外国人が資本金3000万円で飲食店を開くとき|会社設立・営業許可・店舗・スタッフの順番

この記事を書いた相手
日本で自分のレストランやカフェ、居酒屋を開きたいと考えている外国人の方に向けて書きました。本国で飲食店を経営してきた方、日本の店で料理人として働いてきた方、店の開業を手伝う日本人のパートナーや不動産会社、行政書士の方にも読んでいただける内容です。
関連キーワードには「外国人 資本金3000万円 飲食店」が出てきます。2025年10月16日に在留資格「経営・管理」の基準が変わり、飲食店を開くために日本で会社設立をする外国人にも、資本金3,000万円以上が求められるようになりました。飲食店には、資本金のほかに保健所の営業許可や店舗の工事、調理スタッフの確保といった独自の段取りがあり、それらが在留資格の審査とどう重なるかで日程が決まります。
以下は2026年10月時点で確認できた出入国在留管理庁、国税庁、東京都などの資料をもとにしています。営業許可の細かな運用は自治体ごとに違うため、店舗の所在地の保健所にも必ず相談してください。
飲食店でも資本金3000万円:業種で基準は変わらない

まず確認しておきたいのは、経営・管理の資本金の基準に業種ごとの違いがないことです。出入国在留管理庁の改正資料は、3,000万円以上の資本金等が必要になると書くだけで、飲食業を軽くしたり重くしたりする定めは置いていません。株式会社なら払込済資本の額、合同会社なら出資の総額が3,000万円以上かで見られます。
改正前は、飲食店を営む外国人の経営者が多かったことも分かっています。2026年4月21日の参議院法務委員会で、政府参考人は、令和6年末時点で経営・管理で在留していた人の業種は卸売業、小売業、飲食サービス業などが多数を占め、資本金は当時の基準の500万円付近が多かったと答えています。飲食店の会社設立は、今回の基準の変更をもっとも強く受けた分野の一つといえます。
永住者や日本人の配偶者等の在留資格を持つ外国人が飲食店を開く場合は、経営・管理を取る必要がないため、3,000万円の基準は当てはまりません。資本金は会社法の下限(1円)以上で、開業資金や取引先の見え方を考えて決めることになります。この記事で扱うのは、日本で会社設立をして飲食店の経営者となり、経営・管理を取る外国人のケースです。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)
SECTION 02飲食業の会社の資本金はどのくらいか:国税庁の統計で見る3000万円の位置

飲食店の会社にとって、資本金3,000万円がどのくらいの規模なのかを、国税庁の会社標本調査(令和5年度分)で確かめておきます。この調査の業種区分「料理飲食旅館業」には飲食店のほか旅館なども含まれますが、飲食業の会社の姿をつかむ目安にはなります。

料理飲食旅館業の法人13万7,606社のうち、資本金1,000万円以下は12万8,548社で、9割を超えています。資本金が1,000万円を超える会社は1割にも満たず、3,000万円の資本金で飲食店の会社設立をすると、最初からその少数の側に入ることになります。
同じ調査では、業種別の欠損法人の割合(通算法人を除く)は料理飲食旅館業が74.8%で、業種の中でもっとも高くなっています。欠損法人とは、税務上の調整を加えた所得金額が負または0の法人のことです。飲食店は利益を出し続けるのが簡単ではない業種で、資本金を集めるだけでなく、それを店の運営でどう回すかを事業計画書で説明できることが大切になります。
このセクションの根拠:国税庁「会社標本調査結果 令和5年度分」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/kaishahyohon2023/kaisya.htm)
開業資金と資本金を分けて考える:内装・厨房設備は資本金の「使いみち」

日本で飲食店を開業するには、物件の保証金、内装工事、厨房設備、食器、開業前の家賃や人件費など、まとまったお金がかかります。ここで混同しやすいのが、店に投じたお金と、経営・管理の基準でいう資本金の額の関係です。

入管庁のQ&Aは、法人の場合は資本金の額または出資の総額で判断するため、従業員の給与や事務所の維持費などと合算することはできないとしています。資本準備金や剰余金も含まれません。内装に2,000万円をかけ、資本金を1,000万円にした会社は、店にいくら投じていても基準には届かない、ということです。
反対に、3,000万円の資本金を払い込んで登記したあと、そのお金で内装や設備を整えることは、資本金の使いみちとして自然な流れです。入管庁は、資本金の額を登記事項証明書などで確認するとしています。飲食店の会社設立では、開業資金の総額と、そのうち資本金に入れる額を、表を分けて計画してください。
資本金の払込みと証明のつくり方:資本金の払込みはどうやる?外国人が日本で会社設立するときの口座と払込証明のつくり方
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html)
飲食店の営業許可は保健所へ:店舗の工事と申請の時期

飲食店を営むには、食品衛生法にもとづく営業許可を、店舗の所在地を管轄する保健所で受けます。東京都保健医療局の案内によると、令和3年6月1日から新しい営業許可制度と営業届出制度が始まっており、申請の手引きと様式も新しくなっています。
東京都の案内では、新しく営業許可を申請するときは、営業許可申請書、施設の構造と設備を示す図面(2部)、食品衛生責任者の資格を証明するもの、申請手数料などを出し、書類は施設の工事完成予定日の10日くらい前に保健所へ提出するよう求めています。水道水などを使わない場合は水質検査の成績書も必要です。法人の場合は、申請書に書いた法人番号で法人の存在を確認するとされています。

法人番号で会社を確かめるということは、会社の名義で営業許可を取るなら、会社設立の登記を先に終えておく必要があるということです。物件の契約、内装工事、会社設立、営業許可の申請をどの順で進めるかは、工事業者と保健所の両方と相談しながら決めてください。営業許可の申請はオンラインの食品衛生申請等システムでもできます。
このセクションの根拠:東京都保健医療局「営業許可申請・営業届出に関する手引き・様式(令和3年6月1日以降)」(https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/youshiki.html)
05店ごとに置く人と出す届:食品衛生責任者と深夜の酒類提供

営業許可の申請には、食品衛生責任者の資格を示す書類が要ります。江戸川区の案内では、食品衛生責任者になれるのは、栄養士、管理栄養士、調理師、製菓衛生師または食品衛生管理者の資格がある人と、食品衛生責任者養成講習会を受講した人とされています。東京都内の講習会は東京都食品衛生協会が主催しています。責任者を変えたときは変更の届出が必要です。
経営者である外国人自身が食品衛生責任者になるなら、講習会の日程を会社設立と開業の日程に組み込みます。日本語の講習を受けられるかどうかも、事前に確かめておくと安心です。
夜遅くまで酒類を出す居酒屋やバーを考えている場合は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)も関わります。同法は午前0時から午前6時までを「深夜」と定め、第33条で、深夜に酒類提供飲食店営業を営もうとする者は、営業所ごとに、所在地を管轄する公安委員会へ届出書を出さなければならないとしています。都道府県の条例で深夜の営業が禁止されている地域もあるため、物件を決める前に所轄の警察署へ確認してください。
このセクションの根拠:江戸川区「食品衛生責任者」(https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e055/kenko/eisei/shokuhin/menkyo/sekininsha.html)
経営・管理の審査と許認可の順番:在留許可の後でないと取れない許可があるとき

改正後の経営・管理の審査では、申請者が営む事業に必要な許認可の取得状況を示す資料の提出が求められます。飲食店なら、保健所の営業許可がその代表です。会社設立と店舗の準備が進んでいても、許可が出ていなければその説明が必要になります。日本で会社設立を終えた時点では、まだ許可の申請前ということも珍しくありません。
在留許可を受けてからでないと許認可が取れない、といった正当な理由があると認められる場合は、次回の在留期間の更新のときに取得状況を確認するとされています。その場合は、取得できない具体的な理由を書いた文書(様式自由)を出すよう、入管庁のQ&Aは案内しています。

店舗はそのまま経営・管理の審査でいう事業所になります。改正後は、規模に応じた経営活動のための事業所が必要とされ、自宅と兼ねることは原則として認められません。広さは一律に示されていませんが、事業の規模に見合った必要かつ十分な広さが求められます。小さな店舗の一角で経営の事務を行う場合も、事業所として説明できるようにしておいてください。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)
店で働く人と常勤職員の条件:調理スタッフの在留資格に気をつける

改正後の経営・管理では、1人以上の常勤職員の雇用が必要です。飲食店で気をつけたいのは、数えられる人の範囲です。対象は日本人、特別永住者と、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の在留資格を持つ人に限られ、別表第1の在留資格で在留する外国人は対象になりません。
本国から呼び寄せた料理人を在留資格「技能」で雇っても、その人は常勤職員の人数には入りません。留学生のアルバイトも同じです。飲食店の会社設立では、厨房とホールの体制を考えるときに、常勤職員の条件を満たす人を少なくとも1人、別に確保する計画が必要になります。なお、日本語能力の条件を常勤職員で満たす場合は、別表第1の在留資格を持つ外国人も対象に含まれるとされています。
- 常勤職員の条件日本人・特別永住者・永住者・配偶者等・定住者を1人以上(週30時間以上などの目安あり)
- 外国人を雇ったとき雇入れと離職の際に、ハローワークへ外国人雇用状況の届出(特別永住者などを除く)
- 留学生のアルバイト資格外活動許可の範囲(原則1週28時間以内)で雇う
- 届出を怠ると30万円以下の罰金の対象(厚生労働省の案内)
厚生労働省は、外国人を雇う事業主に、雇入れと離職のたびに外国人雇用状況の届出を義務づけています。雇用保険の被保険者になる人は、雇用保険の資格取得届・喪失届を出すことで届出をしたことになり、雇入れの場合は翌月10日までが期限です。人を雇い始める前に、在留カードの確認と届出の流れを店の手順に入れておいてください。
最初のひとりの採用と雇用契約:最初のひとりの採用と雇用契約|外国人の会社設立後に人を雇う実務の順番
このセクションの根拠:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html)
SECTION 08まとめ:資本金3000万円の飲食店は、資金・許可・人を同じ表で管理する

外国人が日本で飲食店を開くために会社設立をする場合、経営・管理を取るなら資本金3,000万円以上の基準は業種に関係なく当てはまります。飲食業の会社の多くは資本金1,000万円以下で、欠損法人の割合も高い業種です。3,000万円の会社として始めるなら、そのお金で店をどう回していくかを、事業計画書で具体的に示すことが欠かせません。
- 経営・管理の資本金の基準は飲食店でも3,000万円以上。内装費や給与を足して数えることはできない
- 営業許可は店舗所在地の保健所へ。東京都では工事完成予定日の10日くらい前の提出が目安
- 会社名義で許可を取るなら、会社設立の登記を先に済ませる
- 食品衛生責任者を置き、深夜に酒類を出すなら公安委員会への届出も検討する
- 常勤職員には日本人・永住者などを1人以上。技能の在留資格の料理人は数えられない
資本金、許可、人の3つの準備は、どれか一つが遅れると開店も在留資格の申請も遅れます。会社設立の登記日を起点に同じ表に並べて期限を書き込み、保健所、警察署、行政書士、税理士と早めに日程を共有してください。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/businessmanager.html)
日本で店を開く夢を持つ方へ
飲食店は、外国人の経営者が自分の国の味や文化を日本に届けられる仕事です。そのぶん、資本金の基準、保健所の許可、店で働く人の在留資格と、確かめることが多い業種でもあります。
一つひとつの手続きは、順番さえ決まれば落ち着いて進められます。会社設立と店づくりを並行させながら、分からないところは保健所や専門家にこまめに聞いて、開店の日を迎えてください。
この記事は役に立ちましたか?
押した数は同じ端末では二重に数えません。内容の誤りや制度変更に気づいた方は、お問い合わせページからご連絡ください。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
掲載順は優劣ではありません。外国人が日本で会社設立を検討するときに同じ語で検索して出てきたページを、確認できた順に並べています。内容は各サイトの運営者によるもので、最新かどうかは各自でご確認ください。
1Yahoo!ニュース|ビザ厳格化で外国人経営者が悲鳴 必要な資本金500万から3000万
必要な資本金が500万円から3,000万円に上がり、外国人経営者が困っている様子を伝える報道です。
news.yahoo.co.jp2ビザ・アソシア|経営・管理ビザ「3000万円」時代 インド・ネパール料理店は
3,000万円の基準で、インド・ネパール料理店がどんな影響を受けるのかを解説しています。
visa-asocia.com3Yahoo!ニュース エキスパート|なぜインド料理店が廃業危機に?外国人経営者を襲う基準
インド料理店が廃業の危機に立たされる理由を、資本金の基準と合わせて解説しています。
news.yahoo.co.jp4朝日新聞|「店を閉じるしか」インド料理店が悲鳴 外国人に資本金3千万円
資本金3,000万円の基準を前に、インド料理店の経営者が置かれた状況を取材した記事です。
www.asahi.com5東京新聞|街のエスニック料理店が消えるかも 理不尽な資本金3000万円
資本金の基準が、街のエスニック料理店に与える影響を伝える報道です。
www.tokyo-np.co.jp6TOKYO MX|「3000万円は厳しい」経営・管理ビザ厳格化の逆風に苦しむ店
経営・管理ビザの厳格化を受けて、苦しい状況にある店の声を紹介する報道です。
s.mxtv.jp7岩崎行政書士事務所|インド・ネパール料理店への影響と更新時の注意点
インド・ネパール料理店が受ける影響と、在留更新のときに気をつけたい点を説明しています。
iwgyosei.com8タッチ行政書士事務所|2025年10月改正 経営管理ビザ(新基準・審査厳格化対応)
2025年10月の改正で変わった経営管理ビザの新基準と審査の厳格化をまとめています。
touch.or.jp9毎日新聞|街のカレー屋が消える?在留資格の要件に資本金3000万円
在留資格の要件に資本金3,000万円が入り、街のカレー屋にどんな影響が出るかを報じた記事です。
mainichi.jp10静岡新聞|3000万円を2028年までに作るのは今のところ無理 外国人経営者
経過措置の期限を前に、資金を用意できない外国人経営者の声を伝える報道です。
www.at-s.com11テレビ朝日|ビザ厳格化で外国料理店の閉店相次ぐ 資本金規定が一気に6倍
資本金の規定が6倍になり、外国料理店の閉店が相次いでいる状況を伝える報道です。
news.tv-asahi.co.jp12エスペランザ|経営管理ビザの資本金3000万円 更新・経過措置と新要件
資本金3,000万円の新要件と、更新や経過措置の扱いを整理した記事です。
esperanza.asia13TBS NEWS DIG(SBS)|3000万円を2028年までに作るのは今のところ無理
資本金3,000万円を経過措置の期限までに用意できないという、外国人経営者の声を伝えています。
newsdig.tbs.co.jp14店舗市場|経営管理ビザ資本金3000万円時代、外国人飲食店の岐路
資本金3,000万円の時代に、外国人が経営する飲食店がどんな岐路に立つかを考えるブログ記事です。
www.tenpo-ichiba.com15日テレNEWS NNN(KNB)|資本金3000万円の壁 来日20年のネパール人経営の飲食店
資本金3,000万円の壁に直面する、ネパール人経営の飲食店を取り上げた報道です。
news.ntv.co.jp16野口行政書士事務所|経営管理ビザ新基準で資本金3000万円は何に使うべきか
3,000万円の資本金を何に使うと説明がつくのかを、新基準にあわせて解説しています。
www.noguchi-office.com17経営管理ビザ.com|なぜ資本金3000万円に?厳格化の背景と政府の考え
経営管理ビザの厳格化の背景と、資本金3,000万円にした政府の考えを説明しています。
keieikanri-visa.com18オフィス・イシナギ|「資本金3000万」はなぜ?入管の本音と制度改正の裏側
資本金3,000万円の基準が設けられた背景を、制度改正の流れとあわせて読み解く記事です。
office-ishinagi.com19社会構想デザイン機構|経営管理ビザ資本金3,000万円へ6倍化
外国人が経営する飲食店への影響を中心に、資本金要件の引き上げが小規模事業者に及ぼす影響を論じたコラムです。
isvd.or.jp20出入国在留管理庁|外国人経営者の在留資格基準の明確化について
入管庁が示した「経営・管理」の審査の考え方。事業所や事業の継続性など、在留資格側の条件の読み方が分かります。
www.moj.go.jp



