外国人の会社設立にかかる費用の内訳|法定費用・実費・専門家報酬を分けて見積もる

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日本で会社設立をするのにいくらかかるのかを知りたい外国人の方と、その見積もりを立てる日本側の担当者に向けた記事です。金額の目安を並べていますので、自分の場合の合計を出す材料としてお使いください。
会社設立の費用は、法律で決まっているもの、実費として必ず出ていくもの、依頼する場合の報酬の3つに分かれます。この3つを混ぜて考えると、見積もりが立てにくくなります。分けて数えるのがこの記事の方針です。
以下の金額は、2026年8月時点で公表されている資料にもとづく目安です。報酬は依頼先によって大きく違います。実際の見積もりは、依頼を検討している事務所へ直接ご確認ください。
費用を3つに分けて数える

外国人が日本で会社設立をするときの費用は、性質の違う3つに分かれます。まず、法律で金額が決まっている法定費用。次に、書類の取り寄せや印鑑の作成など、必ず出ていく実費。最後に、司法書士や行政書士に依頼する場合の報酬です。
法定費用は、どこで会社設立をしても同じ金額です。実費は、どんな書類が必要かによって変わります。報酬は、依頼するかどうか、誰に依頼するかで変わります。この違いを押さえておくと、見積もりを比べるときに迷いません。

日本で会社設立をする外国人の場合、この3つに加えて、在留資格の申請にかかる費用も別に発生します。会社の手続きと在留資格の手続きは別々のため、費用も別に見ておいてください。
見積もりを立てる順番としては、まず会社の形態と資本金の額を決めます。この2つが決まると、法定費用はほぼ確定します。次に、自分の場合にどんな書類が要るかを洗い出して実費を積みます。最後に、どこまで人に頼むかを決めて報酬を足します。外国人が日本で会社設立をするときも、この順番は変わりません。
このセクションの根拠:JETRO「日本での拠点設立方法」(https://www.jetro.go.jp/invest/setting_up/section1/page1.html)
SECTION 02法定費用1:定款認証の手数料

株式会社を設立する場合、定款について公証人の認証を受ける必要があります。日本公証人連合会が公表している手数料は、資本金の額によって段階が分かれています。
| 資本金の額 | 手数料 |
|---|---|
| 100万円未満 | 3万円 |
| 100万円以上300万円未満 | 4万円 |
| 上記以外 | 5万円 |
※ 発起人全員が自然人でその数が3名以下、発起設立、取締役会非設置のすべてを満たすときは1万5,000円とされています。2026年8月時点の公表内容です。
あわせて、登記の申請に使う謄本の交付手数料がかかります。1ページあたり250円とされています。ページ数によりますが、2,000円前後になることが多くあります。
合同会社の場合、定款の認証は不要です。この工程がまるごとないため、費用も時間も抑えられます。外国人が日本で会社設立をするとき、合同会社が選ばれる理由のひとつがここにあります。
この4万円の差は大きいため、会社設立を依頼する場合でも、電子定款に対応しているかを確認するとよいでしょう。依頼の報酬が4万円未満であれば、自分で紙の定款を作るより安くなる計算になります。
なお、認証を受けるには公証役場へ行く必要があります。発起人本人が行けない場合は、委任状を作って代理人に行ってもらうことになります。委任状には印鑑証明書などを添えるため、書類の準備に手間がかかります。日本で会社設立をする外国人が海外にいる場合は、この部分の段取りを先に確認してください。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)
法定費用2:設立登記の登録免許税

設立登記を法務局へ申請するときに納める税金です。国税庁の税額表では、株式会社の設立登記は資本金の額の1000分の7で、これによって計算した税額が15万円に満たないときは15万円とされています。
合同会社の設立登記も同じく資本金の額の1000分の7ですが、最低額は6万円です。日本で会社設立をする外国人が費用を抑えたい場合、この差が判断材料のひとつになります。

資本金の額が大きくなると、登録免許税も上がります。株式会社で1000分の7が15万円を超えるのは、資本金が約2,142万9,000円を超えたあたりからです。在留資格「経営・管理」の基準に合わせて資本金3,000万円にする場合は21万円になります。
登録免許税は、会社設立のときだけでなく、あとから変更登記をするたびにかかります。本店の移転、役員の変更、増資、事業目的の変更。どれも税額が定められています。外国人が日本で会社設立をするときに、最初の設計を丁寧に決めておくほうが結果として安くつくのは、この積み重ねがあるためです。
このセクションの根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)
実費1:印鑑と証明書

会社の印鑑は、実印、銀行印、角印の3つを作ることが多くあります。材質や依頼先によって金額が変わります。安いものなら数千円から、しっかりしたものだと数万円になります。
証明書の取得にも手数料がかかります。発起人や役員の印鑑証明書、設立後の登記事項証明書や会社の印鑑証明書などです。1通あたり数百円ですが、複数枚必要になるため積み上がります。
- 会社の実印登記の際に法務局へ届け出る印鑑です。作成費用がかかります。
- 個人の印鑑証明書発起人や役員のものが必要です。市区町村で取得します。
- 登記事項証明書設立後に取得します。在留資格の申請や法人口座の開設で使います。
- 会社の印鑑証明書設立後に法務局で取得します。契約の場面で求められます。
外国人が日本で会社設立をする場合、印鑑登録をしていないと個人の印鑑証明書が取れません。その代わりにサイン証明(署名証明)や宣誓供述書を用意することになり、こちらは取得に費用と時間がかかります。
登記事項証明書は、1通あたり数百円です。設立後の手続きで何通も使うため、まとめて取っておくと窓口へ行く回数が減ります。会社設立の直後は、法人口座の開設、税務署への届出、在留資格の申請と、必要になる場面が続きます。
このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)
05実費2:外国人ならではの上乗せ

外国人が日本で会社設立をする場合、日本人だけで設立するときには出てこない費用が加わります。見積もりを立てるときに漏れやすい部分です。
- サイン証明(署名証明)や宣誓供述書の取得費用:本国の公証人や在外公館で取得します。
- 翻訳費用:外国語の書面には日本語訳を添えます。分量によって金額が変わります。
- 公印確認やアポスティーユの費用:書類によっては必要になります。
- 国際郵送の費用:本国とのやり取りが発生します。
- 海外送金の手数料:資本金を本国から送る場合にかかります。中継銀行の手数料も含みます。
これらは金額そのものより、時間がかかることのほうが問題になることがあります。会社設立の日程を組むときは、費用と一緒に所要日数も確認しておいてください。
翻訳については、誰が訳したものかを記載するよう求められることがあります。翻訳者に資格の要件が定められていない場合もありますが、提出先によって扱いが違います。日本で会社設立をする外国人は、書類を出す先ごとに確認してください。
このセクションの根拠:外務省「証明(公印確認・アポスティーユ)」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/shomei/index.html)
専門家報酬:誰に何を頼むか

会社設立にかかわる専門家は、分野ごとに分かれています。それぞれに報酬が発生するため、全部を依頼すると合計は大きくなります。
| 分野 | 依頼先 | 扱う内容 |
|---|---|---|
| 設立登記 | 司法書士 | 定款の作成、登記申請書の作成と提出 |
| 在留資格 | 行政書士 | 在留資格の申請書類の作成と申請の取次 |
| 税務・会計 | 税理士 | 設立後の届出、記帳、決算と申告 |
| 労務・社会保険 | 社会保険労務士 | 社会保険と労働保険の手続き |
| 事業計画の確認 | 中小企業診断士・公認会計士・税理士 | 在留資格の申請で必要な事業計画書の確認 |
※ 資格によって行える業務の範囲が法律で定められています。誰に何を頼めるかを確認してから依頼してください。
報酬の額は事務所によって差があります。日本で会社設立をする外国人向けのサービスでは、登記と在留資格をまとめて扱う事務所もあります。その場合でも、実際にどの資格者が何をするのかを確認しておくと安心です。
依頼をするかどうかは、費用だけでなく時間で考えることもできます。自分で調べて手続きをすれば報酬はかかりませんが、その分の時間を事業の準備に使えなくなります。外国人が日本で会社設立をする場合、制度の用語を理解するところから始まるため、時間の見積もりも大きくなりがちです。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html)
会社設立の後にかかるお金

会社設立の手続きが終わると、そこから毎月の支出が始まります。外国人が日本で会社設立をする場合、在留資格の基準に合わせて事業所を借り、常勤職員を雇うことになるため、この部分が大きくなります。
- ●事務所の賃料と共益費:毎月かかります。敷金や礼金は初期費用です。
- ●人件費:常勤職員1人分の給与と、会社が負担する社会保険料。
- ●社会保険料:社長ひとりの会社でも、法人であれば加入が原則です。
- ●税金:法人住民税の均等割は、所得がなくてもかかります。
- ●会計や税務の顧問料:税理士に依頼する場合の毎月の費用。
資本金は、これらの支出を賄うためのお金でもあります。会社設立の費用だけを見て資本金を決めると、開業してすぐに資金が足りなくなります。設立後の数か月分の支出を積み上げてから、資本金の額を決めてください。
このセクションの根拠:日本年金機構「適用事業所と被保険者」(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html)
SECTION 08よくある質問

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。
会社設立の費用は合計でいくらですか。
会社の形態、資本金の額、依頼する範囲によって変わります。法定費用だけであれば、電子定款の株式会社で20万円前後から、合同会社で6万円前後からが目安です。これに実費と専門家報酬が加わります。
合同会社のほうが安いのはなぜですか。
定款の認証が不要で認証手数料がかからないことと、設立登記の登録免許税の最低額が6万円(株式会社は15万円)であることが主な理由です。
電子定款にすると何が変わりますか。
紙の定款では収入印紙4万円が必要ですが、電子定款ではこれがかかりません。作成には専用の環境が必要なため、専門家に依頼して作ることが一般的です。
この項目の根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)
まとめ:見積もりの立て方

外国人が日本で会社設立をするときの費用は、法定費用、実費、専門家報酬の3つに分けて数えると見通しが立ちます。それぞれ変わり方が違うため、混ぜないことが大切です。
- 会社の形態を決める。株式会社か合同会社かで法定費用が変わる
- 資本金の額を決める。登録免許税と定款認証の手数料に影響する
- 必要な書類を洗い出す。外国人特有の証明書や翻訳の費用を見込む
- どこまで依頼するかを決める。分野ごとに依頼先と報酬を確認する
- 設立後の毎月の支出を積み上げる。資本金の額の裏づけにする
金額は2026年8月時点で公表されている資料にもとづく目安です。手数料や税額は改正されることがあります。実際の見積もりは、依頼を検討している事務所と、所管の官庁のページでご確認ください。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「会社の定款認証手数料の改定」(https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee)
読んでくださった方へ
費用の話は、事業を始める前にいちばん気になるところだと思います。ただ、設立の費用そのものより、設立後に毎月出ていくお金のほうが、事業には大きく効いてきます。
日本で会社設立をする外国人の場合、在留資格の基準に合わせて事務所を借り、人を雇う必要が出てきます。その分の見通しを立ててから、設立の費用を考えてみてください。
見積もりを取るときは、何が含まれていて何が含まれていないかを、遠慮なく聞いてください。それが分かるだけで、比べやすくなります。
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