本文へ移動
会社設立 外国人 司法書士

会社設立に司法書士は必要か|外国人が本人申請で進められる条件と、頼んだほうが早い場面

会社設立に司法書士は必要か|外国人が本人申請で進められる条件と、頼んだほうが早い場面

この記事が役に立つ方

日本で会社設立を準備している外国人のうち、「登記くらいは自分でやれるのではないか」「司法書士に払う報酬を資本金や事務所の費用に回したい」と考えている方に向けて書きました。日本に住んで数年たち、日本語の書類もある程度読める方を主に想定しています。

外国人の友人や社員から「会社をつくるのに司法書士は必要なの?」と聞かれた日本人の方、外国人の経営者を支える行政書士事務所・会計事務所の担当者にも、説明の材料として使っていただけるはずです。

内容は2026年10月時点の司法書士法・商業登記の取扱いと、法務省・法務局の公開情報にもとづいています。登記の運用は法務局ごとに案内のしかたが違うことがあるため、申請の前に管轄の法務局で確かめてください。

会社設立に司法書士は必要ですか:法律上の答えと、その根拠

会社設立に司法書士は必要か、という問いの答えは「法律上は必須ではない」
会社設立に司法書士は必要か、という問いの答えは「法律上は必須ではない」

関連する質問に出てくる「会社設立には司法書士は必要ですか?」に、まず条文から答えます。司法書士法3条は、司法書士が他人の依頼を受けて登記の手続を代理すること、法務局に出す書類を作ることを業とすると定めています。そして73条1項で、司法書士会に入っている司法書士や司法書士法人でない者がこの業務を行うことを禁じています。

裏返すと、会社を代表する人が自分の会社の設立登記を自分で申請することは、この禁止の対象ではありません。日本で会社をつくる人が外国人であっても日本人であっても同じで、国籍によって司法書士が必須になる決まりはありません。法務局は株式会社や合同会社の設立登記の申請書様式と記載例を公開しており、本人が書くことを前提にした案内も用意しています。

一方で、知人や本国の取引先、資格のないコンサルタントに「代わりに登記を出してもらう」ことは別の話です。司法書士法78条1項は、73条1項に違反した者を1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています。外国人の会社設立を手伝う人が善意で申請書を作って出すと、この線を越えるおそれがあります。

  • 本人申請会社の代表者(設立時代表取締役や代表社員)が自分で申請書を作り、法務局に出す。司法書士は不要。
  • 司法書士への依頼司法書士が依頼を受けて申請書と添付書類を作り、代理人として申請する。
  • してはいけない形司法書士でない第三者が、他人の会社の登記申請を代わりに作成・代理する。

つまり、日本で会社設立をするときに選べる道は「自分で出す」か「司法書士に任せる」かの二つです。外国人の会社設立でも、その中間に別の選択肢はないと考えておくと、依頼先を探すときに迷いが減ります。

このセクションの根拠:e-Gov法令検索「司法書士法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000197)

本人申請とは何をすることか:外国人の代表者が自分で設立登記を出す流れ

外国人が本人申請で会社設立をするときの大まかな流れ
外国人が本人申請で会社設立をするときの大まかな流れ

本人申請で会社設立をするときに自分で受け持つのは、定款を作ること、株式会社なら公証役場で定款の認証を受けること、資本金を払い込んで証明書類を作ること、登記申請書と添付書類をそろえて法務局に出すこと、の四つです。合同会社は定款の認証がないため、公証役場の工程が丸ごとなくなります。

本人申請で株式会社を設立する場合の工程。合同会社は2つ目の工程がありません
本人申請で株式会社を設立する場合の工程。合同会社は2つ目の工程がありません

法務局の様式集には、設立登記の申請書のほか、就任承諾書、払込みを証する書面、印鑑届書などのひな形と記載例が並んでいます。記載例を自分の会社に合わせて書き換えていく作業になるため、日本語の書類を読み慣れている人ほど本人申請は進めやすくなります。

法務局に申請した日が会社の成立日になります。日本で会社設立の日付にこだわりがある外国人の経営者は、その日に法務局が開いているか、書類に不備がないかを前もって確かめておく必要があります。補正(申請後の訂正)を求められたときに対応するのも、本人申請なら自分自身です。

このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)

SECTION 03本人申請で外国人がつまずきやすい4つの書類

外国人の本人申請で時間がかかりやすいのは、日本の制度に置き換える書類
外国人の本人申請で時間がかかりやすいのは、日本の制度に置き換える書類

外国人が自分で会社設立の登記を出すとき、記載例どおりに書けない部分がいくつか出てきます。法務省は「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」というページで、こうした場面の取扱いをまとめています。本人申請を考えるなら、最初に読んでおきたいページです。

外国人が本人申請で特に確かめておく書類(法務省の案内をもとに作成)
外国人が本人申請で特に確かめておく書類(法務省の案内をもとに作成)

日本に住民登録があり印鑑登録もしている外国人なら、印鑑証明書を使えるので書類の組み立ては日本人とほとんど変わりません。これに対し、海外に住んでいる外国人が役員になる場合は、署名証明書を本国の官憲や公証人に作ってもらうことになります。法務省の案内では、住んでいる国にある本国の大使館などが作ったものも使えるとされていますが、どの機関の証明書なら受け付けられるかは細かく決まっています。

払込みの口座も見落としやすいところです。外国銀行の海外の本支店や、外国の法律で設立された現地法人の銀行の口座は、払込取扱機関に含まれません。本国の口座に資本金を入れて通帳の写しを付けても、設立登記には使えないということです。

どれも一つずつは調べれば分かることですが、四つが同時に絡むと、外国人ひとりで日本での会社設立の登記を仕上げるのは急に難しくなります。本人申請を選ぶかどうかは、この四つのうちいくつが自分に当てはまるかで判断するのが現実的です。

このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)

印鑑の届出とオンライン申請:司法書士がいなくても使える仕組み

本人申請でも、オンライン申請と書面申請のどちらかを選べます
本人申請でも、オンライン申請と書面申請のどちらかを選べます

会社設立のときに法務局へ会社の印鑑(代表者印)を届け出る手続は、以前はすべての会社に求められていました。法務省の案内によると、2021年(令和3年)2月15日から、登記の申請をオンラインで行う場合は印鑑の提出が任意になっています。

会社の印鑑の届出の扱い(法務省「商業登記規則が改正され、オンライン申請がより便利になりました」による。2026年10月時点)
会社の印鑑の届出の扱い(法務省「商業登記規則が改正され、オンライン申請がより便利になりました」による。2026年10月時点)

ただし、オンライン申請は申請書の情報に電子署名を付けて送る仕組みで、電子証明書を用意できることが前提です。海外に住んでいる外国人が自分ひとりで使うには、ハードルが残ります。日本に住んで在留カードを持っている外国人のほうが、オンラインの本人申請を使える場面は多いでしょう。

印鑑を届け出ないと、法務局で会社の印鑑証明書が取れません。銀行の法人口座の開設や、不動産の賃貸借契約で会社の印鑑証明書を求められることは珍しくないため、任意になったからといって届け出ないと決める前に、設立後の手続きで何が求められるかを確かめておいてください。

このセクションの根拠:法務省「商業登記規則が改正され、オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00072.html)

法務局の登記手続案内を使って、本人申請の不安を減らす

本人申請で会社設立を進める外国人が使える、法務局の登記手続案内
本人申請で会社設立を進める外国人が使える、法務局の登記手続案内

司法書士に頼まずに会社設立を進める場合、頼りになるのが法務局の登記手続案内です。たとえば長野地方法務局の案内では、対面・電話による案内は完全予約制で、本局ではウェブ会議(Webex)による案内も予約できるとされています。予約は「法務局手続案内予約サービス」から行う形です。

案内は法務局のホームページにある申請書様式などにもとづいて行われるため、様式を事前にダウンロードして目を通しておくよう求められています。白紙の状態で行くより、記載例を自分の会社に合わせて書いてみて、分からない部分に印を付けて持っていくほうが、限られた時間で多くを確かめられます。

  1. 様式をダウンロードする設立登記の申請書、就任承諾書、払込みを証する書面など、使う様式を法務局のページから集めます。
  2. 自分の会社で書いてみる商号・本店・役員・資本金を入れて下書きを作り、迷った箇所を書き出します。
  3. 管轄の法務局で予約する本店所在地を管轄する法務局を選びます。支局ではウェブ会議を使えない場合があります。
  4. 質問を絞って聞く署名証明書の作成者、翻訳の付け方、払込みの口座など、外国人ならではの点から先に聞きます。

注意したいのは、手続案内は申請書の書き方や必要書類の一般的な説明にとどまり、書類を代わりに作ってくれるわけではない点です。長野地方法務局も、登記を申請するまでに複数回利用することがあるため、時間がない人や自分での手続きが難しい人は司法書士への依頼を検討するよう案内しています。

このセクションの根拠:長野地方法務局「登記手続案内について」(https://houmukyoku.moj.go.jp/nagano/page000001_00113.html)

06司法書士が必要になりやすい外国人の会社設立:5つの場面

外国人の会社設立で司法書士への依頼を考えたい5つの場面
外国人の会社設立で司法書士への依頼を考えたい5つの場面

法律上は必須でなくても、実際には司法書士がいたほうが会社設立が早く確実に終わる場面があります。本人申請の負担が大きくなるのは、次のような場合です。

司法書士への依頼を考えたい場面。どれか1つでも当てはまれば、見積もりだけでも取っておく価値があります
司法書士への依頼を考えたい場面。どれか1つでも当てはまれば、見積もりだけでも取っておく価値があります

日本司法書士会連合会は、司法書士を不動産登記と会社・法人登記の専門家として紹介しています。外国人の会社設立の場合、登記そのものより、本国の書類を日本の登記で使える形に整える作業に時間がかかることが多く、そこで経験の差が出ます。

反対に、日本で暮らして住民登録があり、印鑑証明書が取れ、資本金も日本の自分名義の口座で払い込める外国人なら、本人申請でも十分に会社設立ができます。司法書士が必要かどうかは国籍で決まるのではなく、住所と書類と時間の制約で決まる、と言い換えられます。

このセクションの根拠:日本司法書士会連合会「司法書士の業務」(https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/business.html)

よくある質問:司法書士は必要か、で迷ったときに

会社設立に司法書士は必要か、をめぐるよくある質問
会社設立に司法書士は必要か、をめぐるよくある質問

外国人の会社設立の相談で出てくる質問のうち、司法書士が必要かどうかに関わるものをまとめました。個別の事情で答えが変わるものもあるため、判断の材料としてお読みください。

日本語が読めない外国人でも、本人申請で会社設立ができますか。

制度上はできます。ただ、登記申請書や議事録は日本語で作るのが原則で、法務局の手続案内も日本語で行われます。日本語の書類を読める人に手伝ってもらう場合は、その人が申請書を代わりに作成・代理する形にならないよう注意してください。

友人の日本人に登記を出してもらうのは問題ありますか。

司法書士でない人が他人の会社の登記を代理したり、法務局に出す書類を作ったりすることは、司法書士法73条で禁じられています。書類を届けるだけ、横で説明を聞くだけ、といった範囲を超えないようにし、代理が必要なら司法書士に依頼してください。

司法書士はどうやって探せばよいですか。

日本司法書士会連合会のホームページに司法書士検索があり、司法書士会や事務所所在地で探せます。対応言語で絞り込む項目はないため、外国人の会社設立を扱った経験や英語などでの対応ができるかは、問い合わせのときに直接聞いてください。

本人申請で始めて、途中から司法書士に頼むことはできますか。

できます。ただし、すでに作った定款や書類を引き継げるかどうかは司法書士の判断になり、作り直しが必要になることもあります。補正が出てから慌てて探すより、署名証明書や払込みの段階で迷った時点で相談するほうが手戻りは少なくなります。

この項目の根拠:日本司法書士会連合会「司法書士検索」(https://www.shiho-shoshi.or.jp/search/)

まとめ:司法書士が必要かどうかは、住所と書類と時間で決める

会社設立に司法書士は必要か、の判断のしかた
会社設立に司法書士は必要か、の判断のしかた

会社設立に司法書士は必要か、という問いの答えは「法律上は不要。ただし他人に代理を頼むなら司法書士だけ」です。外国人が日本で会社設立をするときも、この原則は変わりません。

  1. 自分の会社の設立登記を自分で出す本人申請は、外国人にも認められている
  2. 司法書士でない第三者が他人の登記を代わりに作成・代理することは、司法書士法で禁じられている
  3. 外国人の本人申請では、署名証明書・日本語訳・払込みの口座・氏名の表記の4点に時間がかかりやすい
  4. オンライン申請なら会社の印鑑の届出は任意。ただし電子証明書の準備が要る
  5. 法務局の登記手続案内(予約制)で、申請前に書き方を確かめられる
  6. 役員が海外在住、外国法人が出資、資本金を海外から送るといった場合は、司法書士への依頼を考える

どちらの道を選んでも、在留資格「経営・管理」を取るつもりがあるなら、資本金の額や事業所の条件は在留資格の基準から逆算して決める必要があります。登記が通っても在留資格の審査は別に行われることを、会社設立の最初の段階で覚えておいてください。

このセクションの根拠:法務省「商業・法人登記」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06.html)

自分で出すか迷っている方へ

日本に住んでいて印鑑証明書が取れ、資本金も日本の口座で払い込めるなら、まずは法務局の様式で申請書の下書きを作ってみてください。書けない欄がいくつ出るかで、本人申請でいくか司法書士に頼むかの答えはおのずと見えてきます。

役員の誰かが海外に住んでいる、本国の会社が出資する、といった事情があるなら、本人申請にこだわらず司法書士の見積もりを取って比べてみるのが近道です。報酬と、自分で調べる時間の両方を並べて判断してください。

外国人の会社設立を手伝う立場の方は、親切のつもりで申請書を代わりに書いてしまわないよう気をつけてください。本人が書くのを支えるか、司法書士につなぐか。その二つのどちらかに徹することが、結果として相手を守ります。

この記事は役に立ちましたか?

押した数は同じ端末では二重に数えません。内容の誤りや制度変更に気づいた方は、お問い合わせページからご連絡ください。

LINKS

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

掲載順は優劣ではありません。外国人が日本で会社設立を検討するときに同じ語で検索して出てきたページを、確認できた順に並べています。内容は各サイトの運営者によるもので、最新かどうかは各自でご確認ください。