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会社設立における発起人とは|外国人が知っておく役割・責任・人数と、発起人が法人の場合の考え方

会社設立における発起人とは|外国人が知っておく役割・責任・人数と、発起人が法人の場合の考え方

この記事が役に立つのは、こんな場面です

日本で株式会社を立ち上げようとしている外国人の方が、書類の中に何度も出てくる「発起人」という言葉の意味をつかみたいとき。あるいは、外国人の友人や取引先から「発起人になってほしい」と頼まれた日本側の方が、引き受けると何をすることになるのかを知りたいとき。そうした場面を思い浮かべて書きました。

発起人は、外国人の会社設立でも日本人の会社設立でも同じ会社法のルールで動きます。違いが出るのは、本人確認の書類や署名の方法など、手続きの周りの部分です。この記事では、まず発起人そのものを理解し、そのうえで外国人や法人が発起人になる場合の考え方に触れます。

内容は2026年10月時点の会社法、法務局・日本公証人連合会の案内にもとづいています。具体的な書類は、定款認証を受ける公証役場や登記を申請する法務局に確認してください。

会社設立における発起人とは:株式会社にだけ置かれる「生みの親」

会社設立における発起人の定義と、合同会社との違い
会社設立における発起人の定義と、合同会社との違い

関連する質問に出てくる「会社設立における発起人とは?」に短く答えると、株式会社をつくるために定款を作成し、それに署名か記名押印をして、設立のときに発行する株式を1株以上引き受ける人です。会社法の第26条は、株式会社を設立するには発起人が定款を作成し、その全員が署名または記名押印しなければならないと定め、第25条第2項は、各発起人は設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないとしています。

つまり、会社設立の計画にどれだけ深く関わっていても、定款に名前を連ねていなければ会社法上の発起人ではありません。反対に、名前を連ねた人は、出資の額が小さくても発起人としての義務と責任を負います。外国人がひとりで日本で会社設立をするなら、その人が唯一の発起人です。

株式会社と合同会社で、会社をつくる人の呼び方と手続きの違い(会社法・法務省の案内による)
比べる点 株式会社 合同会社
定款をつくる人 発起人 社員になろうとする者
公証人の定款認証 必要 不要
設立後の立場 株主として残る 社員として会社の構成員になる
登記を申請する人 設立時代表取締役 会社を代表すべき者

法務省の合同会社の案内では、合同会社は社員になろうとする者が定款を作り、公証人の認証は不要とされています。発起人という言葉が出てくるのは株式会社だけで、合同会社で会社設立をする外国人には発起人の手続きはありません。

このセクションの根拠:法務省「合同会社の設立手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00141.html)

発起人が会社設立で決めること:定款から設立時代表取締役の選定まで

発起設立で発起人が決めることと、登記に添付する書類
発起設立で発起人が決めることと、登記に添付する書類

発起人の仕事は定款に署名して終わりではありません。法務局が公開している「取締役会を設置しない株式会社の発起設立」の記載例をたどると、会社設立の途中で発起人がいくつもの決定をし、その記録が登記の添付書類になっていることが分かります。

  1. 定款を作り、認証を受ける目的・商号・本店・資本金などを決めて全員で署名か記名押印をし、公証役場で認証を受けます。
  2. 株式に関する事項に全員で同意する定款に書いていなければ、各発起人が引き受ける株式の数、払い込む金額、資本金と資本準備金の額を発起人全員の同意で決めます(会社法第32条)。
  3. 出資を払い込む引き受けた株式の分のお金を、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所に払い込みます(第34条)。
  4. 設立時取締役を選び、本店の所在場所を決める出資が終わったら遅滞なく設立時取締役を選任します(第38条)。定款に最小行政区画までしか書いていなければ、発起人の過半数で番地までの所在場所を決めます。
  5. 設立時代表取締役を選ぶ取締役会を置かない会社の記載例では、発起人の決議で設立時代表取締役を選定した書面を作ります。
発起人の決定が記録される主な添付書類(法務局の記載例「取締役会を設置しない株式会社の発起設立」による)
発起人の決定が記録される主な添付書類(法務局の記載例「取締役会を設置しない株式会社の発起設立」による)

登記の申請そのものは、発起人ではなく設立時代表取締役が会社を代表して行います。外国人が発起人で、日本にいる別の人が代表取締役になる会社設立では、どの書類を誰が作り、誰が署名するのかを最初に一覧にしておくと、本国と日本の間の書類の往復が減ります。

このセクションの根拠:法務局「株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない株式会社の発起設立)記載例」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001331002.pdf)

SECTION 03発起人の責任:出資の不足・任務を怠ったとき・会社が成立しなかったとき

会社設立の発起人が負う主な責任(会社法第52条〜第56条)
会社設立の発起人が負う主な責任(会社法第52条〜第56条)

発起人を引き受けるかどうかを考えるとき、いちばん確かめておきたいのが責任の範囲です。会社法は、設立に関する発起人の責任を次のように定めています。

会社設立に関する発起人の主な責任(e-Gov法令検索の会社法による)
場面 条文 内容
現物出資の財産の価額が定款の額に著しく足りない 第52条 発起人と設立時取締役が、会社に対し連帯して不足額を支払う(検査役の調査を経た場合などは除く)
設立について任務を怠った 第53条第1項 会社に生じた損害を賠償する
職務に悪意または重大な過失があった 第53条第2項 第三者に生じた損害を賠償する
会社が成立しなかった 第56条 発起人が連帯して設立に関した行為の責任を負い、支出した費用を負担する

外国人の会社設立で現物出資を使う場面は多くありませんが、本国から持ち込む機械や車両を出資に充てる計画なら、第52条の責任が関わります。お金で出資する場合でも、払い込んだように見せかけて実際には払い込まない、いわゆる仮装の払込みには、別に責任の定めがあります。

見落とされがちなのが第56条です。登記まで進まずに会社設立をやめた場合、それまでにかかった定款認証の手数料や専門家への報酬などは、発起人が負担することになります。発起人が複数いる会社設立では、途中でやめたときの費用の分け方を、始める前に話し合っておくと揉めにくくなります。

このセクションの根拠:e-Gov法令検索「会社法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)

発起人と株主・取締役の違い:会社設立の前と後で役割が入れ替わる

発起人・株主・取締役の関係と、外国人の会社設立での組み合わせ
発起人・株主・取締役の関係と、外国人の会社設立での組み合わせ

発起人と株主と取締役は、同じ人が兼ねることが多いため混同されがちです。銀行の解説ページでも、株主は会社に出資した人全体、発起人は出資したうえで設立の手続きも行う人、取締役は設立後の経営を担う人で、発起人が取締役を兼ねることもあると整理されています。

発起人と取締役の主な違い(会社法・金融機関の解説をもとに作成)
発起人と取締役の主な違い(会社法・金融機関の解説をもとに作成)

会社が成立すると、発起人という肩書きは役目を終え、発起人だった人は株主になります。設立後に株主として持つ議決権の割合は、発起人として引き受けた株式の数で決まります。会社設立の時点で誰が何株を引き受けるかは、そのまま会社の持ち主の割合になるということです。

外国人の会社設立でよく見られる組み合わせは三つあります。外国人ひとりが発起人と代表取締役を兼ねる形、本国の会社が発起人になり日本で経営する個人が取締役になる形、外国人と日本側の共同経営者がそれぞれ発起人になる形です。経営・管理の在留資格を取るのは日本で経営に当たる個人なので、発起人の顔ぶれと取締役の顔ぶれは分けて決めます。

このセクションの根拠:ドコモSMTBネット銀行「会社設立時の発起人は、何をする人?役割、責任などを解説」(https://www.netbk.co.jp/contents/hojin/tips/2021/1206_001914.html)

外国人や法人は発起人になれるか:発起人が法人の場合はどうなりますか

外国人・海外在住者・法人が会社設立の発起人になるとき
外国人・海外在住者・法人が会社設立の発起人になるとき

日本公証人連合会の案内では、外国人も外国会社も発起人になれるとされています。日本に住所がない外国人でも構いません。日本で法律行為をする能力があるかどうかは日本の法律で判断する、とも説明されています。

違いが出るのは、定款認証のときに本人を確かめる書類です。公証人の前で署名する場合、印鑑登録をしている外国人は印鑑登録証明書、そうでなければ在留カード、運転免許証、パスポート、駐日領事による署名証明書などが本人確認の資料として挙げられています。代理人に任せるなら、委任状とその成立を示す書類が加わり、印鑑登録の制度がない国の人は署名による委任状に公証人か領事の認証を受けるなどの方法をとります。

発起人が法人の場合

関連する質問の「発起人が法人の場合はどうなりますか?」については、法人そのものが発起人になり、定款への署名はその法人の代表者が法人を代表して行います。日本に商業登記がある法人は日本の法人と同じ扱いで、登記のない外国会社は本店所在国の官公署か公証人の証明書で会社の存在を示し、代表者の署名証明書などを添えます。

このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q5. 外国人や外国会社は、発起人になることができますか。」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow09_4/9_4_q05)

06発起人の人数と会社設立の費用:1人でもよく、定款認証の手数料に影響する

発起人の人数と、定款認証の手数料の関係
発起人の人数と、定款認証の手数料の関係

発起人は1人いれば足り、ひとりで会社設立をしても問題ありません。人数が増えると、定款への署名、株式に関する同意書、選任の決議書など、全員の署名や記名押印が要る書類がそのぶん増えます。海外に住む外国人の発起人が混ざると、書類を国際郵便でやり取りする時間も見込む必要があります。

人数は、定款認証の手数料にも関わります。日本公証人連合会の案内では、株式会社の定款認証の手数料は資本金の額等によって3万円・4万円・5万円の3段階です。資本金の額等が100万円未満で、発起人の全員が自然人かつ3人以下、発起設立、取締役会を置かない、のすべてに当たるときは1万5,000円になります。

定款認証の手数料が1万5,000円になる条件(日本公証人連合会の案内による。2026年10月時点)
定款認証の手数料が1万5,000円になる条件(日本公証人連合会の案内による。2026年10月時点)

在留資格「経営・管理」を目指す外国人の会社設立では、改正後の基準で資本金等3,000万円以上が求められるため、手数料は5万円の区分になるのが普通です。特例を使えるのは、永住者など活動に制限のない外国人が小さな資本金で会社設立をする場合などに限られます。

このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)

発起人についてよくある質問

よくある質問。判断の材料としてお読みください
よくある質問。判断の材料としてお読みください

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。

発起人は日本に住んでいなければなりませんか。

住んでいなくても発起人になれます。法務省は、代表取締役の全員が日本に住所を持たない株式会社でも設立登記を受理する扱いを示しています。海外に住む外国人の発起人は、印鑑証明書の代わりに署名証明書などで本人を示すことになります。

発起人を途中で変えることはできますか。

会社法第30条第2項は、公証人の認証を受けた定款は、会社の成立前には一部の場合を除いて変更できないと定めています。発起人の顔ぶれは、定款の作成に入る前に固めておくのが安全です。やむを得ず変える場合の進め方は、公証役場に確認してください。

発起人になると、会社設立の後も何か義務がありますか。

会社が成立すると発起人は株主になります。発起人として設立について任務を怠っていた場合などの責任は、成立後も問われることがあります。経営に関わる義務は、取締役を兼ねている場合に取締役として負うものです。

この項目の根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)

まとめ:発起人とは、会社設立の決定に名前と責任を残す人

会社設立の発起人を決める前の確認
会社設立の発起人を決める前の確認

発起人は、株式会社の定款を作って署名し、1株以上を引き受け、設立時取締役の選任などの決定をする人です。会社が成立すると株主になり、設立について任務を怠ったときや会社が成立しなかったときの責任も会社法で定められています。合同会社には発起人はいません。

  1. 株式会社か合同会社かを決める(発起人が出てくるのは株式会社だけ)
  2. 誰が発起人になり、それぞれ何株を引き受けるかを決める
  3. 発起人と取締役を同じ人にするか、分けるかを決める
  4. 外国人や法人の発起人の本人確認書類を、公証役場に確かめる
  5. 途中でやめた場合の費用の負担を、発起人どうしで話し合っておく

日本で会社設立をする外国人にとって、発起人を決めることは会社の持ち主と書類の流れを決めることでもあります。迷ったときは、定款認証を予定する公証役場と、司法書士などの専門家に早めに相談してください。

このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow09_4/9_4_q03)

発起人を引き受けるか迷っている方へ

発起人は、会社設立という一度きりの場面で、会社の最初の形を決める役割です。外国人の方がひとりで務めることも、信頼できる仲間と分け合うこともできます。

どちらの形を選ぶにしても、定款に名前を書く前に、引き受ける株式の数、取締役を誰にするか、うまくいかなかったときの費用の分け方を、言葉にして確かめ合ってください。それだけで、日本での会社設立の進み方が落ち着いたものになります。

書類や本人確認で迷うところは、公証役場や専門家にその点だけ確かめれば十分です。

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