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外国銀行の日本支店で口座開設はできるか|外国人の会社設立で資本金の払込みに使える銀行口座の範囲

外国銀行の日本支店で口座開設はできるか|外国人の会社設立で資本金の払込みに使える銀行口座の範囲

この記事の想定読者

本国で取引している銀行の日本支店があるから、そこで口座をつくって資本金を払い込みたい。あるいは、本国にある日本の銀行の支店の口座をそのまま使いたい。そう考えている外国人の経営者の方と、その会社設立を担当する司法書士・行政書士事務所、親会社の財務担当の方に向けたページです。

関連キーワードの「外国銀行 日本支店 口座開設」には、口座を開けるかという疑問と、その口座が会社設立の払込みに使えるかという疑問が重なっています。前者は銀行ごとの判断、後者は法務省が示している決まりで、答えの出どころが違います。ここでは2つを分けて見ていきます。

内容は2026年10月時点で法務省・金融庁・財務省・日本銀行が公開している資料にもとづきます。外国銀行の支店が扱う業務は支店ごとに違うため、具体的な取引は各支店に問い合わせてください。

「払込取扱機関」とは:資本金を払い込める銀行口座には決まりがある

会社設立の払込みに使える金融機関の決まり
会社設立の払込みに使える金融機関の決まり

株式会社の会社設立では、発起人が引き受けた株式の代金を払い込みます。会社法34条2項は、この払込みを、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所で行わなければならないと定めています。ここでいう銀行等には、銀行と信託会社のほか、信用金庫など法務省令で定める金融機関が含まれます。こうした金融機関を、登記の実務では払込取扱機関と呼びます。

外国人の会社設立で問題になるのは、本国の銀行や外国の銀行がこの範囲に入るかどうかです。払込取扱機関に当たらない銀行の口座に払い込むと、その通帳の写しでは払込みがあったことを示す書面として扱われません。払い込んでから気づくと、やり直しの時間と送金の手数料がかかり、会社設立の日程そのものが後ろにずれます。

  • 払込みをする人発起人。設立時取締役の口座を使うときは委任状を付ける
  • 払い込む場所払込取扱機関にある口座
  • 登記に添付するもの払込みがあったことを証する書面(払込証明書と通帳の写しなど)

つまり、外国銀行の日本支店で口座開設ができるかどうかを調べる前に、その口座が払込取扱機関の口座に当たるかを確かめるのが順番です。次の章から、法務省の示している区分を見ていきます。

このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)

02外国銀行の日本支店は払込取扱機関に当たる:法務省が示す4つの区分

払込取扱機関に当たる銀行と当たらない銀行
払込取扱機関に当たる銀行と当たらない銀行

法務省の「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」では、払込取扱機関は内国銀行の日本国内の本支店だけでなく、外国銀行の日本国内の支店(内閣総理大臣の認可を受けて設置されたもの)も含むと説明しています。あわせて、内国銀行の海外支店も含まれるとし、外国銀行の海外の本支店は含まれないと整理しています。

払込取扱機関に当たるかどうか(法務省の案内による。2026年10月時点)
払込取扱機関に当たるかどうか(法務省の案内による。2026年10月時点)

法務省は例として、ニューヨーク銀行の東京支店は当たり、ニューヨーク銀行のボストン支店は当たらない、という形で示しています。同じ銀行でも、日本にある支店かどうかで扱いが変わるということです。

外国銀行の日本支店が払込取扱機関に当たるとしても、そこに個人口座や法人口座を開けるかは別の問題です。日本で会社設立をする外国人が本国の銀行の日本支店を頼りにするなら、口座を開いてもらえるか、どの通貨の預金を扱うか、通帳か取引明細を出してもらえるかを、先に問い合わせておく必要があります。

このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)

外国銀行の日本支店で口座開設をする前に:金融庁の一覧で支店を確かめる

日本にある外国銀行の支店の調べ方
日本にある外国銀行の支店の調べ方

日本にある外国銀行の支店がどこかは、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」で確かめられます。このページの銀行の一覧(PDFとExcel)には「銀行免許一覧(外国銀行支店)」という表があり、2026年5月13日現在の版には57行が載っています。表には本店の所在国、銀行名、法人番号、在日支店(在日代表店)の所在地と代表電話が並んでいます。

  1. 一覧を開く金融庁の事業者一覧のページから、銀行の一覧を開き、外国銀行支店の表を探します。
  2. 本店の所在国で探す本国の銀行が載っているかを、本店所在地の欄で確かめます。
  3. 代表電話に問い合わせる個人や新設会社の口座を扱うか、払込みの証明に使える書類を出せるかを聞きます。

一覧に載っていない銀行の「東京事務所」などは、日本で銀行業の免許を受けた支店ではない可能性があります。その場合、払込取扱機関として扱われる支店には当たりません。名刺や看板の名称だけで判断せず、一覧で確認してください。

問い合わせの際は、会社設立の資本金の払込みに使いたいこと、払込みのあとに登記で使う通帳の写しか取引明細が必要なことを最初に伝えると、話が早く進みます。

このセクションの根拠:金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」(https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html)

日本の銀行の海外支店は使えるが、現地法人は使えない

内国銀行の海外支店と現地法人の違い
内国銀行の海外支店と現地法人の違い

本国に住む外国人にとって身近なのは、本国にある日本の銀行の店舗かもしれません。内国銀行の海外支店が払込取扱機関に含まれることは、2016年12月20日の法務省の通達(民商第179号)で示されました。RSM汐留パートナーズ司法書士法人の解説でも、邦銀の海外支店の口座の通帳の写しや取引明細を、払込証明として使って差し支えないとされています。

注意が要るのは、同じ日本の銀行のグループでも、その国の法律で設立された現地法人は内国銀行の海外支店ではない、という点です。法務省は、現地法人は払込取扱機関に含まれないと明記しています。看板には日本の銀行の名前が出ていても、法律上は別の会社ということがあります。

本国にある日本の銀行の店舗を使うときの確認(法務省の案内による)
確かめること 内容
その店舗は支店か現地法人か 支店なら払込取扱機関に当たる。現地法人は当たらない
どうやって確かめるか 銀行の登記事項証明書などで確認できるとされている
口座の名義人 発起人の口座が原則。設立時取締役や第三者の口座は条件と委任状が必要
証明に使う書類 通帳の写し、または取引明細などその銀行が作成した書面

海外支店の口座は、日本に口座のない外国人が会社設立の払込みを済ませる方法として役立つことがあります。ただし、その口座を開けるかどうか、日本の登記に使える取引明細を出してもらえるかは、その支店しだいです。払い込む前に、明細に必要な項目が載るかを確かめておきましょう。

このセクションの根拠:RSM汐留パートナーズ司法書士法人「設立時、払込証明書として邦銀の海外支店の口座を利用できるか」(https://shiodome.co.jp/js/blog/2394)

SECTION 05外貨で払い込んだときの払込証明書:為替相場と円換算額を書く

外貨預金で払い込んだときの払込証明書
外貨預金で払い込んだときの払込証明書

外国銀行の日本支店や日本の銀行の海外支店では、円ではなく外貨の口座に払い込むことがあります。法務省の案内では、外貨預金で金額を書く場合、設立時代表取締役が作る払込証明書に、払込みがあった日の為替相場と、払い込まれた金額をその相場で円に換算した額をあわせて書く必要があるとされています。

払込みがあったことを証する書面に載っている必要があること(法務省の案内による。2026年10月時点)
払込みがあったことを証する書面に載っている必要があること(法務省の案内による。2026年10月時点)

通帳の写しや取引明細には、金融機関の名称を支店名まで、払込みの履歴、口座の名義人がすべて載っている必要があります。同じページに載っていなければ、複数ページにまたがってもかまわないとされています。海外の支店の明細は様式が日本と違うことが多いので、どのページに何が載っているかを付箋などで示しておくと、法務局での確認が早く進みます。

外国語の明細を添付する場合は、日本語の訳文も必要になります。為替相場の出典も含めて、登記を担当する司法書士と事前に書き方をそろえておくと安心です。申請書と払込証明書のひな形は法務局の申請書様式のページで公開されています。

このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)

本国の銀行から日本の口座へ送金するとき:3,000万円を超えると外為法の報告

資本金を海外から送金するときの支払等報告
資本金を海外から送金するときの支払等報告

外国銀行の海外の本支店、つまり本国の銀行の口座は払込取扱機関に当たりません。本国の口座にある資金を使うなら、いったん日本の払込取扱機関の口座へ送金することになります。ここで関係してくるのが、外為法55条の「支払又は支払の受領に関する報告書」です。

日本銀行国際局のQ&A(2026年9月)では、報告が必要になるのは、日本から外国へ向けた支払や外国から日本へ向けた支払の受領などで、1回あたりの実行額が3千万円相当額以下なら報告は不要とされています。3千万円ちょうどの場合は不要と答えています。また、国境を越える資金のやり取りであれば、相手方の居住性は問わないとされています。自分の本国の口座から自分の日本の口座へ送る場合でも、金額によっては対象になるということです。

海外から1回で受け取る金額と報告の要否(日本銀行「支払又は支払の受領に関する報告書」Q&A・2026年9月による)
海外から1回で受け取る金額と報告の要否(日本銀行「支払又は支払の受領に関する報告書」Q&A・2026年9月による)

2025年10月16日施行の改正で、経営・管理の在留資格には3,000万円以上の資本金等が求められるようになりました。日本で会社設立をする外国人が本国から一度に資本金を送ると、この報告の境目を超えることが多くなります。報告書には銀行を経由して出すものと経由しないものがあり、様式は日本銀行の外為法の手続きのページで確認できます。出資そのものについての対内直接投資の届出・報告は、これとは別の手続きです。

このセクションの根拠:日本銀行国際局「外為法の報告書についてよく寄せられる質問と回答:「支払又は支払の受領に関する報告書」関係(2026年9月)」(https://www.boj.or.jp/about/services/tame/faq/data/faqetc1.pdf)

外為法から見た外国銀行の日本支店:支店の場所で居住者か非居住者かが決まる

外為法上の支店の居住性
外為法上の支店の居住性

外国銀行の日本支店を使う場合、もうひとつ知っておくと混乱しないことがあります。財務省の通達「外国為替法令の解釈及び運用について」は、法人の支店の居住性を、その支店がどこにあるかで決めています。外国の法人の日本にある支店は居住者、日本の法人の外国にある支店は非居住者として扱われます。

払込取扱機関かどうかと、外為法上の居住性(法務省の案内・財務省通達による)
銀行の店舗 払込取扱機関 外為法上の扱い
日本の銀行の国内支店 当たる 居住者
日本の銀行の海外支店 当たる 非居住者
外国銀行の日本国内の支店 当たる 居住者
外国銀行の海外の本支店 当たらない 非居住者

たとえば本国から外国銀行の日本支店へ資金を送るのは、同じ銀行のなかの移動に見えても、外為法の上では外国から日本へのお金の受取りです。反対に、本国にある日本の銀行の海外支店に払い込んだ資金は、会社設立の払込みには使えても、その時点ではまだ日本に入っていません。設立後に会社の口座へ移すときに、改めて送金の手続きがあります。

会社法の払込取扱機関と外為法の居住性は、目的の違う2つの物差しです。外国人の会社設立では両方が同時に出てくるので、払込先を決めるときに、表のどの行に当たるかを1度確かめておくと、あとから必要な報告や手続きを見落としにくくなります。

このセクションの根拠:財務省「外国為替法令の解釈及び運用について(昭和55年11月29日付蔵国第4672号)」(https://www.mof.go.jp/about_mof/act/kokuji_tsuutatsu/tsuutatsu/TU-20230601-4672.pdf)

08まとめ:外国銀行の日本支店を会社設立に使うなら、払込みと口座開設を分けて確かめる

外国銀行と会社設立の払込みのまとめ
外国銀行と会社設立の払込みのまとめ

外国銀行の日本支店は、法務省の整理では払込取扱機関に当たり、資本金の払込先として使えます。一方で、その支店で個人口座や法人口座を開けるかは銀行の判断で、外国人の会社設立だから特別に開きやすくなるわけではありません。

  1. 払込先の店舗が、法務省の4つの区分のどれに当たるかを確かめる
  2. 外国銀行の日本支店なら、金融庁の一覧に載っているかを見る
  3. 日本の銀行の海外店舗なら、支店か現地法人かを確かめる
  4. 外貨で払い込むなら、為替相場と円換算額を払込証明書に書く
  5. 本国から3,000万円を超えて送るなら、支払等報告を予定に入れる
  6. 設立後の法人口座は別に審査があると考え、準備を進める

法人口座の開設については、JETROが一般的な必要書類と審査の考え方をまとめています。会社設立の払込みと、その後の法人口座の両方を見通して、どの銀行と付き合うかを決めてください。

このセクションの根拠:JETRO「日本での拠点設立方法 参考情報(法人口座開設)」(https://www.jetro.go.jp/invest/setting_up/section1/reference.html)

本国の銀行を頼りにしている方へ

長く付き合ってきた本国の銀行があると、日本での会社設立でも同じ銀行を使いたくなるのは自然なことです。日本に支店があれば払込みには使える可能性があり、海外の本支店のままでは使えない。この線引きを知っておくだけで、送金のやり直しを避けられます。

外国人として日本で会社設立を進める方は、払込先を決める前に、銀行の店舗がどこにあり、どの法律の上でどう扱われるかを一度書き出してみてください。

手続きを担当する方は、払込みの予定日と金額、送金元の口座の国を早めに聞いておくと、払込証明書の書き方と外為法の報告の要否を同時に判断できます。

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