外国人の会社設立で使える補助金と助成金|返済不要のお金の見分け方と、起業の前後に申し込める制度

「助成金」という言葉で調べてきた方へ
日本で会社設立をしようとしている外国人の方、または設立したばかりの会社の経営者で、「外国人でも助成金はもらえるのか」「補助金と助成金はどちらを探せばいいのか」と迷っている方に向けて書きました。外国人の起業を手伝う行政書士・税理士事務所の担当者や、知人の会社設立を支える日本側の協力者にも役立つように、制度の名前より仕組みの説明に紙幅を使っています。
カテゴリーのページでは、東京都の1,500万円の融資や雇用の助成金まで含めて全体の地図を示しました。この記事はその中の「補助金と助成金の違い」を掘り下げ、会社設立の前後で実際に申し込める制度を、募集要項の読み方とあわせて紹介します。
金額・期限は2026年10月時点で各機関の公式ページから確かめたものです。補助金も助成金も年度や公募回ごとに条件が変わるので、申し込む前に必ず最新の公募要領を開いてください。
SECTION 01補助金と助成金はどう違うのか:審査で選ばれるお金と、要件で受け取るお金

「会社設立 外国人 補助金」のサジェストに「助成金」が並ぶのは、二つの言葉が同じ意味で使われがちだからです。中小企業基盤整備機構のJ-Net21のQ&Aでは、どちらも国や地方公共団体から支給されるお金で、公的資金が財源のため誰でも受け取れるわけではない、と共通点を示したうえで、性格の違いを説明しています。

たとえば30社が申請して採択予定が10社なら、20社は不採択になる、というのがJ-Net21の例えです。補助金は競争、助成金は条件、と覚えると整理しやすくなります。ただし同じQ&Aは、二つの言葉が明確に区別されているわけではなく、「助成金」という名前でも補助金に近い性格のものがあるとも書いています。東京都の「創業助成事業」も、名前は助成でも審査で選ばれる制度です。
このセクションの根拠:中小企業基盤整備機構「J-Net21 よくある質問「補助金と助成金の違い」」(https://j-net21.smrj.go.jp/qa/financial/Q1339.html)
外国人が起業する場合に利用できる助成金はあるか:「外国人向け」ではなく「誰でも」の制度を探す

関連する質問の「外国人が起業する場合に利用できる助成金はありますか?」に一言で答えるなら、外国人だけを対象にした返済不要の制度は2026年10月時点でほとんど見当たらない一方、起業する人全体に開かれた制度の多くは国籍を条件にしていない、となります。探す向きを「外国人向け」から「創業者向け」に変えると、候補は一気に増えます。
その代わりに募集要項がよく見ているのは、どこに住み、どこに本店を置き、いつ創業したかです。小規模事業者持続化補助金の創業型は、補助対象者を日本国内に居住する個人か日本国内に本店を有する法人としています。東京都の創業助成事業は、法人なら都内に本店の登記があることを求めています。海外に住んだまま日本で会社設立をした外国人の場合、個人としては対象外でも、日本に本店を置いた会社として申し込める制度があるということです。
- 住所・本店日本国内(または都内・市内)に居住、本店の登記がある
- 創業の時期創業後1年以内、創業後5年未満など
- 会社の規模常時使用する従業員の数で小規模事業者かどうかを判定
- 在留資格書かれていない制度が多い。書かれている制度は、その条件に従う
外国人の起業にじかに触れている数少ない例は、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金です。外国人起業活動促進事業の特定外国人起業家で新たに事業を始める方は特別利率Aの対象とされています。ただしこれは融資で、借りたお金は返します。助成金と混ぜて考えないようにしてください。
東京都の1,500万円の融資について:「外国人起業家の資金調達支援事業」は返済不要の補助金か|会社設立に使えた東京都の1500万円
このセクションの根拠:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html)
会社設立の前後に検討できる補助金:小規模事業者持続化補助金<創業型>

日本で会社設立をした直後に申し込める国の補助金として、小規模事業者持続化補助金の創業型があります。事務局の公募要領(第4回)によると、創業後1年以内の小規模事業者を重点的に支援する制度で、産業競争力強化法に基づく認定市区町村などが実施した「特定創業支援等事業」による支援を受けていることが前提です。

対象経費は、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費です。小規模事業者かどうかは、商業・サービス業なら常時使用する従業員5人以下、製造業その他なら20人以下で判断され、会社役員は人数に含みません。外国人が1人で会社設立をした段階なら、多くの場合この範囲に収まります。
外国人の経営者が気をつけたいのは、特定創業支援等事業の支援を「いつ、どこで」受けたかです。公募要領では、支援を受けた地域以外で創業した場合も対象になるとしつつ、法人の場合はその代表者本人が支援を受けている必要があるとしています。区や市の創業セミナーを会社設立の前に受けておくと、登録免許税の軽減とあわせて、この補助金の入口にも立てます。
東京都の区の証明書と創業助成事業:東京都で外国人が起業するときの補助金|創業助成事業・区の証明書・相談窓口を会社設立の順に確かめる
このセクションの根拠:小規模事業者持続化補助金事務局「小規模事業者持続化補助金<創業型>」(https://r6.jizokukahojokin.info/sogyo/)
04補助金・助成金を受け取るまでの流れ:後払いと、交付決定前の支出

外国人の会社設立で資金計画が崩れやすいのは、補助金を「先にもらえるお金」と思い込んだときです。J-Net21の起業マニュアルは、補助金・助成金は原則として後払いで、金融機関からつなぎの資金を借りて対応することも多い、と説明しています。全額が給付される制度は少なく、自己負担が5割や3分の2になる制度が大半だとも書かれています。

J-Net21のQ&Aの例では、事業総額300万円で補助率3分の1の補助金なら、まず自己資金で300万円を払う必要があります。持続化補助金の創業型も、交付決定前に発注・契約・支払いをしたものは対象外で、事業が終わったら実績報告書と経理書類を出し、確認を受けてから補助金が支払われます。第4回の補助事業実施期間は交付決定日から2028年3月31日までとされています。
- 受け取った補助金・助成金は、ほとんどの場合課税の対象になる
- 事業期間の外で払った経費は認められない
- 機械の使い道の制限や、利益の一部を納める収益納付がある制度もある
- 補助金を受けた企業は会計検査院の検査を受ける可能性がある
日本で会社設立をしたばかりの時期は、法人口座の開設や在留資格の申請と重なり、支払いの記録も散らばりがちです。補助事業の支払いは会社の口座から行い、見積書・請求書・振込の控えを1か所にまとめておくと、実績報告で困りません。
このセクションの根拠:中小企業基盤整備機構「J-Net21 起業支援「補助金・助成金の活用」」(https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list4/4-3-1.html)
外国人を雇う会社の助成金:雇用関係助成金に共通する要件

サジェストの「助成金」で多く出てくるのは、厚生労働省の雇用関係助成金です。会社設立をした外国人の経営者が人を雇い始めると、これが候補になります。東京労働局は、雇用関係助成金を受給するには各助成金の要件のほかに共通の要件等を満たす必要があると案内し、申請時には「支給要件確認申立書」(共通要領様式第1号)や「支払方法・受取人住所届」を出すとしています。

外国人を雇う会社に向けたものとしては、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)があります。2026年10月1日の改正で支給額は最大25万円になり、雇用労務責任者の選任や就業規則・社内マニュアル等の多言語化などが要件です。金額の根拠や「なぜ出るのか」は、子記事で細かく扱っています。
ここで混同しやすいのが、経営・管理の在留資格で求められる常勤職員1人以上の要件です。入管の要件を満たすために人を雇うことと、助成金の要件を満たすことは別の手続きで、片方を満たしても、もう片方が自動的に満たされるわけではありません。
外国人を雇うと補助金はいくら出るのか:外国人を雇うと補助金はいくら出るのか、なぜ出るのか|会社設立のあとに使える外国人雇用の助成金
このセクションの根拠:東京労働局「雇用関係助成金の共通の要件等」(https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/kakushu_joseikin/_118530.html)
申請の準備:GビズIDプライムと、助成金をうたう勧誘への注意

持続化補助金の創業型も東京都の創業助成事業も、申請は電子申請のJグランツで行い、GビズIDプライムのアカウントが必要です。デジタル庁のGビズIDのページによると、プライムの対象は法人代表者と個人事業主で、申請方法はGビズIDアプリとマイナンバーカードを読み取れるスマートフォンを使うオンライン申請と、書類申請の2種類があります。書類申請の審査期間は最大1か月です。
- 登記の直後会社設立の登記が終わったら、法人代表者としてGビズIDプライムを申請します。
- 申請方法の確認マイナンバーカードを持っている外国人の代表者は、オンライン申請が使えるかを確かめます。
- 作業の分担従業員に入力を任せるなら、プライムのアカウントからGビズIDメンバーを作ります。
- 公募の開始公募要領が出たら、締切の1か月以上前に申請書の作成を始めます。
GビズIDのページには、外国人や海外在住者の取扱いについての記載は見当たりませんでした。代表者が海外に住んでいる会社や、マイナンバーカードを持っていない外国人の代表者は、GビズIDのヘルプデスクに取得の方法を確かめてください。持続化補助金の公募要領は、第三者の支援者にアカウントとパスワードを教えることは利用規約に反するとしています。
このセクションの根拠:デジタル庁「GビズID」(https://gbiz-id.go.jp/top/)
SECTION 07補助金と助成金でよくある質問

外国人の方が日本で会社設立を進めるなかで、補助金と助成金についてよく出てくる質問をまとめました。制度ごとに答えが変わるものは、確かめ先を添えています。
経営・管理の在留資格がないと、補助金には申し込めませんか。
持続化補助金の創業型や東京都の創業助成事業の公式ページには、在留資格についての記載は見当たりませんでした。対象かどうかは住所・本店・創業時期などの条件で決まるので、在留資格の扱いは事務局や公社に直接確かめてください。在留資格の範囲を超える活動にならないかは、行政書士にも相談してください。
会社設立の費用そのものに使える補助金はありますか。
定款認証の手数料や登録免許税を直接まかなう国の補助金は、確認できた範囲では見当たりませんでした。区や市の特定創業支援等事業の証明書を使うと、株式会社や合同会社の登録免許税が軽減される仕組みはあります。
助成金の申請を代行業者に頼んでもよいですか。
雇用関係助成金の申請を有料で代わりに行えるのは社会保険労務士です。厚生労働省は委託先を名乗る勧誘に注意を呼びかけているので、頼む前に相手の資格と所属を確かめてください。
補助金は収入として税金がかかりますか。
J-Net21の起業マニュアルでは、受け取った資金はほとんどの場合課税対象になり、税務上の扱いは制度ごとに異なる場合があるとされています。決算の前に税理士へ確認してください。
この項目の根拠:厚生労働省「雇用関係助成金」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html)
まとめ:助成金と補助金は、会社設立の資金計画の「あと」に置く

外国人が日本で会社設立をするときの補助金と助成金を、言葉の違いから申請の準備まで見てきました。最後に、順番だけをもう一度並べます。
- 補助金は採択の枠がある競争、助成金は要件を満たせば受け取れるものが多い。ただし名前では区別せず、募集要項で確かめる
- 外国人だけを対象にした返済不要の制度はほとんどない。日本国内の住所・本店、創業の時期で対象が決まる制度を探す
- 会社設立の前に区や市の特定創業支援等事業を受けておくと、持続化補助金の創業型の入口に立てる
- 補助金・助成金は後払い。交付決定の前に契約したものは原則として対象外
- 人を雇ったら雇用関係助成金の共通の要件を確認する。経営・管理の常勤職員の要件とは別に考える
- GビズIDプライムは会社設立の直後に取り、身に覚えのない勧誘には応じない
制度と金額は2026年10月時点のものです。会社設立の資金計画は税理士や金融機関に、在留資格に関わる部分は入管手続きに詳しい行政書士に、雇用の助成金は労働局や社会保険労務士に、それぞれ確認しながら進めてください。
このセクションの根拠:中小企業基盤整備機構「J-Net21 起業支援」(https://j-net21.smrj.go.jp/startup/index.html)
これから申し込む制度を選ぶ方へ
補助金と助成金は、知っているかどうかより、締切に間に合う準備ができているかどうかで差がつきます。会社設立の登記が終わった週に、GビズIDの申請と、住んでいる区や市の創業支援の窓口への問い合わせだけでも済ませておいてください。
外国人の方にとっては、日本語の公募要領を最後まで読むのがいちばんの負担かもしれません。全部を訳そうとせず、「対象者」「補助率と上限」「スケジュール」「対象外の経費」の4か所から読むと、日本で使える制度かどうかが短い時間で分かります。
手伝う立場の方は、制度の名前ではなく、募集要項のその4か所を一緒に指でたどってあげてください。外国人の起業家が自分で判断できるようになることが、次の会社設立や次の申請でもいちばん役に立ちます。
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他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
掲載順は優劣ではありません。外国人が日本で会社設立を検討するときに同じ語で検索して出てきたページを、確認できた順に並べています。内容は各サイトの運営者によるもので、最新かどうかは各自でご確認ください。
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j-net21.smrj.go.jp2中小企業基盤整備機構 J-Net21|起業支援「補助金・助成金の活用」
起業マニュアルの一節。自己負担の割合、課税、つなぎ資金、事前申請から報告までの流れが短くまとまっています。
j-net21.smrj.go.jp3小規模事業者持続化補助金事務局|小規模事業者持続化補助金<創業型>
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