株式会社の定款認証を外国人が受けるとき|公証役場での流れと、事前に確認すること

この記事の対象
日本で株式会社を設立しようとしている外国人の方で、これから定款認証を受ける段階にいる方に向けた記事です。手続きを手伝う日本側の担当者にも読んでいただけます。
定款認証は、株式会社の会社設立にだけある工程です。合同会社にはありません。公証人に定款の内容を確認してもらい、認証を受けます。
外国人が発起人になる場合、公証役場によって求められる書類の形が異なることがあります。この記事は一般的な流れの整理です。実際の準備の前に、認証を受ける予定の公証役場へご確認ください。
01定款認証とは何をする手続きか

定款は、会社の決まりごとを書いた文書です。株式会社を設立する場合、この定款について公証人の認証を受ける必要があります。会社設立の手続きの中で、法務局へ行く前の工程です。
公証人は、定款の内容が法律に反していないか、必要な事項が記載されているかを確認します。認証を受けた定款は、設立登記の添付書類として使います。
合同会社には、この工程がありません。日本で会社設立をする外国人が合同会社を選ぶと、この工程の日数と費用がまるごとなくなります。
- どこで受けるか公証役場です。会社の本店所在地を管轄する法務局の所属公証人が扱います。
- 誰が行くか発起人本人、または委任を受けた代理人です。
- 何を確認するか定款の内容と、発起人の本人確認です。
- いつ受けるか定款を作成したあと、資本金の払込みの前後に行います。
認証の手数料は資本金の額によって変わります。日本公証人連合会が公表している内容では、100万円未満が3万円、100万円以上300万円未満が4万円、それ以外が5万円とされています。
また、発起人全員が自然人でその数が3名以下、発起設立、取締役会非設置のすべてを満たすときは1万5,000円になるとされています。外国人が日本で会社設立をする場合、ひとりで設立するならこの条件に当てはまることがあります。
定款には、必ず書かなければならない事項があります。目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称と住所などです。これらが欠けていると認証を受けられません。会社設立の書類を作るときに、まずここを確認してください。
これに加えて、定款に書いておくと効力が生じる事項もあります。役員の任期、事業年度、公告の方法など。日本で会社設立をする外国人が、あとから変更登記の手間を減らしたいと考えるなら、この部分の設計も一緒に考えてください。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)
事前に確認しておくこと

外国人が日本で会社設立をする場合、公証役場への事前の問い合わせを強くおすすめします。印鑑証明書が取れない場合の扱いは、公証役場によって細かい部分が異なることがあるためです。
- 印鑑証明書の代わりに何を出せばよいか
- サイン証明の様式に決まりはあるか
- 日本語訳は誰が作ったものでよいか
- 当日に本人が行けない場合、委任状はどう作るか
- 実質的支配者となるべき者の申告書の書き方
問い合わせのときは、発起人が何人いて、そのうち何人が外国人で、日本に住民登録があるかどうかを伝えてください。状況によって答えが変わります。
日本で会社設立をする外国人が、日本語での問い合わせに不安がある場合は、司法書士や行政書士に依頼する方法もあります。定款の作成から認証の手配までをまとめて扱ってもらえます。
問い合わせの際は、電話でもメールでも構いません。公証役場によって対応の方法が違います。外国人が日本で会社設立をする件だと伝えると、必要な確認事項を教えてもらえることがあります。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「日本公証人連合会」(https://www.koshonin.gr.jp/)
予約から当日までの流れ

公証役場は予約制です。希望の日に空きがあるとは限りません。年度末など混む時期は、早めに動いてください。
- 定款の案を作る会社の内容が決まってから作成します。専門家に依頼することもできます。
- 公証役場へ問い合わせる必要書類と、外国人が発起人の場合の扱いを確認します。
- 定款案を送る事前に内容を確認してもらいます。修正のやり取りが発生します。
- 予約を取る認証を受ける日を決めます。書類の準備が間に合うかを確認します。
- 当日、公証役場へ行く本人または代理人が行きます。書類を提出し、認証を受けます。
- 認証済みの定款を受け取る登記の申請に使います。大切に保管してください。
当日に持参するものは、事前の確認で示されたものです。発起人の印鑑証明書、実印、本人確認書類など。外国人が日本で会社設立をする場合、これに代わる書類を持参することになります。
認証にかかる時間そのものは長くありません。ただし、書類に不備があるとその場では終わらず、出直しになります。事前の確認が大切なのはこのためです。
当日の所要時間は、書類がそろっていれば30分から1時間程度が目安です。会社設立の手続きの中では短いほうです。ただし、公証役場の混み具合によって待ち時間が発生することもあります。
発起人が複数いる場合、全員が行く必要があるかどうかも確認してください。委任状で代表者だけが行く形が使えることもあります。日本で会社設立をする外国人が複数の発起人をまとめる場合、この点を先に聞いておくと段取りが楽になります。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)
SECTION 04署名と押印の扱い

日本の定款では、発起人が記名押印するのが基本の形です。実印を押し、印鑑証明書を添えます。日本に住民登録があり印鑑登録をしている外国人であれば、この形で進められます。
印鑑登録をしていない場合、記名押印に代えて署名し、その署名が本人のものであることを本国の官憲が証明した書類を添えるという扱いが取られます。サイン証明(署名証明)などがこれにあたります。
電子定款の場合は、電子署名を使います。この場合の外国人の扱いについても、事前に確認してください。専門家に依頼して電子定款を作る場合、その専門家が対応することになります。
押印する実印は、印鑑登録をした印鑑です。会社の実印とは別のものです。会社設立の手続きでは、個人の実印と会社の実印の両方が出てきます。混同しないようにしてください。
なお、日本に住民登録がある外国人でも、印鑑登録をしていなければ印鑑証明書は取れません。会社設立を思い立ったら、まず市区町村で印鑑登録ができるかを確認してみてください。登録できれば、その後の手続きが日本人と同じ流れになります。
このセクションの根拠:司法書士法人永田町事務所「宣誓供述書や署名(サイン)証明書の取得地や注意点」(https://asanagi.co.jp/2022/06/18/3590/)
代理で受ける場合

発起人本人が公証役場へ行けない場合、委任状を作って代理人に行ってもらうことができます。海外在住の外国人が日本で会社設立をする場合、この形をとることがよくあります。
委任状には、誰に何を委任するのかを記載し、発起人が署名または記名押印します。印鑑証明書やサイン証明を添えることになります。
- 誰が代理人になれるか司法書士や行政書士のほか、知人に頼むこともできます。
- 委任状の内容定款認証の手続きを委任することを記載します。
- 添える書類発起人の印鑑証明書、または代わりになる証明。
- 注意点委任状の様式や記載内容は、公証役場に確認してください。
海外にいる発起人が委任状を作る場合、その委任状の署名についても証明が必要になることがあります。書類が二重になるため、時間がかかります。会社設立の日程には余裕を持たせてください。
代理人に依頼する場合、報酬が発生することもあります。司法書士や行政書士に会社設立をまとめて依頼していれば、その中に含まれていることが多くあります。見積もりのときに確認してください。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow09_4/9_4_q03)
認証を受けたあとにすること

認証が終わったら、資本金の払込みへ進みます。払込みは定款の作成のあとに行うのが原則とされているため、認証の前に済ませている場合もあります。日付の順番を確認してください。
払込みが終わったら、認証済みの定款、払込みがあったことを証する書面、就任承諾書などをそろえて、法務局へ登記を申請します。申請した日が会社の設立日になります。
謄本の交付手数料は1ページ250円とされています。必要な枚数を、認証のときに合わせて依頼してください。
認証済みの定款は、原本を会社で保管します。写しを求められる場面が多いため、コピーを何部か取っておくと便利です。外国人が日本で会社設立をした場合、在留資格の申請でも定款の写しを出すことになります。
このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)
07よくあるつまずき

定款認証でつまずく例は、いくつかの型に分かれます。外国人が日本で会社設立をするときに起きやすいものを挙げます。

どれも事前に確認しておけば避けられるものです。会社設立の日程が押している場合ほど、確認を省きたくなりますが、出直しのほうが結果として時間がかかります。
もうひとつ、事業目的の書き方で指摘を受けることもあります。意味が読み取れない文言や、法令に反する内容は認証を受けられません。会社設立の前に、専門家に目的の文言を見てもらうと確実です。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「日本公証人連合会」(https://www.koshonin.gr.jp/)
よくある質問

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。
定款認証の手数料はいくらですか。
日本公証人連合会が公表している内容では、資本金の額が100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、それ以外で5万円とされています。発起人全員が自然人で3名以下、発起設立、取締役会非設置のすべてを満たすときは1万5,000円とされています。
合同会社でも定款認証は必要ですか。
合同会社では定款の認証は不要です。定款そのものは作成しますが、公証人の認証を受ける工程がありません。
海外にいるままで認証を受けられますか。
委任状を作って代理人に行ってもらう方法があります。ただし委任状の署名についても証明が必要になることがあるため、書類の準備に時間がかかります。事前に公証役場へご確認ください。
この項目の根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)
まとめ:確認してから予約する

外国人が日本で会社設立をするときの定款認証は、事前の確認がすべてと言ってもよい工程です。公証役場によって扱いが異なる部分があるためです。
- 会社の内容を決め、定款の案を作る
- 公証役場へ問い合わせ、外国人が発起人の場合の必要書類を確認する
- 定款案を送り、内容を確認してもらう
- 予約を取り、必要書類をそろえる
- 当日、本人または代理人が行き、認証を受ける
手数料や取り扱いは変わることがあります。この記事は流れの整理です。実際の準備の前に、日本公証人連合会のページと、認証を受ける公証役場へご確認ください。
最後にひとつ。定款認証は、会社設立の中で公証人という第三者が内容を見る唯一の工程です。ここで指摘を受けた点は、後の登記や在留資格の申請でも問題になりやすい部分です。指摘があったら、その場で理由を聞いておくと役に立ちます。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「会社の定款認証手数料の改定」(https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee)
読んでくださった方へ
定款認証は、会社設立の中では短い工程です。ただ、外国人が発起人になる場合は、確認しておくことがいくつかあります。
公証役場は、問い合わせに丁寧に答えてくれるところがほとんどです。日本で会社設立をするために必要だと伝えれば、必要な書類を教えてもらえます。
遠慮せずに、事前に電話をしてみてください。それだけで、当日の出直しを避けられます。
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