印鑑証明書とサイン証明の使い分け|外国人の会社設立で最初に確認すること

この記事の対象
日本で会社設立をしようとしている外国人の方が、自分の場合にどの証明書が必要かを確認するための記事です。手続きを手伝う日本側の担当者にも読んでいただけます。
日本の会社設立の手続きは、印鑑登録の制度があることを前提に組み立てられています。印鑑登録ができる人は印鑑証明書を、できない人は署名とその証明を使うことになります。
取り扱いは提出先や事案によって異なることがあります。この記事は整理の枠組みです。実際の準備の前に、公証役場や法務局へご確認ください。
01分岐は「住民登録があるか」で決まる

外国人が日本で会社設立をするとき、印鑑証明書とサイン証明のどちらが必要になるかは、日本に住民登録があるかどうかで決まります。中長期在留者として在留カードを持ち、市区町村に住民登録をしていれば、印鑑登録ができます。
印鑑登録をすれば印鑑証明書が取れます。この場合、日本人が会社設立をするときと同じ流れで手続きを進められます。定款に実印を押し、印鑑証明書を添えるという形です。
住民登録がない場合、印鑑登録もできません。記名押印に代えて署名し、その署名が本人のものであることを証明した書類を添えることになります。これがサイン証明、署名証明などと呼ばれるものです。
短期滞在で入国している場合も住民登録ができないため、印鑑登録はできません。日本で会社設立をするために短期の商用ビザで来日した外国人は、この分岐に当たります。

まず、自分がどこに当たるかを確認してください。ここが決まれば、集める書類も、かかる時間も見えてきます。会社設立の日程を組む出発点になります。
この分岐が大事なのは、必要な書類だけでなく、会社設立にかかる日数も変わるからです。印鑑登録ができれば当日に証明書が取れますが、本国から取り寄せる場合は数週間かかることがあります。日本で会社設立をする外国人の日程は、ここでほぼ決まってしまいます。
このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)
印鑑登録ができる場合

日本に住民登録がある外国人は、住んでいる市区町村で印鑑登録ができます。在留カードなどの本人確認書類と、登録する印鑑を持って窓口へ行きます。
登録できる印鑑には条件があります。氏名の一部が含まれていること、大きさが決まった範囲内であることなどです。カタカナやローマ字の印鑑が認められるかどうかは、自治体によって扱いが違います。
住民票に通称名が記載されている場合、通称名の印鑑を登録できることがあります。日本で会社設立をする外国人が、日常的に通称名を使っている場合、この点も窓口で確認してください。
登録が済むと、印鑑登録証が交付されます。以降は、この証を持って行けば印鑑証明書が取れます。マイナンバーカードを使ってコンビニで取得できる自治体もあります。
印鑑証明書は、発行から3か月以内のものを求められることがあります。会社設立の日程が固まってから取りに行くほうが、期限切れを避けられます。
印鑑登録の申請そのものは、その日のうちに終わることが多くあります。ただし、本人確認の方法によっては照会書が郵送され、後日あらためて窓口へ行く形になることもあります。日本で会社設立を急いでいる外国人は、この点も確認してください。
印鑑そのものは、印章店で作ってもらいます。既製品では登録できないこともあるため、名前を彫ってもらうことになります。数日かかることもあるため、会社設立の準備の早い段階で手配してください。
このセクションの根拠:総務省「住民基本台帳等」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/daityo/)
サイン証明はどこで取れるか

印鑑登録ができない場合、署名が本人のものであることを証明した書類を用意します。法務省のページでは、外国人の署名証明書について、本国の官憲が作成したものが認められるとされています。
この本国の官憲には、本国に所在するもののほか、日本や第三国に所在するものも含まれるとされています。つまり、日本にある本国の大使館や領事館で取れる場合があるということです。
本国の公証人が作成したものも認められるとされています。さらに、やむを得ない事情がある場合には、居住国の官憲、居住国の公証人、日本の公証人が作成したものも許容される場合があるとされています。
どの方法が使えるかは、国籍と居住国によって変わります。日本で会社設立をする外国人は、まず自分の国の在日公館に問い合わせてみてください。取れるかどうか、どういう様式かを教えてもらえます。
取得にかかる時間もさまざまです。在日公館で当日取れる国もあれば、本国に照会が必要で数週間かかる国もあります。会社設立の日程は、ここから逆算することになります。
署名証明を取るときは、何のために使うのかを伝えてください。日本で会社設立をするために、定款や登記の書類に使うと説明すると、適切な様式で作ってもらいやすくなります。国によっては定型の様式が用意されています。
このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)
SECTION 04宣誓供述書という選択肢

宣誓供述書は、本人が述べた内容について真実であることを宣誓し、それを公証人が認証した書類です。英語ではアフィダビットと呼ばれます。
個人の署名や住所を証明する形でも使われますし、外国法人が発起人になる場合に、その法人の存在や代表者の資格を示す資料としても使われます。
日本に商業登記のない外国法人については、本店所在国の領事や公証人が認証した資格証明書などを用意することになります。日本で会社設立をする外国人が、本国の会社を親会社にする場合に関係します。
何を証明したいのかによって、記載する内容が変わります。会社設立に必要な内容が入っていないと取り直しになるため、作成の前に司法書士や公証役場へ内容を確認してもらってください。
外国語で作成されるため、日本語訳も必要になります。内容が長くなることも多く、翻訳の時間も見込んでおいてください。
外国法人が発起人になる場合、その法人の登記事項に相当する情報を示す書類も求められます。本国での登記制度が日本と違うため、どの書類が該当するのかを確認することになります。日本で会社設立をする外国人が本国の会社を親会社にする場合、この確認に時間がかかることがあります。
このセクションの根拠:谷島行政書士法人グループ「日本子会社設立で必要な外国法人宣誓供述書(Affidavit)とは」(https://tlg-visa.law/case/7439/)
日本語訳と、追加の認証

外国語で作成された書面を日本の役所に出す場合、原則として日本語訳を添えます。法務省のページでは、一部については省略できる場合もあるとされています。
翻訳者に資格の要件が定められていない場合もありますが、誰が翻訳したのかを記載するよう求められることがあります。翻訳者の氏名、住所、翻訳日を書き、署名する形が一般的です。
外国で作成された公文書については、公印確認やアポスティーユといった追加の認証が求められることがあります。ハーグ条約の締約国であればアポスティーユ、そうでなければ領事による認証という形です。
どの手続きが必要かは、書類が作成された国と、提出先によって変わります。日本で会社設立をする外国人は、必要かどうかを提出先に確認してください。不要な場合もあります。
翻訳を業者に依頼する場合、法務や商業登記の翻訳に慣れているところを選ぶと安心です。訳語が不正確だと、提出先で説明を求められることがあります。外国人が日本で会社設立をするときの書類は、専門用語が多く含まれます。
このセクションの根拠:外務省「証明(公印確認・アポスティーユ)」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/shomei/index.html)
どの書類がどこで必要になるか

印鑑証明書やサイン証明が必要になるのは、主に2つの場面です。株式会社の定款認証と、設立登記の申請です。
株式会社の場合、公証役場での定款認証で発起人の印鑑証明書または代わりの書類が求められます。そのうえで、法務局への登記申請でも必要になります。
合同会社の場合、定款の認証がないため、必要になるのは法務局への登記申請だけです。日本で会社設立をする外国人が合同会社を選ぶと、確認先が一か所で済みます。
- 定款認証(株式会社)発起人の印鑑証明書または代わりの書類。
- 設立登記発起人、設立時取締役、代表取締役などの印鑑証明書または代わりの書類。
- 合同会社の登記代表社員の印鑑証明書または代わりの書類。
- 提出先の確認求められる形は提出先によって異なることがあります。事前に確認してください。
必要な通数も確認してください。同じ書類を複数の場面で使う場合、それぞれに1通ずつ必要になることがあります。会社設立の準備で、まとめて取り寄せておくと手間が減ります。
在留資格の申請でも、本人確認の書類は必要になります。ただしそちらではパスポートや在留カードが中心で、印鑑証明書やサイン証明が求められるわけではありません。会社設立の書類と入管の書類は、必要なものが違います。
このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)
07手配の順番と、期限の管理

これらの書類は、取得に時間がかかる一方で、有効期限が設定されていることがあります。早く取りすぎると期限切れ、遅く取ると日程が押すという難しさがあります。
順番としては、まず会社の内容を決めます。商号、事業目的、資本金の額、本店所在地、役員構成。ここが固まらないうちに書類を取り寄せても、無駄になることがあります。
次に、提出先へ確認します。公証役場と法務局に、どの書類が必要かを問い合わせます。日本で会社設立をする外国人の場合、この確認が特に大切です。
確認が済んだら、本国へ手配します。郵送の時間と翻訳の時間を見込んでください。届いたら、翻訳を手配します。
そのうえで、定款の作成、認証、払込み、登記へ進みます。会社設立の全体の日程は、この書類の手配から逆算することになります。
本国の祝日や役所の休みも考慮してください。国によっては長期の休暇があり、その期間は書類の取得が止まります。日本で会社設立をする外国人が、思わぬところで待たされる原因になります。
このセクションの根拠:外務省「申請手続きガイド(証明できる書類)」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000549.html)
よくある質問

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。
外国人でも印鑑登録できますか。
日本に住民登録がある中長期在留者であれば、住んでいる市区町村で印鑑登録ができます。登録できる印鑑の条件は自治体によって異なるため、窓口で確認してください。
サイン証明はどこで取れますか。
法務省のページでは、本国の官憲が作成したものが認められるとされており、これには日本や第三国に所在する本国の官憲も含まれるとされています。本国の公証人が作成したものも認められるとされています。
日本語訳は必ず必要ですか。
外国語で作成された書面には原則として日本語訳を添えます。ただし、一部については省略できる場合もあるとされています。提出先へご確認ください。
この項目の根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)
まとめ:まず自分の分岐を確認する

外国人が日本で会社設立をするときの印鑑証明書とサイン証明について見てきました。分岐は、日本に住民登録があるかどうかです。
- 住民登録があるか確認する。あれば印鑑登録ができる
- 印鑑登録ができるなら、それがいちばん簡単。会社設立の前に済ませておく
- できない場合、本国の官憲や公証人が作成した署名証明書を用意する
- 外国語の書面には日本語訳を添える。追加の認証が要るかも確認する
- 手配の前に、公証役場と法務局へ必要な書類を確認する
取り扱いは提出先や事案によって異なることがあります。この記事は整理の枠組みです。実際の準備の前に、法務局と、商業登記に詳しい司法書士へご確認ください。
このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)
読んでくださった方へ
この部分は、外国人が日本で会社設立をするときにいちばん手間がかかるところです。制度の違いから生じるもので、避けようがありません。
ただ、日本に住民登録があるなら、印鑑登録をしてしまうのがいちばん簡単です。会社設立を思い立ったら、まず市区町村の窓口で確認してみてください。
住民登録がない場合も、在日公館で取れることがあります。まず問い合わせてみるところから始めてみてください。
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