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会社設立 外国人 事業計画書

収支の見通しをどう作るか|外国人の会社設立で資本金と売上をつなげる考え方

収支の見通しをどう作るか|外国人の会社設立で資本金と売上をつなげる考え方

この記事の対象

日本で会社設立をして在留資格を申請する外国人の方が、事業計画書の収支の部分を作る場面を想定した記事です。数字をどう組み立てるかを整理しました。

収支の見通しは、事業計画書の中でいちばん見られる部分です。具体性と実現可能性が問われるのは、主にここです。

以下は考え方の整理です。実際の数字は事業の内容によって変わります。作成にあたっては、税理士や中小企業診断士へご相談ください。

収支の見通しで示すこと

収支の見通しで示す内容
収支の見通しで示す内容

収支の見通しでは、いくら入って、いくら出て、いくら残るのかを示します。加えて、その数字の根拠を説明することになります。

入管庁の資料では、事業計画書について、その計画に具体性、合理性が認められ、かつ実現可能なものであることを評価するとされています。収支の部分が、この評価の中心になります。

外国人が日本で会社設立をする場合、決算の実績がないため、この見通しが会社の姿を示す唯一の材料になります。丁寧に作る価値があります。

期間は、少なくとも初年度、できれば3年程度を示すことが多くあります。月ごとに並べると、資金の流れが見えやすくなります。

最初から黒字である必要はありません。いつごろ黒字になる見込みで、それまでの資金をどう賄うのかが説明できていれば、計画として成立します。

日本で会社設立をする外国人が事業計画書を作るとき、文章の部分は書けても、数字の部分で手が止まることが多くあります。何をどう計算すればよいのかが分からないためです。この記事では、その手順を順番に見ていきます。

数字は、電卓と紙があれば作れます。難しい会計の知識は要りません。売上をどう分解するか、費用に何が入るか。この2つが分かれば、あとは足し引きです。

このセクションの根拠:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード(創業計画書の記入例)」(https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html)

02売上を分解する

売上は単価と数量に分けて示します
売上は単価と数量に分けて示します

売上の見通しを書くとき、合計の金額だけでは根拠が伝わりません。単価と数量に分けて示してください。

物販であれば、商品の単価と、月に売れる個数。サービスであれば、1件あたりの料金と、月の件数。飲食であれば、客単価と、1日の客数と、営業日数。

分解できたら、それぞれの数字の根拠を示します。既存の取引先があるならその実績、なければ市場の規模や競合の状況から推定した根拠。日本で会社設立をする外国人が、日本市場をどう見ているかを示す部分でもあります。

複数の事業がある場合は、事業ごとに分けて示します。全部をまとめてしまうと、どこで利益が出るのかが分からなくなります。

売上を分解するときの考え方
売上を分解するときの考え方

売上が伸びていく形で書く場合、なぜ伸びるのかも説明してください。営業を強化する、店舗を増やす、認知が広がる。理由がないと、実現可能性の評価が難しくなります。

売上の見通しを立てるとき、いちばん上の数字から考えないでください。月に300万円売りたいという希望から逆算すると、根拠のない数字になります。日本で会社設立をする外国人が計画を作るときは、実際に売れる数から積み上げてください。

このセクションの根拠:日本政策金融公庫「新規開業資金」(https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/business-plan/)

費用を積み上げる

費用は固定費と変動費に分けます
費用は固定費と変動費に分けます

費用は、固定費と変動費に分けると分かりやすくなります。固定費は売上に関係なく毎月出ていくもの、変動費は売上に応じて増えるものです。

固定費には、事務所の賃料と共益費、人件費、社会保険料の会社負担分、通信費、会計や税務の顧問料などがあります。日本で会社設立をした外国人にとって、事務所と常勤職員は在留資格の要件でもあるため、この部分が大きくなります。

変動費には、仕入、外注費、配送費、決済手数料などがあります。売上が増えれば、これも増えます。

見落としやすいのが、法人住民税の均等割です。所得がなくてもかかります。会社設立の後、毎年発生する費用として入れておいてください。

それぞれの金額の根拠も示します。事務所の賃料は契約書、人件費は雇用の条件、仕入は見積書。資料があれば添えてください。

会計や税務の顧問料も入れてください。毎月の顧問料と、決算のときの費用がかかります。会社設立の後、税理士に依頼する場合の相場を調べて、その金額を入れておきます。

為替の影響を受ける事業であれば、その点も書いておいてください。日本で会社設立をする外国人が本国から仕入れる場合、為替の変動が原価に効いてきます。ある程度の幅を見込んだ計画にしておくと、実現可能性が高く見えます。

このセクションの根拠:日本年金機構「適用事業所と被保険者」(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html)

資金が尽きない期間を出す

資金が尽きない期間の考え方
資金が尽きない期間の考え方

収支の見通しができたら、資金が尽きない期間を計算します。資本金から毎月の赤字を引いていって、何か月もつかという計算です。

外国人が日本で会社設立をして資本金3,000万円を用意した場合、その資金がどれくらいの期間を支えるのかを示せると、計画の実現可能性が伝わりやすくなります。

売上が入金されるまでの期間も見てください。売上が計上されても、実際に入金されるのは翌月末や翌々月末になることがあります。日本で会社設立をした外国人が最初につまずくのは、この入金までの間の資金です。

逆に、仕入の支払いは先に来ることがあります。売上より支払いが先だと、手元の資金が減っていきます。この時間差も計算に入れてください。

資金が尽きる前に黒字になる見通しが示せていれば、計画として成立します。尽きてしまう計算になるなら、費用を見直すか、資本金を増やすか、売上の見通しを立て直すことになります。

外国人が日本で会社設立をする場合、事業が軌道に乗るまでに時間がかかることがあります。日本の商習慣に慣れる時間、取引先との信用ができる時間。この期間も見込んでおいてください。

資金が尽きるまでの期間は、月ごとの残高を並べると分かります。資本金から始めて、毎月の収支を足し引きしていく表です。日本で会社設立をする外国人が事業計画書を作るとき、この表があると説明が一気に分かりやすくなります。

このセクションの根拠:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード(創業計画書の記入例)」(https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html)

SECTION 05資本金の使いみちとつなげる

資本金の使いみちを内訳で示します
資本金の使いみちを内訳で示します

資本金をどう使うのかも示します。事務所の初期費用、設備、人件費、仕入、運転資金。内訳を並べてください。

この内訳は、収支の見通しと矛盾しないようにします。設備に使う金額と、収支の見通しに書いた設備の費用が違うと、説明を求められます。

日本で会社設立をする外国人が在留資格「経営・管理」を目指す場合、資本金等の額が3,000万円以上という基準があります。その額を用意したうえで、何に使うのかを示すことになります。

金額の根拠も示してください。見積書や契約書があれば添えます。会社設立の準備で集めた資料が、そのまま使えます。

資本金の使いみちを示す例。金額は事業によって変わります
資本金の使いみちを示す例。金額は事業によって変わります

資本金を全額使い切る計画にする必要はありません。むしろ、当面の運転資金として残しておく設計のほうが安全です。日本で会社設立をする外国人が資金計画を立てるとき、余裕を持たせておいてください。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)

よくある指摘

収支の見通しでよく受ける指摘
収支の見通しでよく受ける指摘

収支の見通しで指摘を受けやすい型があります。日本で会社設立をする外国人が作った計画でよく見られるものを挙げます。

ひとつめは、売上の根拠がないというものです。数字は書かれているが、なぜその数字になるのかが説明されていない。単価と数量に分けて、それぞれの根拠を示してください。

ふたつめは、費用の見積もりが甘いというものです。社会保険料の会社負担、法人住民税の均等割、決算の費用。忘れやすい項目を入れてください。

みっつめは、資金が尽きる計算になっているというものです。売上の見通しが遅く、費用が大きいと、資本金が先になくなります。この場合、計画そのものを立て直すことになります。

どれも、会社設立の前に気づけば直せるものです。専門家に見てもらう意味は、こうした点を早く見つけることにもあります。

もうひとつ、売上と入金の時期を混同しているという指摘もあります。売上が計上された月と、実際に入金される月は違うことがあります。会社設立の後の資金繰りを考えるときは、入金の時期で見てください。

最後にもうひとつ。事業の内容に対して費用の項目が少なすぎる計画も、指摘の対象になります。広告費、交通費、保険料、消耗品。実際にかかるものを漏らさず入れてください。

このセクションの根拠:日本政策金融公庫「新規開業資金」(https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/business-plan/)

更新のときに振り返る

更新のときに計画が振り返られます
更新のときに計画が振り返られます

収支の見通しは、次の在留期間の更新のときにも関係します。決算の内容と計画を並べて見られることがあります。

計画どおりに進んでいなくても、それだけで問題になるわけではありません。事業には想定外のことが起こります。ただ、なぜ差が出たのかを説明できることが求められます。

日本で会社設立をした外国人が更新を迎えるとき、決算書類と納税の記録、社会保険の納付の記録も見られます。数字の面での説明が中心になります。

だからこそ、最初の計画は無理のない数字にしておくほうがよいのです。大きな数字を書いて通ったとしても、次の更新で説明に困ります。

計画は、会社設立の後も見直しながら使ってください。半年に一度でも見返すと、事業の方向が確認できます。

更新の準備は、日ごろの記帳から始まっています。会社設立の直後から帳簿をつけていれば、更新のときに決算書類がすぐ出せます。外国人が日本で会社設立をした後、この習慣が後で効いてきます。

また、計画を見直したときは、その記録も残しておいてください。なぜ見直したのか、何が変わったのか。次の更新のときに、事業をどう動かしてきたかの説明になります。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html)

08よくある質問

よくある質問。判断の材料としてお読みください
よくある質問。判断の材料としてお読みください

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。

何年分の収支を書けばよいですか。

決まりはありませんが、少なくとも初年度、できれば3年程度を示すことが多くあります。月ごとに並べると資金の流れが見えやすくなります。

最初から黒字にしないとだめですか。

最初から黒字である必要はありません。いつごろ黒字になる見込みで、それまでの資金をどう賄うのかが説明できていれば、計画として成立します。

売上の根拠はどう示せばよいですか。

単価と数量に分けて、それぞれの根拠を示してください。既存の取引先があるならその実績、なければ市場の規模や競合の状況から推定した根拠を書きます。

この項目の根拠:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード(創業計画書の記入例)」(https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html)

まとめ:分解して、積み上げて、つなげる

収支の見通しを作る3つの作業
収支の見通しを作る3つの作業

外国人が日本で会社設立をするときの収支の見通しについて見てきました。作業としては3つです。売上を分解する、費用を積み上げる、資本金とつなげる。

  1. 売上を単価と数量に分け、それぞれの根拠を示す
  2. 費用を固定費と変動費に分け、忘れやすい項目も入れる
  3. 資本金で何か月支えられるかを計算する。入金の時期も考える
  4. 資本金の使いみちを内訳で示し、収支の見通しと矛盾しないようにする
  5. 無理のない数字にする。次の更新で説明できる範囲で組み立てる

実際の数字は事業の内容によって変わります。この記事は考え方の整理です。作成にあたっては、税理士や中小企業診断士へご相談ください。

最後にひとつ。数字が苦手だという方も多いと思います。ただ、この作業を人任せにすると、自分の事業が分からなくなります。外国人が日本で会社設立をするときこそ、自分で一度は計算してみてください。

このセクションの根拠:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード(創業計画書の記入例)」(https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html)

読んでくださった方へ

数字を作る作業は、事業の見通しを自分で確かめる作業でもあります。書いているうちに、無理があることに気づくこともあります。

日本で会社設立をする外国人にとって、この計算は在留資格のためだけのものではありません。実際に事業を続けられるかどうかを判断する材料になります。

電卓を叩きながら、何度でも作り直してみてください。それが、事業を始める前にできるいちばん大事な準備だと思います。

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