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会社設立 外国人 取締役

会社設立で外国人は取締役・役員になれる?|国籍・住所・在留資格の条件と、なれない人の決まり

会社設立で外国人は取締役・役員になれる?|国籍・住所・在留資格の条件と、なれない人の決まり

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日本で会社設立を考えている外国人の方のうち、「自分は取締役になれるのか」「役員として名前を載せてよいのか」というところで手が止まっている方に向けて書きました。日本人の経営者が外国人を役員に迎える場合や、外国人の友人・取引先と共同で会社設立をする日本側の方にも当てはまる内容です。

検索では「会社設立 外国人 取締役」という質問や、「会社 設立 役員 外国 人」という語の組み合わせがよく見られます。ここでは、取締役になれるかどうかを決める会社法の条件を条文に沿って確かめ、そのあとで住所、人数と株主要件、在留資格、外国法人、就任後の責任の順に見ていきます。

説明は2026年10月時点の会社法と、法務省・出入国在留管理庁・日本公証人連合会の公表資料にもとづいています。登記の必要書類や氏名のカタカナ表記は、同じカテゴリーの別の記事でくわしく扱います。

会社設立で外国人は取締役になれるか:会社法の「なれない人」に国籍はない

取締役になれない人を定めた会社法の条文
取締役になれない人を定めた会社法の条文

結論から言うと、外国人も株式会社の取締役になれます。取締役になれない人は会社法331条1項に並んでいて、そこにあるのは「法人」と、会社法や金融商品取引法、倒産関係の法律などの罪で刑に処せられ、執行を終えてから2年を経過しない人、それ以外の法令違反で拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終えていない人(執行猶予中の人を除く)です。国籍や在留資格を条件とする定めは置かれていません。

会社設立の場面でも扱いは同じです。会社法39条4項は、成立後の会社で取締役になれない人は設立時取締役にもなれないとしています。逆に言えば、この条件に当たらない外国人は、日本で会社設立をするときに最初の取締役として名前を載せることができます。

会社法331条1項が定める、取締役になれない人(2026年10月時点の条文を要約)
区分 内容 外国人への当てはめ
法人 会社その他の法人は取締役になれない 本国の会社そのものは取締役になれない
会社法などの罪 会社法・金融商品取引法・倒産関係の法律などの罪で刑に処せられ、執行を終えて2年を経過しない者 国籍に関係なく同じ
それ以外の罪 拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終えるまでの者(執行猶予中の者を除く) 国籍に関係なく同じ

※ 成年被後見人・被保佐人は、会社法331条の2の手続(成年後見人が本人の同意を得て就任を承諾するなど)を経て就任します。

以前は成年被後見人と被保佐人も「なれない人」に含まれていましたが、いまの条文では2号が削除され、代わりに331条の2で就任の手続が定められています。古い解説を読むと欠格事由として紹介されていることがあるので、条文の日付を確かめながら読んでください。

このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)

02「役員」とは誰のことか:会社設立で外国人が就く取締役・代表取締役・監査役

株式会社の役員の範囲と、外国人が就く役職
株式会社の役員の範囲と、外国人が就く役職

サジェストに出てくる「会社 設立 役員 外国 人」の「役員」は、日常ではかなり広く使われる言葉です。会社法329条1項は、役員を取締役、会計参与、監査役の3つとし、株主総会の決議で選ぶと定めています。執行役員や部長といった肩書きは会社の中での呼び名で、会社法上の役員ではありません。

  • 取締役会社の業務執行を決める立場です。株式会社には1人以上置く必要があります(会社法326条1項)。
  • 代表取締役会社を代表する取締役です。取締役が1人だけなら、その人が会社を代表します(会社法349条1項)。
  • 監査役取締役の職務を監査します。取締役会を置かない小さな会社では、置かないこともできます。
  • 会計参与取締役と共同で計算書類を作る役員です。公認会計士や税理士などに限られ、設立時に置く例は多くありません。

監査役にも、取締役と同じ「なれない人」の規定が準用されます(会社法335条1項)。外国人が監査役になることも国籍を理由に妨げられません。ただし監査役は、その会社や子会社の取締役・使用人を兼ねられない(同条2項)ため、ひとりで会社設立をする外国人が自分で取締役と監査役を兼ねることはできません。

役員と従業員の違い(会社法の規定をもとに作成)
役員と従業員の違い(会社法の規定をもとに作成)

会社と役員の関係は委任に関する規定に従う(会社法330条)とされ、雇用契約とは性質が異なります。在留資格や社会保険を考えるときに、この違いが効いてきます。外国人が「役員として加わる」のか「社員として雇われる」のかは、最初に言葉をそろえておくと、日本側の担当者との行き違いが減ります。

このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)

日本に住所がない外国人も取締役になれる:代表取締役の住所の条件はいまは無い

代表取締役の住所に関する取扱いの変更
代表取締役の住所に関する取扱いの変更

2015年3月までは、代表取締役のうち少なくとも1人が日本に住所を持っていなければ、株式会社の設立登記が受理されない取扱いでした。法務省はこの取扱いを廃止し、平成27年(2015年)3月16日の通知以降は、代表取締役の全員が日本に住所を持たない株式会社でも、設立の登記と代表取締役の就任・重任の登記を受理するとしています。日本人であることも求められていません。

代表取締役の住所の扱いの移り変わり(法務省の案内をもとに作成)
代表取締役の住所の扱いの移り変わり(法務省の案内をもとに作成)

登記の上で住所が表に出るのは、代表取締役の住所が登記事項になっているからです(会社法911条3項14号)。取締役は氏名だけが登記されますが、代表取締役は氏名と住所が登記簿に載ります。海外に住む外国人が代表取締役になると、海外の住所がそのまま登記されることになります。

住所の条件がなくなったことで、海外にいる外国人が日本で会社設立をして自ら代表取締役になる形は、制度の上ではとれるようになりました。一方で、資本金の払込みや法人口座の開設、在留資格の手続きは、住所の条件とは別の課題として残ります。海外在住のまま進める手続きの組み立ては、登記カテゴリーの記事で扱っています。

このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)

外国人ひとりの会社設立で決める、取締役の人数と「株主であること」の条件

取締役の人数と株主要件
取締役の人数と株主要件

株式会社には取締役を1人以上置けば足ります(会社法326条1項)。外国人がひとりで日本で会社設立をして、その人が唯一の取締役であり代表者でもある、という形は会社法の上で問題ありません。取締役会を置く会社にすると、取締役は3人以上必要になります(会社法331条5項。設立時は39条1項)。

見落とされやすいのが、取締役が株主である必要があるかどうかです。会社法331条2項は、取締役を株主に限る定めを定款に置くことを原則として認めず、公開会社でない株式会社、つまりすべての株式の譲渡に会社の承認を要する会社にだけ、その定めを許しています。定款にその定めがなければ、株主でない外国人も取締役に選べます。

  1. 定款を確かめる「取締役は当会社の株主の中から選任する」という定めがあるかを見ます。
  2. 株主でない外国人を迎えるなら定めがある会社では、先に株式を取得してもらうか、定款を変えます。
  3. 定款を変えるとき株主総会の特別決議が必要です。
  4. これから会社設立をするとき外部の外国人を役員に迎える予定があるなら、株主限定の定めを置くかどうかを最初に決めます。

司法書士法人の解説では、取締役の就任の登記には定款が添付されないことが多く、株主でない人を選んでも登記自体は受理されてしまう一方、定款違反であることに変わりはないと指摘されています。外国人の出資者と、日本にいる経営担当者を分ける会社設立では、どちらが株主でどちらが取締役になるかで、この定めが要るかどうかが変わります。

このセクションの根拠:RSM汐留パートナーズ司法書士法人「取締役になるには、当該株式会社の株式を保有している必要があるか」(https://shiodome.co.jp/js/blog/7965)

SECTION 05取締役になれることと日本で働けること:外国人役員の在留資格の分かれ目

外国人役員と在留資格
外国人役員と在留資格

会社法の条件を満たして取締役に登記されても、日本でその仕事をしてよいかどうかは在留資格で決まります。出入国在留管理庁の在留資格一覧表では、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者は、身分や地位にもとづく在留資格として活動に制限がないとされています。これらの在留資格を持つ外国人は、取締役として経営に当たることが在留資格の面で問題になりにくい立場です。

立場ごとに確かめること(出入国在留管理庁の在留資格一覧表をもとに作成)
立場ごとに確かめること(出入国在留管理庁の在留資格一覧表をもとに作成)

迷いやすいのは、就労の範囲が決まった在留資格で日本にいる外国人です。たとえば技術・人文知識・国際業務で会社員として働く人が、勤め先や自分で設立した会社の取締役になる場合、報酬の有無や経営への関わり方によって、いまの在留資格のままでよいのか、経営・管理への変更が必要なのかが分かれます。結論は事案ごとに変わるので、就任の前に地方出入国在留管理局か、在留資格を扱う行政書士に確認してください。

経営・管理の在留資格は、2025年10月16日施行の改正で資本金等の基準が3,000万円以上に引き上げられるなど、許可の基準が大きく変わっています。取締役になる外国人が経営・管理を申請する予定なら、会社設立の段階で資本金や常勤職員の計画を在留資格の基準に合わせておく必要があります。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格一覧表」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/qaq5.html)

外国法人は取締役になれない:本国の会社が日本の会社に役員を出すときの形

外国法人と取締役
外国法人と取締役

会社法331条1項1号により、法人は取締役になれません。外国法人も同じで、本国の親会社そのものを日本の子会社の取締役として登記することはできません。本国の会社が日本で会社設立をするときは、親会社が発起人・株主として出資し、親会社の役員や社員の中から個人を取締役として送り込む形になります。

これに対し、日本公証人連合会は、外国人も外国会社も株式会社の発起人になれると案内しています。外国法人は「株主にはなれるが、取締役にはなれない」と覚えておくと整理しやすくなります。なお、合同会社では法人が業務を執行する社員になる仕組みがあり、株式会社とは扱いが違います。

外国法人と、派遣される個人の役割(会社法と日本公証人連合会の案内をもとに作成)
外国法人と、派遣される個人の役割(会社法と日本公証人連合会の案内をもとに作成)

親会社から取締役を出す場合、その個人が日本に住んで経営に当たるのか、本国にいながら就任するのかで、在留資格の要否と登記に添える書類が変わります。外国法人が発起人になって日本で会社設立をする手順は、発起人カテゴリーの記事で扱っています。

このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q5. 外国人や外国会社は、発起人になることができますか。」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow09_4/9_4_q05)

取締役になった外国人が負う責任:任務を怠ったときと、登記の期限

取締役に就任したあとの責任
取締役に就任したあとの責任

取締役になるということは、会社法上の責任を引き受けるということでもあります。会社法423条1項は、取締役などがその任務を怠ったときは、会社に生じた損害を賠償する責任を負うとしています。429条1項は、職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、第三者に生じた損害も賠償する責任を負うと定めています。

  • 会社に対する責任任務を怠って会社に損害を与えたとき(会社法423条)
  • 第三者に対する責任悪意・重大な過失で第三者に損害を与えたとき(会社法429条)
  • 変更の登記役員に変更が生じてから2週間以内に申請(会社法915条)
  • 登記を怠ったとき代表取締役などが100万円以下の過料に処される可能性(会社法976条)

海外に住んだまま、日本の協力者に頼まれて名前だけ取締役になる、という形を相談されることがあります。日本にいない取締役であっても、責任の規定は同じように当てはまります。会社の業務をどこまで把握できるのか、報告をどう受けるのかを決めないまま就任すると、本人にとっても会社にとっても危うい状態になります。

法務省は、役員の任期が満了して同じ人が続ける場合でも、いったん退任して再び就任したことになるため変更の登記(重任の登記)が必要だと案内しています。取締役の任期は原則2年で、公開会社でない会社は定款で最長10年まで伸ばせます。

このセクションの根拠:法務省「役員の変更の登記を忘れていませんか? 再任の方も必要です」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00091.html)

08会社設立と外国人の取締役についてよくある質問

外国人の取締役に関するよくある質問
外国人の取締役に関するよくある質問

外国人の取締役について相談の場でよく出る質問を、会社法と在留資格の区別に沿ってまとめました。個別の事情で結論が変わるものは、確かめ先を書いています。

短期滞在で来日している外国人は、取締役になれますか?

会社法の取締役の条件に在留資格は含まれていないため、登記の上では取締役になれます。ただし、短期滞在は日本で会社の経営に当たることを認める在留資格ではありません。日本で経営に当たるなら、会社設立と並行して、経営・管理など活動に合った在留資格を検討する必要があります。

取締役が全員外国人でも、日本で会社設立はできますか?

できます。取締役の国籍の条件も、代表取締役の住所の条件もありません。ただし、全員が海外に住んでいる場合は、資本金の払込口座や法人口座の開設で別の工夫が必要になることがあります。

外国人の取締役は日本語ができなければいけませんか?

会社法と登記の上では、取締役の日本語能力は条件になっていません。一方で、登記の申請書は日本語で作ります。また、経営・管理の在留資格は、2025年10月16日施行の改正で日本語能力に関する基準が加わっています。日本で経営・管理を申請する予定なら、出入国在留管理庁の案内で基準を確かめてください。

この項目の根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/businessmanager.html)

まとめ:外国人が取締役になる前に確かめる5つのこと

外国人が取締役になる前の確認
外国人が取締役になる前の確認

外国人であることも、日本に住所がないことも、株式会社の取締役になる妨げにはなりません。会社設立で確かめるのは、会社法331条の「なれない人」に当たらないこと、定款に株主限定の定めがあるかどうか、そして日本でどう働くのかという在留資格の問題です。

外国人が取締役に就任する前の確認(2026年10月時点)
外国人が取締役に就任する前の確認(2026年10月時点)

登記の手続は司法書士、在留資格は地方出入国在留管理局か行政書士に確かめるのが近道です。取締役になる人の国籍、住んでいる国、いまの在留資格を1枚のメモにまとめてから相談すると、日本で会社設立をするまでの段取りが早く固まります。必要書類と氏名の書き方は、このあとの記事で順に扱います。

このセクションの根拠:法務省「商業・法人登記」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06.html)

役員として日本の会社に加わろうとしている方へ

「外国人でも取締役になれますか」と聞かれたとき、会社法の答えはほとんどの場合「なれます」です。そこで安心して手続きを始める前に、その会社で自分が何をするのか、日本に住んで働くのかを一度言葉にしてみてください。確かめるべき在留資格が、そこから見えてきます。

外国人を役員に迎える日本側の方は、本人に名前だけを求めるのではなく、責任と任期も一緒に説明してあげてください。就任のときに交わした説明が、その後の信頼関係の土台になります。

日本で会社設立をする外国人の方が、最初の一歩でつまずかないように。取締役になれるかどうかの答えを確かめたら、次は登記の書類と名前の書き方に進みましょう。

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