経営管理ビザの審査で見られるところ|外国人の会社設立後に不許可になりやすい6つの型

この記事の対象
日本で会社設立を終えて、これから在留資格「経営・管理」を申請する外国人の方と、その準備を支える日本側の担当者に向けた記事です。書類の書き方そのものより、どこを見られているのかを知りたい段階を想定しています。
不許可の理由は個別に通知されますが、外部に統計として細かく公表されているわけではありません。この記事に書くのは、入管庁が公表している審査上の取り扱いと、実務でよく指摘される型です。断定ではなく、確認しておきたい観点としてお読みください。
ここに挙げた点をすべて満たせば必ず許可されるという話ではありません。逆に、ひとつ足りないからといって必ず不許可になるわけでもありません。判断は総合的に行われます。
経営管理ビザの審査で見られている大枠

在留資格「経営・管理」の審査は、大きく2つの軸で見られます。ひとつは、省令に定められた基準を満たしているかという形式面です。もうひとつは、その事業が実際に行われ、続いていくと見込めるかという実態面です。外国人が日本で会社設立をしただけでは、後者の説明が足りません。

会社設立の手続きは、書類がそろえば通ります。一方、在留資格の審査は、その会社が本当に動くのかという判断を含みます。この違いが、日本で会社設立をした外国人がつまずくところです。
審査を受ける側から見ると、この2つの軸は別々のものに見えます。しかし入管の側から見れば、外国人が日本で会社設立をして経営を続けられるかどうかという、ひとつの問いに対する2つの角度です。数字で示せる部分は数字で、示しにくい部分は資料と説明で埋めていく、という考え方で準備すると整理しやすくなります。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/businessmanager.html)
02つまずきの型1:事業所の条件を後から知る

いちばん多いのがこの型です。日本で会社設立を急いで、先に物件を借りてしまう。あとから在留資格の条件を知り、条件に合わずに借り直すことになる、という流れです。金額が動く部分なので、損失も大きくなります。
入管庁の資料では、改正後の規模等に応じた経営活動を行うための事業所を確保する必要があることから、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められないとされています。外国人が住んでいる部屋をそのまま本店にする形は、避けたほうが安全です。
- 契約の名義会社名義であることが基本です。個人名義のままだと説明が必要になります。
- 用途事業用であることが分かる契約にします。居住用のままでは説明が難しくなります。
- 契約期間短期や月単位の契約では、継続性の説明が難しくなることがあります。
- 実際の使用写真や備品の状況で、実際に使われているかが確認されることがあります。
事業の内容によっては、事務所の設備そのものが説明の材料になります。飲食業なら厨房設備、物販なら在庫を置く場所、士業やコンサルティングなら打ち合わせのできる空間。日本で会社設立をした外国人が、その事業を実際に行える場所を確保しているかどうかが見られます。写真を撮っておくと説明が楽になります。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)
つまずきの型2:資金の出どころを説明できない

資本金の額が基準を満たしていても、そのお金がどこから来たのかを説明できないと、審査で確認を受けることがあります。外国人が日本で会社設立をするとき、資本金を本国から送金することが多く、この経路の説明が必要になります。
- 自己資金の場合:預金の推移が分かる資料。長期間かけて貯めたものであれば、その経過が見えるようにします。
- 借入の場合:誰から借りたのか、返済の条件はどうなっているのかが分かる資料。
- 贈与の場合:贈与した人との関係と、その人の資力が分かる資料。税務上の扱いも別に確認が必要です。
- 本国からの送金:送金の記録。中継銀行を経由した場合も、経路が追えるようにします。
資本金3,000万円という基準になったことで、資金の出どころの説明はより重要になりました。日本で会社設立をする外国人にとって、まとまった額を用意すること自体が課題ですが、用意できたあとの説明も同じくらい大切です。
贈与で資金を用意する場合は、税務上の扱いも別に確認してください。日本に住所のある人が贈与を受けた場合、贈与税の対象になることがあります。会社設立の資金として使えたとしても、あとから税の問題が出てくると事業に影響します。税理士に一度確認しておくと安心です。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html)
つまずきの型3:事業計画書の中身が具体的でない

2025年10月16日施行の改正で、在留資格決定時に提出する事業計画書について、経営に関する専門的な知識を有する者の確認が義務づけられました。評価されるのは、その計画に具体性と合理性が認められ、かつ実現可能なものであることです。
確認をする側は、中小企業診断士、公認会計士、税理士のいずれかです。会社設立の準備と並行して、この確認を受けられる状態まで計画を詰めることになります。数字の根拠が薄いままだと、確認の段階で差し戻されます。

事業計画書の分量に決まりはありません。厚ければよいというものでもなく、読んだ人が事業の姿を思い描けるかどうかが大事です。外国人が日本で会社設立をする場合、日本の市場に対する理解が示せているかも見られます。競合をどう見ているか、自分の強みがどこにあるかを、具体的に書いてください。
このセクションの根拠:日本政策金融公庫「新規開業資金」(https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/business-plan/)
SECTION 05つまずきの型4:書類の間で内容がずれる

会社設立の過程で作る書類と、在留資格の申請で出す書類は別々に作られることが多く、内容がずれやすくなります。定款の事業目的と事業計画書に書いた事業が違う、資本金の額の説明が食い違う、事務所の住所が書類によって違う、といったことが起こります。
| 確認する項目 | 照らし合わせる書類 |
|---|---|
| 事業の内容 | 定款の事業目的 と 事業計画書 |
| 資本金の額 | 登記事項証明書 と 事業計画書 と 払込みの証明 |
| 本店・事業所の住所 | 登記事項証明書 と 賃貸借契約書 と 申請書 |
| 役員の氏名と住所 | 登記事項証明書 と 申請書 と 本人確認書類 |
| 雇用の予定 | 事業計画書 と 雇用契約書 と 社会保険の届出 |
日本で会社設立をする外国人の場合、書類の一部が外国語であることもあります。翻訳の過程で表記がずれることもあるため、氏名や社名のローマ字表記は統一しておいてください。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「外国人生活支援ポータルサイト」(https://www.moj.go.jp/isa/support/portal/index.html)
つまずきの型5:活動の実態が説明できない

入管庁の資料には、業務委託を行うなどして経営者としての活動実態が十分に認められない場合は、在留資格「経営・管理」に該当する活動を行うとは認められないものとして取り扱うと書かれています。日本で会社設立をした外国人が、実際の運営を他人に任せている形は、認められにくいということです。
あわせて、在留期間中、正当な理由なく長期間の出国を行っていた場合は、本邦における活動実態がないものとして在留期間更新許可は認められないともされています。本国と行き来しながら経営する場合は、日本での活動の記録を残しておくことが大切です。
日本で会社設立をした外国人が、家族を日本に呼びたいと考えることもあります。家族滞在の在留資格を申請する場面でも、本人の活動の実態と収入の安定が見られます。経営者としての活動を記録に残しておくことは、こうした場面でも役に立ちます。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)
つまずきの型6:会社設立の形と、経営の実態が合っていない

外国人が日本で会社設立をするとき、日本に住む知人に協力してもらう形をとることがあります。資本金の払込みのために口座を借りる、登記のために代表者になってもらう、といったやり方です。手続きとしては進みますが、在留資格の審査では説明が難しくなることがあります。
審査で見られるのは、誰がその会社を経営しているのかという点です。出資したのは誰か、代表者は誰か、実際に事業を動かしているのは誰か。この3つがずれていると、経営者としての活動実態をどう説明するかが問題になります。
- 出資者資本金を出した人です。株主名簿や出資の記録で分かります。
- 代表者登記事項証明書に記載される人です。代表取締役や代表社員です。
- 実際に経営する人日々の判断をしている人です。契約や取引の記録に表れます。
- 申請する人「経営・管理」を申請する外国人本人です。上の3つとの関係を説明します。
日本で会社設立をする外国人が海外に住んでいる場合、資本金の払込みで協力者が必要になることは実際にあります。その場合も、協力の内容と範囲を書面で残し、あとで説明できるようにしておいてください。
このセクションの根拠:さくら国際(司法書士法人・行政書士法人)「非居住外国人のみで会社を設立し、会社名義の銀行口座は開設できますか」(https://www.sakura-kokusai.com/case/866/)
08よくある質問

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。
自宅を事務所にすると必ず不許可になりますか。
入管庁の資料では、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められないとされています。ただし判断は事案ごとに行われるため、必ずという言い方はできません。物件を契約する前に、行政書士へご相談ください。
資本金の出どころは、どこまで説明が必要ですか。
求められる範囲は事案によって異なります。自己資金であれば預金の推移、借入であれば貸主との関係と条件、贈与であれば贈与者の資力など、経路をたどれる資料を用意しておくと説明しやすくなります。
この項目の根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html)
まとめ:形式と実態の両方をそろえる

会社設立から在留資格の申請までの間に確認しておきたいことを、束にまとめました。ひとつずつ潰していくと、指摘を受ける可能性を下げられます。

それぞれの束に、相談できる相手がいます。すべてを1人で抱えるより、束ごとに聞く先を決めておくほうが早く進みます。日本で会社設立をする外国人の場合、最初の相談先をどこにするかで、その後の進み方が変わることもあります。
在留資格「経営・管理」の申請でつまずきやすい型を見てきました。事業所の条件を後から知る、資金の出どころを説明できない、事業計画が具体的でない、書類の間で内容がずれる、活動の実態が説明できない。この5つです。
- 物件を決める前に、事業所の条件を確認する
- 資本金は、額だけでなく出どころをたどれるようにする
- 事業計画は会社設立の前から書き始め、専門家の確認を受けられる状態にする
- 定款・登記・契約書・計画書で、同じ数字と同じ説明を使う
- 日本での活動の記録を、通常の業務の中で残しておく
最後にもうひとつ。外国人が日本で会社設立をするときは、日本語での説明が必要になる場面が多くあります。本人が日本語で説明できない場合、誰が説明するのかを決めておいてください。通訳を頼むのか、日本語のできる常勤職員に同席してもらうのか。この段取りも準備のうちです。
ここに書いた内容は、入管庁の公表資料と一般的な実務の観点にもとづくものです。個別の申請の見通しについては、事案の内容によって判断が変わります。外国人が日本で会社設立をしてこの資格を申請する際は、入管手続きに詳しい行政書士へご相談ください。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html)
読んでくださった方へ
不許可という言葉は重く響きますが、原因の多くは準備の順番にあります。先に契約した、後から条件を知った、書類がそろっていなかった。どれも、事前に確認できていれば避けられたものです。
日本で会社設立をして事業を始めるという計画そのものに問題がないのに、手続きの順番で足を取られるのはもったいないことです。この記事が、その順番を見直すきっかけになればうれしく思います。
気になる項目があれば、そこだけでも早めに専門家へ聞いてみてください。全部をまとめて相談する必要はありません。
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掲載順は優劣ではありません。外国人が日本で会社設立を検討するときに同じ語で検索して出てきたページを、確認できた順に並べています。内容は各サイトの運営者によるもので、最新かどうかは各自でご確認ください。
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