総額を指すとされています。
あとから株式会社に変えることもできます。組織変更という手続きですが、時間と費用がかかります。外国人が日本で会社設立をするとき、最初にどちらにするかは慎重に考えてください。
もうひとつ、合同会社は設立後の維持の面でも違いがあります。株式会社では役員の任期があり、任期が満了すると重任の登記が必要になります。これにも登録免許税がかかります。合同会社にはこの仕組みがないため、その分の費用が発生しません。日本で会社設立をした外国人が、長く続けることを考えるときの材料になります。
このセクションの根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)
03方法2:電子定款にする

定款を紙で作成すると、印紙税法上の課税文書となり、収入印紙が4万円必要になります。電子定款にすればこれがかかりません。
ただし、電子定款を自分で作るには、電子署名のための環境が必要です。マイナンバーカードやICカードリーダー、対応するソフトなどをそろえることになります。日本で会社設立をする外国人がこれを一から用意するのは、手間の面で現実的でないこともあります。
多くの場合、司法書士や行政書士に依頼して電子定款を作ってもらいます。その報酬が4万円未満であれば、紙の定款を自分で作るより安くなる計算です。会社設立を依頼する際は、電子定款に対応しているかを確認してください。
電子定款で作った場合、定款は電子ファイルとして保存されます。紙の原本がないため、控えの管理方法を決めておいてください。会社設立の後も、法人口座の開設や在留資格の申請で定款の写しを求められることがあります。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)
方法3:依頼する範囲を決める

専門家に依頼する範囲を絞れば、報酬は下がります。ただし、その分だけ自分で調べて作業することになります。時間と費用のどちらを取るかという判断です。
| 範囲 | 費用 | 注意点 |
|---|---|---|
| すべて自分でやる | 法定費用と実費のみ | 制度の理解に時間がかかります。電子定款が使えないと収入印紙4万円が必要です。 |
| 定款だけ依頼する | 報酬は限定的 | 電子定款のメリットを得られます。登記は自分で申請します。 |
| 登記まで依頼する | 中程度 | 司法書士に依頼します。書類の不備で戻される心配が減ります。 |
| 在留資格まで含めて依頼する | 大きい | 登記は司法書士、在留資格は行政書士。まとめて扱う事務所もあります。 |
※ 報酬の額は事務所によって大きく違います。見積もりを取って比べてください。
外国人が日本で会社設立をする場合、日本語で制度を読み解く負担があります。時間をかければできることでも、事業の準備と並行するのは大変です。どこを人に任せるかは、費用だけでなく、自分の時間の使い方から決めてください。
見積もりを取るときは、複数の事務所から取って比べることをおすすめします。同じ内容でも金額に差があります。外国人が日本で会社設立をする場合、外国語での対応ができるかどうかも比較の材料になります。対応できる事務所は限られるため、そこも含めて選んでください。
また、報酬の中に何が含まれるかを確認してください。定款の作成、認証への同行、登記申請、設立後の届出。どこまでが含まれているかで、実際の負担が変わります。会社設立が終わったあとの税務や労務は別料金になるのが一般的です。
このセクションの根拠:中小企業基盤整備機構「J-Net21 起業支援」(https://j-net21.smrj.go.jp/startup/index.html)
方法4:資本金の額を設計する

資本金の額は、定款認証の手数料と登録免許税の両方に影響します。会社設立の費用を抑える観点だけで言えば、資本金は小さいほうが安くなります。
ただし、日本で会社設立をする外国人が在留資格「経営・管理」を目指す場合、2025年10月16日以降は3,000万円以上という基準があります。この場合、費用を抑えるために資本金を小さくするという選択はできません。
- 資本金100万円未満定款認証の手数料は3万円。登録免許税は最低額の15万円。
- 資本金100万円以上300万円未満定款認証の手数料は4万円。登録免許税は最低額の15万円。
- 資本金300万円以上定款認証の手数料は5万円。登録免許税は資本金の1000分の7と15万円の高いほう。
- 資本金3,000万円定款認証の手数料は5万円。登録免許税は21万円。
なお、資本金を小さくすると、法人住民税の均等割の負担も小さくなることがあります。均等割は資本金等の額と従業者数で段階が分かれているためです。日本で会社設立をする外国人が長く事業を続ける場合、この毎年の負担も考慮に入れてください。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)
SECTION 06抑えないほうがよい部分

費用を抑えることを考えると、削りたくなる部分があります。ただ、削った結果として後で大きな出費になることもあります。
- ●事業所の条件:安い物件を選んで在留資格の条件に合わないと、借り直しになります。
- ●事業計画書の専門家確認:2025年10月16日以降は義務です。省略できません。
- ●翻訳の質:内容が正確でないと、提出先で説明を求められます。
- ●会計の記帳:後回しにすると決算のときにまとめて費用がかかります。
- ●在留資格の相談:自己判断で進めて不許可になると、時間も費用も余分にかかります。
日本で会社設立をする外国人にとって、在留資格に関わる部分は特に慎重に考えてください。会社設立の費用を数万円抑えても、在留資格が取れなければ事業を続けられません。
記帳を後回しにする例はよくあります。会社設立の直後は事業を軌道に乗せることで手一杯になり、領収書が積み上がっていきます。決算の直前にまとめて処理すると、税理士への費用も高くなりがちです。月ごとに整理する習慣をつけておくほうが、結果として安く済みます。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html)
支援制度を確認する

費用を抑えるという観点では、公的な支援制度を確認しておくことも役に立ちます。自治体や公的機関が、創業に関する相談窓口や支援策を用意していることがあります。
外国人の起業に関しては、外国人起業活動促進事業という枠組みがあります。経済産業大臣の認定を受けた自治体で、起業の準備活動のための在留が認められる制度です。日本で会社設立をする外国人が使える場合があります。
- 相談窓口商工会議所や、自治体の創業支援窓口。無料で相談できることがあります。
- 融資制度日本政策金融公庫の新規開業資金など。資本金の調達に関わります。
- 起業活動の支援外国人起業活動促進事業。準備期間の在留に関わります。
- 情報提供中小企業基盤整備機構のJ-Net21など。制度の解説がまとまっています。
これらの制度は、地域や時期によって内容が変わります。会社設立を予定している自治体の窓口へ、早めに問い合わせてみてください。
商工会議所には会員向けの相談サービスがあります。会費はかかりますが、経営の相談や、各種の情報提供を受けられます。外国人が日本で会社設立をした後、地域とのつながりをつくる場としても使われています。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「外国人起業家(外国人起業活動促進事業)」(https://www.moj.go.jp/isa/03_00097.html)
よくある質問

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。
自分で会社設立をすれば安くなりますか。
専門家への報酬はかかりません。ただし電子定款を自分で作るには専用の環境が必要で、紙の定款だと収入印紙4万円がかかります。制度を調べる時間も必要になるため、時間と費用の両面で考えてください。
合同会社にすると在留資格の審査で不利になりますか。
公表された許可基準の中に、会社の形態による有利不利は書かれていません。資本金等の額については、合同会社の場合は出資の総額を指すとされています。
あとから株式会社に変えられますか。
組織変更という手続きで変更できます。ただし手続きと費用がかかるため、会社設立の時点で目的に合った形態を選ぶほうが結果として負担は少なくなります。
この項目の根拠:日本公証人連合会「会社の定款認証手数料の改定」(https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee)
09まとめ:抑えるところと守るところを分ける

外国人が日本で会社設立をするときの費用を抑える方法を見てきました。合同会社を選ぶ、電子定款にする、依頼の範囲を絞る、資本金の額を設計する。この4つが主な選択肢です。
- 在留資格をどうするかを先に決める。ここで選べる範囲が変わる
- 会社の形態を決める。合同会社なら設立時の法定費用が下がる
- 電子定款にする。収入印紙4万円がかからない
- 依頼の範囲を決める。時間と費用のどちらを取るかで判断する
- 事業所と事業計画書の部分は削らない。後で高くつく
金額は2026年8月時点の目安です。手数料や税額は改正されることがあります。会社設立の見積もりについては依頼を検討している事務所へ、在留資格の要件については行政書士へご確認ください。
このセクションの根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)
読んでくださった方へ
費用を抑えたいという気持ちは、事業を始めるときには自然なものです。ただ、削れるところと削れないところを見分けるのが難しい分野でもあります。
日本で会社設立をする外国人の場合、在留資格に関わる部分は特に慎重に考えてください。そこを削ってしまうと、事業そのものが続けられなくなることがあります。
迷ったときは、削ろうとしている項目が在留資格に関わるかどうかを基準にしてみてください。それだけで、判断がだいぶ楽になります。
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