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会社が外国人を雇う理由は何か|調査で多い答えと、外国人の経営者が会社設立後に雇用する3つの理由

会社が外国人を雇う理由は何か|調査で多い答えと、外国人の経営者が会社設立後に雇用する3つの理由

誰に向けた記事か

「会社が外国人を雇う理由は何ですか」「日本の企業は外国人を雇い入れますか」。こうした疑問を持つのは、日本で働こうとしている外国人の方だけではありません。日本で会社設立をして、これから人を雇う立場になる外国人の経営者や、その採用を手伝う社会保険労務士・行政書士の事務所の方にも関わる問いです。

前半では、厚生労働省の調査から、日本の会社が外国人を雇う理由と、雇ってみて感じている課題を数字で確かめます。後半では向きを変えて、外国人が会社設立をしたあと人を雇う理由を、在留資格「経営・管理」の基準と事業の必要の両面から整理しました。

数字と制度は2026年10月時点で確認できたものです。採用や在留資格の判断は、個別の事情に応じて専門家や所管の窓口に確かめてください。

会社が外国人を雇う理由は何ですか:外国人雇用実態調査で多い4つの答え

厚生労働省の調査に見る、事業所が外国人を雇う理由
厚生労働省の調査に見る、事業所が外国人を雇う理由

会社が外国人を雇う理由を数字で確かめられるのが、厚生労働省の「外国人雇用実態調査」です。令和7年の調査は2026年8月31日に公表され、雇用保険の被保険者が5人以上いて外国人労働者を1人以上雇っている全国の事業所のうち、有効回答を得た3,919事業所と1万4,248人を集計しています。

外国人労働者を雇用する理由(複数回答。厚生労働省「令和7年外国人雇用実態調査」による)
外国人労働者を雇用する理由(複数回答。厚生労働省「令和7年外国人雇用実態調査」による)

最も多い「労働力不足の解消・緩和のため」は68.2%(前年69.0%)、続く「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」は56.2%(同54.7%)でした。人手を確保するためという理由と、能力を見込んでという理由が並んでいます。「国際化、多様性の向上」は18.1%、「日本人にはない知識、技術の活用」は14.1%で、どちらも前年より少し増えています。

複数回答なので、一つの会社が複数の理由を挙げていることに注意してください。人手が足りないから募集したところ外国人の応募があり、働きぶりを見て日本人と同じように任せるようになった、という流れも十分に考えられます。日本で会社設立をした外国人の経営者が初めて人を雇うときも、自分がどの理由で雇うのかを意識しておくと、採用の基準がぶれにくくなります。

このセクションの根拠:厚生労働省「「令和7年外国人雇用実態調査」の結果を公表します(令和8年8月31日)」(https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001742821.pdf)

SECTION 02日本の企業は外国人を雇い入れますか:257万人・37万事業所という外国人雇用の広がり

外国人雇用状況の届出から見た、日本の会社の外国人雇用
外国人雇用状況の届出から見た、日本の会社の外国人雇用

「日本の企業は外国人を雇い入れますか」という問いには、届出の数字が答えになります。厚生労働省が2026年1月30日に公表した「外国人雇用状況」の届出状況では、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人(前年比11.7%増)、外国人を雇用する事業所は37万1,215所(同8.5%増)でした。

在留資格の区分ごとの外国人労働者数(2025年10月末時点。厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめによる)
在留資格の区分ごとの外国人労働者数(2025年10月末時点。厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめによる)

区分別では「専門的・技術的分野」が86万5,588人で最も多く、前年より20.4%増えています。国籍別では、ベトナムが60万5,906人(23.6%)、中国が43万1,949人(16.8%)、フィリピンが26万869人(10.1%)の順です。

外国人を雇う会社は、大企業や特定の業種だけのものではなくなっています。日本で会社設立をした外国人の経営者にとっても、外国人の社員を迎えることは珍しい選択ではありません。そのぶん、在留資格の確認や届出を正しく行うことが、会社の信用にそのまま関わってきます。

このセクションの根拠:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html)

外国人の雇用で会社が感じている課題:日本語のやり取りと在留資格の事務

外国人を雇用する事業所が挙げた課題
外国人を雇用する事業所が挙げた課題

同じ令和7年の調査では、外国人労働者の雇用に関する課題も聞いています。最も多かったのは「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」で46.2%、次いで「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」が24.8%、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」が22.4%、「生活環境の整備にコストがかかる」が21.9%でした。

外国人労働者の雇用に関する課題(複数回答。厚生労働省「令和7年外国人雇用実態調査」による)
課題 令和7年 前年
日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい 46.2% 43.9%
在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑 24.8% 24.7%
文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある 22.4% 20.9%
生活環境の整備にコストがかかる 21.9% 19.9%

厚生労働省は、事業主が守るべき法令や努めるべき雇用管理の内容をまとめた「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」を定めています。外国人雇用対策のページでは、雇い入れる前に在留資格上就労が認められる人かを確かめ、不法就労に当たる外国人を雇わないよう求めています。

働く側の調査では、日本にいた人が今の仕事に就いた経路は「知人、友人」が37.8%で最も多くなっていました。小さな会社でも、知り合いのつながりから外国人の採用が始まることは少なくないということです。会社設立をした外国人の経営者が自分の会社で人を雇うときにも、在留資格の確認と雇用契約の説明を丁寧に行うことが、課題を減らすいちばんの近道です。

このセクションの根拠:厚生労働省「外国人雇用対策」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/index.html)

外国人の経営者が人を雇う理由①:経営・管理の常勤職員1人以上という雇用の要件

会社設立をした外国人の経営者が人を雇う、制度上の理由
会社設立をした外国人の経営者が人を雇う、制度上の理由

ここからは向きを変えて、外国人が日本で会社設立をした後に人を雇う理由を見ます。最初の理由は制度です。2025年10月16日の改正で、在留資格「経営・管理」には1人以上の常勤職員の雇用が義務づけられました。改正前は資本金500万円か2人以上の雇用のどちらかでよかったのに対し、いまは資本金等3,000万円以上と常勤職員の両方が求められます。

出入国在留管理庁のQ&Aでは、常勤職員の対象は日本人、特別永住者、法別表第二の在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)を持つ外国人に限られ、法別表第一の在留資格の外国人は対象にならないとされています。常勤かどうかは、勤務の実態と待遇から判断されます。

  • 働き方の目安労働日数が週5日以上かつ年間217日以上で、週の労働時間が30時間以上
  • 年次有給休暇6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に10日以上を与えられる
  • 雇用保険被保険者で、1週間の所定労働時間が30時間以上
  • 数えられない形在籍出向、派遣、請負で働く人

つまり、会社設立をした外国人の経営者にとって、最初の雇用は事業の都合より先に在留資格の都合で決まることがあります。誰を、どんな条件で雇えば要件に当たるのかは、採用の前に行政書士へ確認してください。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html)

05外国人の経営者が人を雇う理由②:日本語能力を常勤職員の雇用で満たす

日本語能力の基準と、常勤職員の雇用の組み合わせ
日本語能力の基準と、常勤職員の雇用の組み合わせ

二つ目の理由は日本語です。改正後の経営・管理では、申請者か常勤職員のどちらかが相当程度の日本語能力を持っていることが求められ、その水準は「日本語教育の参照枠」のB2相当以上とされています。経営者本人の日本語に不安がある外国人は、日本語のできる常勤職員を雇うことで基準を満たす道があります。

入管庁のQ&Aは、組み合わせの例を具体的に示しています。日本人や特別永住者を1人以上雇えば、そのまま基準を満たします。日本語能力を立証できない法別表第二の外国人1人に加えて、日本語能力を立証できる法別表第一の外国人1人を雇う形も、基準を満たす例に入っています。

常勤職員と日本語能力の組み合わせの例(出入国在留管理庁のQ&Aによる)
常勤職員と日本語能力の組み合わせの例(出入国在留管理庁のQ&Aによる)

日本語能力の示し方には、日本語能力試験N2以上、BJTビジネス日本語能力テスト400点以上、日本の大学等の卒業などが挙げられています。経営者が日本語を学びながら会社設立を進める場合でも、日本で取引先や役所とやり取りする役割を誰が担うのかを、雇用の計画の段階で決めておくと進めやすくなります。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)

外国人の経営者が人を雇う理由③:事業のための雇用と、在留カードの確認

外国人の経営者が外国人を雇用するときの確認と届出
外国人の経営者が外国人を雇用するときの確認と届出

三つ目の理由は、ほかの会社と同じ事業の必要です。本国との取引を担う人、本国の言葉で顧客に対応できる人など、会社設立をした外国人の経営者だからこそ外国人を雇いたい場面があります。調査で「国際化、多様性の向上」や「日本人にはない知識、技術の活用」を挙げた会社と、動機は近いと言えます。

外国人を雇うときは、在留カードで就労できる在留資格かを確かめます。出入国在留管理庁は、在留カードのICチップの情報を読み取って券面と見比べられる「在留カード等読取アプリケーション」を無料で配布し、カードの番号が失効していないかを確かめる失効情報照会も公開しています。照会の結果だけではカードの有効性を証明できないため、券面の確認と合わせて使うよう案内されています。

外国人を雇うときの確認と届出の順番(出入国在留管理庁・厚生労働省の案内をもとに作成)
外国人を雇うときの確認と届出の順番(出入国在留管理庁・厚生労働省の案内をもとに作成)

雇い入れたら、外国人雇用状況の届出をハローワークに出します。雇用保険の被保険者になる人は資格取得届とあわせて雇い入れた月の翌月10日まで、被保険者にならない人は翌月末日までが期限です。留学生をアルバイトで雇う場合は、資格外活動の許可の範囲(包括的な許可では1週28時間以内など)を超えないように勤務を組みます。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/rcc-support.html)

外国人を雇う理由と雇用の手続きについてよくある質問

よくある質問。判断の材料としてお読みください
よくある質問。判断の材料としてお読みください

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。

会社設立をした外国人の経営者が、同じ国の出身の人を雇うことはできますか。

できます。ただし、その人が就労できる在留資格を持っているか、仕事の内容が在留資格の範囲に入っているかを確かめる必要があります。法別表第一の在留資格の人は、経営・管理の常勤職員の要件には数えられない点にも注意してください。

外国人を雇ったとき、会社は入管にも届け出ますか。

入管庁のQ&Aでは、会社がハローワークに外国人雇用状況の届出をしていれば、入管への所属機関による届出は不要とされています。働く外国人本人は、勤め先が変わったときなどに14日以内に所属機関に関する届出を入管へ出します。

家族を常勤職員として雇用してもよいですか。

日本人や法別表第二の在留資格を持つ家族であれば、常勤職員の対象になり得ます。ただし、実際にフルタイムで働き、給与が職務に応じて支払われ、雇用保険や社会保険に加入しているなど、勤務の実態を示せることが前提です。

この項目の根拠:出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shozokunikansuru_00001.html)

SECTION 08まとめ:雇う理由を言葉にしてから、会社設立後の雇用の計画を立てる

外国人を雇う理由と、会社設立後の雇用の計画
外国人を雇う理由と、会社設立後の雇用の計画

日本の会社が外国人を雇う理由で最も多いのは労働力不足の解消・緩和(68.2%)で、日本人と同等以上の活躍への期待(56.2%)が続きます。外国人を雇う事業所は2025年10月末時点で37万を超え、外国人の雇用は日本の会社にとって身近なものになりました。

日本で会社設立をした外国人の経営者には、これに加えて固有の理由があります。経営・管理の常勤職員1人以上という要件、日本語能力を常勤職員で満たすという選択、そして本国とのつながりを生かす事業上の必要です。どの理由で雇うのかによって、雇うべき人の在留資格も、確かめる書類も変わります。

  1. 会社設立の計画の段階で、雇う理由を「要件のため」「日本語のため」「事業のため」に分けて書き出す
  2. 要件のための人は、日本人や法別表第二の在留資格の人から探す
  3. 外国人を雇うときは、在留カードと就労できる範囲を雇う前に確かめる
  4. 雇い入れたら、雇用保険・社会保険・外国人雇用状況の届出を期限までに出す

このセクションの根拠:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html)

これから人を雇う、外国人の経営者の方へ

人を雇うことは、会社設立のあとに訪れる大きな節目です。外国人の経営者にとっては在留資格の要件でもあるため、気持ちが急いてしまうかもしれません。

それでも、なぜこの人を雇うのかを一度言葉にしてみてください。要件のためなのか、日本語のためなのか、事業のためなのか。理由がはっきりすると、探すべき人も、確かめる書類も自然と決まってきます。日本で働く仲間を迎える準備として、雇用契約と届出の段取りを早めに整えておきましょう。

迷うところは、ハローワークや年金事務所、社会保険労務士・行政書士にその点だけ尋ねれば十分です。

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