本文へ移動
会社設立 外国人 定款

定款の作り方を外国人向けに|必ず書く事項と、書いておくと得をする事項

定款の作り方を外国人向けに|必ず書く事項と、書いておくと得をする事項

この記事の対象

日本で会社設立をするために、これから定款を作ろうとしている外国人の方に向けた記事です。専門家に依頼する場合でも、中身を理解しておくと打ち合わせが早く進みます。

定款は会社の憲法にあたるものだと説明されることがあります。実際には、会社の基本的な決まりごとを書いた文書で、記載する内容によって3つに分けて考えると整理しやすくなります。

以下は一般的な整理です。個別の設計は事業の内容と関係者の状況によって変わります。会社設立の定款については、司法書士や行政書士へご相談ください。

01定款に書く事項は3つに分かれる

定款の記載事項は3種類に分かれます
定款の記載事項は3種類に分かれます

定款に書く事項は、性質によって3つに分かれます。必ず書かなければならない事項、書いておくと効力が生じる事項、そして自由に書ける事項です。日本で会社設立をする外国人が定款を読むとき、この分類を知っていると内容が整理しやすくなります。

必ず書かなければならない事項を、絶対的記載事項といいます。これが欠けていると定款そのものが無効になります。株式会社であれば、目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称と住所です。

書いておくと効力が生じる事項を、相対的記載事項といいます。書かなくても定款は有効ですが、書かないとその内容の効力が生じません。株式の譲渡制限や、役員の任期を伸ばす定めなどがこれにあたります。

自由に書ける事項を、任意的記載事項といいます。事業年度、公告の方法、役員の人数など、会社の運営に関する取り決めを書いておくものです。

定款の記載事項の3分類
定款の記載事項の3分類

定款は、会社設立の手続きの中で最初に作る文書です。ここで書いた内容が登記にそのまま反映されるため、後の手続きすべての土台になります。外国人が日本で会社設立をする場合、この文書を日本語で作ることになります。内容を理解しないまま進めると、あとで困ることがあります。

このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)

商号の書き方

商号は定款と登記にそのまま載ります
商号は定款と登記にそのまま載ります

商号には、株式会社なら「株式会社」、合同会社なら「合同会社」という文字を入れます。名前の前でも後ろでも構いません。日本で会社設立をする外国人が本国のブランド名を使う場合も、この文字を組み合わせることになります。

使える文字は決まっています。漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字、そして一部の符号です。アンパサンドやアポストロフィなど、使える符号には制限があります。

同一の住所に同一の商号を登記することはできません。レンタルオフィスなど、同じ住所に多くの会社が入っている場所を本店にする場合、事前に法務局で確認しておいてください。

ローマ字の商号にした場合、日本の取引先や金融機関の書類でカタカナ表記を求められることがあります。会社設立の時点で読み方を決めておくと、あとの手続きで表記がそろいます。

銀行でないのに「銀行」を入れるなど、他の法令で制限される言葉もあります。外国人が日本で会社設立をするときに本国での事業名をそのまま使う場合、こうした語が含まれていないかを確認してください。

なお、商標との関係も確認しておいてください。登記が通ることと、その名称を使い続けられることは別です。日本で会社設立をする外国人が本国のブランド名を持ち込む場合、日本国内で同じ名称の商標が先に登録されていないかを調べておくと安心です。

このセクションの根拠:法務省「商業・法人登記」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06.html)

事業目的の書き方

事業目的は、登記されて誰でも見られる項目です
事業目的は、登記されて誰でも見られる項目です

事業目的は、その会社が何をするかを書いた項目です。定款に書き、そのまま登記されます。登記事項証明書を取れば誰でも見ることができます。

実際に始める事業を中心に書きます。将来やるかもしれない事業を並べることもできますが、数が多すぎると何をする会社なのかが伝わりにくくなります。日本で会社設立をする外国人の場合、在留資格の審査でもこの項目が見られます。

建設業、人材派遣、旅行業、飲食業、古物商など、許認可が必要な事業では、目的の文言が許可の判断に影響することがあります。会社設立の前に、許認可の窓口へ文言を確認しておいてください。

意味が読み取れない文言は、登記の段階で指摘を受けることがあります。外国語の事業名をそのままカタカナにした場合は、括弧で内容を補うこともあります。

最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」という一文を入れるのが一般的です。書いた目的に付随する事業も行えるようにするためです。

事業目的を考えるときは、いま始める事業と、1年から3年のうちに始める可能性のある事業までを書くのが現実的です。あまり先の話まで入れると、会社の姿がぼやけます。外国人が日本で会社設立をして在留資格の審査を受ける場合、事業の焦点がはっきりしているほうが説明しやすくなります。

このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)

SECTION 04本店の所在地の書き方

本店の所在地は、書き方に選択肢があります
本店の所在地は、書き方に選択肢があります

本店の所在地は、定款では最小行政区画、つまり市区町村までにしておく方法と、番地まで書く方法があります。

市区町村までにしておくと、同じ市区町村内で移転した場合に定款の変更が不要になります。番地まで書いてしまうと、移転のたびに定款変更の手続きが必要になります。

日本で会社設立をする外国人が、当面は小さな事務所から始めて、後で移ることを考えている場合、市区町村までにしておくほうが身軽です。

登記では番地まで登記されます。定款で市区町村までにしていても、登記の段階で具体的な住所を決めることになります。

本店の住所は、登記事項証明書に載って誰でも見られる情報です。自宅を本店にすると、その住所が公開されることになります。日本で会社設立をする外国人が自宅で始める場合、この点も考えておいてください。在留資格の面でも、自宅との兼用は原則として認められないとされています。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)

書いておくと得をする事項

相対的記載事項の中でも、よく使われる定め
相対的記載事項の中でも、よく使われる定め

相対的記載事項の中には、書いておくとあとの手間や費用を減らせるものがあります。株式会社の場合、代表的なのが株式の譲渡制限と、役員の任期を伸ばす定めです。

株式の譲渡制限を定めると、株主が勝手に第三者へ株式を売ることができなくなります。知らない人が株主になるのを防げます。小さな会社では、つけるのが一般的です。

譲渡制限をつけている会社では、役員の任期を定款で最長10年まで伸ばすことができます。任期が満了するたびに重任の登記が必要になるため、任期を長くすると登記の回数が減り、登録免許税の負担も減ります。

合同会社の場合は、業務執行社員や代表社員を定款で定めることができます。利益の配分を出資の割合と違う形にすることも定められます。日本で会社設立をする外国人が共同で出資する場合、この設計が役に立ちます。

これらは会社設立のときに定款へ入れておくのが簡単です。あとから追加するには、定款変更の手続きと、内容によっては登記が必要になります。

公告の方法も定款に書きます。官報に掲載する方法、日刊新聞紙に掲載する方法、電子公告のいずれかです。会社設立のときに決めておかないと、官報とみなされます。株式会社には決算公告の義務があるため、この定めが関係してきます。

このセクションの根拠:法務省「商業・法人登記」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06.html)

外国人が発起人になるときの署名

外国人が発起人になる場合の署名の扱い
外国人が発起人になる場合の署名の扱い

定款には、発起人が記名押印するのが基本の形です。実印を押し、印鑑証明書を添えます。日本に住民登録があり印鑑登録をしている外国人であれば、この形で進められます。

印鑑登録をしていない場合、記名押印に代えて署名し、その署名が本人のものであることを証明した書類を添えることになります。法務省のページでは、外国人の署名証明書について、本国の官憲や本国の公証人が作成したものが認められるとされています。

やむを得ない事情がある場合には、居住国の官憲、居住国の公証人、日本の公証人が作成したものも認められることがあるとされています。日本で会社設立をする外国人の状況によって、取れる書類が変わります。

署名の形は、証明書に使ったものと同じにしてください。字体が違うと、同一性の確認を求められることがあります。

法務省のページでは、代表取締役の住所要件についても説明されています。以前は日本に住所のある代表取締役が最低1人必要とされていましたが、その取り扱いは変わりました。海外在住の外国人だけでも会社設立の登記ができるとされています。

このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)

07紙の定款と電子定款

紙と電子で、費用が変わります
紙と電子で、費用が変わります

定款を紙で作成すると、印紙税法上の課税文書となり、収入印紙が4万円必要になります。電子定款にすればこれがかかりません。

電子定款を作るには、電子署名のための環境が必要です。マイナンバーカードやICカードリーダー、対応するソフトなどをそろえることになります。日本で会社設立をする外国人が一から用意するのは、手間の面で現実的でないこともあります。

多くの場合、司法書士や行政書士に依頼して電子定款を作ってもらいます。その報酬が4万円未満であれば、紙で作るより安くなる計算です。会社設立を依頼する際は、電子定款に対応しているかを確認してください。

合同会社でも同じです。認証は不要ですが、紙で作れば収入印紙4万円が必要になります。外国人が日本で会社設立をするとき、形態にかかわらず電子定款を検討する価値があります。

電子定款のもうひとつの利点は、保管がしやすいことです。紙の原本を紛失する心配がありません。ただし、電子ファイルの管理方法は決めておいてください。日本で会社設立をした外国人が、数年後に定款の写しを求められる場面はよくあります。

このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)

よくある質問

よくある質問。判断の材料としてお読みください
よくある質問。判断の材料としてお読みください

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。

定款は自分で作れますか。

作れます。ただし絶対的記載事項が欠けていると無効になり、事業目的の文言によっては登記の段階で指摘を受けることもあります。電子定款にする場合は専用の環境が必要になるため、依頼を検討する方が多くあります。

事業目的はいくつまで書けますか。

数の上限は定められていません。ただし数が多すぎると何をする会社か伝わりにくくなり、法人口座の開設審査などで説明を求められることがあります。実際に始める事業を中心にまとめるのが現実的です。

印鑑登録をしていない場合、定款にはどう署名しますか。

記名押印に代えて署名し、その署名が本人のものであることを証明した書類を添えることになります。法務省のページでは、本国の官憲や本国の公証人が作成した署名証明書が認められるとされています。

この項目の根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)

まとめ:3分類で整理する

定款の設計は、3分類の整理から始まります
定款の設計は、3分類の整理から始まります

定款ができたら、株式会社の場合は公証人の認証を受けます。合同会社の場合は認証が不要のため、そのまま出資金の払込みへ進みます。

払込みは、定款の作成のあとに行うのが原則とされています。日本で会社設立をする外国人が本国から送金する場合、着金日を確認してから定款の日付を決めてください。

定款は、会社設立の後も使う書類です。法人口座の開設、在留資格の申請、許認可の申請などで写しを求められることがあります。原本を保管し、写しを何部か用意しておいてください。

定款の内容を変えるには、株主総会や社員の同意による定款変更の手続きが必要です。登記事項に関わる部分を変える場合は、変更登記も必要になります。

外国人が日本で会社設立をするときの定款の作り方を見てきました。記載事項を3つに分けて考えると、何を書くべきかが整理できます。

  1. 絶対的記載事項を確認する。欠けていると定款が無効になる
  2. 商号と事業目的を決める。許認可が要る事業は文言を窓口に確認する
  3. 本店の所在地の書き方を決める。市区町村までにすると移転が楽になる
  4. 譲渡制限と役員の任期を入れるかを決める。あとの手間が変わる
  5. 電子定款にするかを決める。紙なら収入印紙4万円がかかる

この記事は一般的な整理です。個別の設計は事業の内容によって変わります。会社設立の定款については司法書士や行政書士へ、在留資格の要件については行政書士へご相談ください。

最後にひとつ。定款は会社設立の後も、会社の決まりごとを示す文書として生き続けます。役員の任期、事業年度、公告の方法。これらを確認したいときに開くのが定款です。手元に置いておける形で保管してください。

このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)

読んでくださった方へ

定款は、専門家に依頼すれば作ってもらえます。ただ、中身を理解しておくと、打ち合わせが早く進み、自分の希望も伝えやすくなります。

日本で会社設立をする外国人にとって、定款は在留資格の申請でも使う書類です。事業目的の書き方は、事業計画書の内容とも関わります。

分からない項目があれば、そこだけでも質問してみてください。定款は一度作ると変えるのに手間がかかる書類ですから、納得してから進めるほうが安心です。

この記事は役に立ちましたか?

押した数は同じ端末では二重に数えません。内容の誤りや制度変更に気づいた方は、お問い合わせページからご連絡ください。