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会社設立 外国人 手順

外国人が日本で会社設立するときの全手順|在留資格の確認から法人口座まで、動かす順番を決める

外国人が日本で会社設立するときの全手順|在留資格の確認から法人口座まで、動かす順番を決める

この記事は、次のような方に向けて書いています

日本で会社設立をしたい外国人本人と、その手続きを横で手伝う日本側の担当者に向けた記事です。日本語は読めるけれど、法務局・公証役場・税務署・入管がそれぞれ何をする場所なのか、どこから手を付ければいいのかが分からない、という段階を想定しています。

外国人の会社設立でつまずくところは、書類の書き方よりも順番であることがほとんどです。先に事務所を借りてしまった、資本金を送ってから在留資格の条件を知った、という相談は珍しくありません。この記事では、動かす順番と、それぞれの期限を先に並べます。

金額と期限は、記事末までに示した公表資料にもとづく2026年8月時点の目安です。制度は変わりますので、各セクションの末尾に置いた一次情報のリンクで、最後は必ずご自身でご確認ください。

手順1:会社の線と在留資格の線を分けて、いまの資格を確認する

在留資格ごとに、会社設立の後にとるべき手続きが変わります
在留資格ごとに、会社設立の後にとるべき手続きが変わります

外国人が日本で会社設立をするとき、多くの人が最初につまずくのがここです。会社をつくることと、日本でその会社を経営してよい立場になることは、別の手続きです。前者は法務局、後者は出入国在留管理庁が扱います。片方が終わっても、もう片方が自動的に進むことはありません。

会社側の手続きの流れ。ここに在留資格の手続きが並走します
会社側の手続きの流れ。ここに在留資格の手続きが並走します

最初にやることは、いま自分が持っている在留資格の確認です。在留カードの表面に書かれている資格の名前と、在留期間の満了日を見てください。外国人が日本で会社設立をするとき、この2つで進め方が変わります。

身分・地位にもとづく在留資格の場合

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者。これらは日本での活動に制限がない在留資格です。会社設立をして自分で経営することも、原則としてそのまま行えます。この場合は、会社の線だけを進めればよいことになります。

就労系や留学の在留資格の場合

技術・人文知識・国際業務、技能、家族滞在、留学などは、認められた活動の範囲が決まっています。会社をつくること自体は否定されませんが、その会社の経営者として日常的に動くには、在留資格を「経営・管理」へ変更する必要が出てきます。変更が認められる前に経営を始めてしまうと、資格外の活動になるおそれがあります。

在留資格ごとの、会社設立後の進め方の目安
いまの在留資格 会社設立 自分で経営する 次にとる手続き
永住者・定住者・日本人の配偶者等 できる できる 会社側の手続きのみ
技術・人文知識・国際業務 できる そのままでは不可 「経営・管理」への在留資格変更を検討
留学 できる そのままでは不可 卒業後の在留資格を先に設計する
家族滞在 できる そのままでは不可 「経営・管理」への在留資格変更を検討
海外在住(在留資格なし) できる 不可 在留資格認定証明書の交付申請から

※ 表は考え方の整理であり、個別の可否は事案ごとに判断されます。実際の申請前に、地方出入国在留管理局または行政書士へご確認ください。

このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-2.html)

SECTION 02手順2:会社の内容を決める(商号・目的・資本金・本店)

最初に決める4項目。あとから変えると費用がかかります
最初に決める4項目。あとから変えると費用がかかります

会社の線の出発点です。ここで決めた内容が定款に載り、そのまま登記されます。あとから変えると、変更登記の登録免許税がかかります。外国人が日本で会社設立をする場合、この段階で在留資格の条件も一緒に見ておくと、二度手間になりません。

  • 商号(会社名)日本語でもアルファベットでも登記できます。同じ住所に同じ商号は登記できません。
  • 事業目的実際に行う事業を書きます。許認可が必要な事業は、目的の書き方で許可に影響することがあります。
  • 資本金の額会社法上は1円でも設立できます。ただし在留資格「経営・管理」を目指す場合は別の基準があります。
  • 本店所在地登記される住所です。在留資格の審査では、事業所として使える場所かどうかが別に見られます。
  • 事業年度決算の締め日です。設立日からの月数で、最初の申告時期が決まります。
  • 役員構成株式会社なら取締役、合同会社なら業務執行社員。誰が代表になるかで必要書類が変わります。

株式会社と合同会社のどちらにするか

日本で会社設立をするとき、多くの外国人が最初に迷う分岐です。設立費用は合同会社のほうが低く抑えられます。一方で、取引先や金融機関からの見え方、将来の資金調達のしやすさでは株式会社が選ばれることが多くあります。在留資格の審査でどちらが有利ということは、公表された基準の中には書かれていません。

株式会社と合同会社の主な違い。設立時の法定費用に差が出ます
株式会社と合同会社の主な違い。設立時の法定費用に差が出ます

このセクションの根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)

手順3:定款をつくり、株式会社なら認証を受ける

定款の作成と認証。株式会社と合同会社で手間が変わります
定款の作成と認証。株式会社と合同会社で手間が変わります

定款は、会社の決まりごとを書いた文書です。商号、事業目的、本店所在地、発起人の氏名と住所、出資額などを記載します。株式会社の場合は、これを公証人に認証してもらう必要があります。合同会社にはこの手続きがありません。

定款認証の手数料

日本公証人連合会が公表している手数料は、資本金の額によって段階が分かれています。資本金の額が100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、それ以外は5万円です。加えて、発起人が全員自然人で3名以下、発起設立、取締役会を置かない、という条件をすべて満たすときは1万5000円になります。

株式会社を電子定款で設立する場合の法定費用の目安(資本金300万円以上の例)
株式会社を電子定款で設立する場合の法定費用の目安(資本金300万円以上の例)

外国人が発起人になるときの署名と押印

日本の定款認証と登記では、発起人や代表者の印鑑証明書が求められます。ところが、印鑑登録の制度がある国は多くありません。日本に住民登録がなく印鑑登録もしていない外国人の場合、記名押印に代えて署名し、その署名が本人のものであることを本国の官憲が証明した書類、いわゆるサイン証明(署名証明)を添えるという扱いが取られます。

このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)

手順4:資本金を払い込み、証明を残す

資本金の払込み。設立登記に添える証明書のもとになります
資本金の払込み。設立登記に添える証明書のもとになります

定款ができたら、資本金を払い込みます。この時点で会社はまだ登記されていないため、会社名義の口座はありません。そこで、発起人個人の口座に払い込み、その記録を残します。通帳の表紙、1ページ目、入金が記載されたページの写しを取り、払込みがあったことを証する書面としてまとめます。

資本金の額をいくらにするか

会社法の上では、資本金1円でも会社設立はできます。ただし、これはあくまで会社をつくれるという話です。日本で事業を続けるうえでは、当面の運転資金として説明できる額があるかどうかを、取引先や金融機関から見られます。さらに、在留資格「経営・管理」を目指す場合には、公表された基準の中に金額が示されています。

資本金を決めるときに考える4つの視点
資本金を決めるときに考える4つの視点

このセクションの根拠:国税庁「No.6531 新規開業や法人の新規設立のとき」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6531.htm)

05手順5:法務局へ設立登記を申請する

設立登記の申請。この日付が会社の誕生日になります
設立登記の申請。この日付が会社の誕生日になります

定款と払込みの証明がそろったら、本店所在地を管轄する法務局へ設立登記を申請します。会社の設立日は、登記が完了した日ではなく、申請した日になります。設立日にこだわりがある場合は、この日を狙って書類を準備します。

  1. 申請書と添付書類をそろえる定款、払込みがあったことを証する書面、就任承諾書、印鑑証明書またはサイン証明などをまとめます。
  2. 登録免許税を納める収入印紙で納付するのが一般的です。株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円です。
  3. 法務局へ提出する窓口、郵送、オンラインのいずれかで提出します。申請した日が設立日になります。
  4. 完了を待つ混み具合によりますが、数日から2週間程度かかることがあります。管轄の法務局で確認してください。
  5. 登記事項証明書と印鑑証明書を取るこのあとの銀行や税務署の手続きで使います。複数枚取っておくと動きやすくなります。

このセクションの根拠:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)

手順6:登記のあとに来る届出と、その期限

設立後の届出。短い期限のものから片づけます
設立後の届出。短い期限のものから片づけます

登記が終わると、期限のある届出がまとめて来ます。外国人が日本で会社設立をした場合も、この部分の扱いは日本人と同じです。期限が短いものから順に片づけてください。

設立後に出す主な届出と期限。日数の起算点が書類ごとに違う点に注意
設立後に出す主な届出と期限。日数の起算点が書類ごとに違う点に注意

このセクションの根拠:国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm)

手順7:法人口座を開き、事業を動かす

法人口座の開設。外国人が代表の会社では説明を求められることが多くなります
法人口座の開設。外国人が代表の会社では説明を求められることが多くなります

登記が終わったら、会社名義の口座を開きます。ここは会社設立の手続きとは別で、金融機関ごとの審査になります。外国人が代表の新しい会社は、事業の実態についての説明を求められることが多くなります。犯罪収益移転防止法にもとづく取引時確認が金融機関に義務づけられているためです。

法人口座の申込みで求められることが多い書類と説明
法人口座の申込みで求められることが多い書類と説明

このセクションの根拠:警察庁「犯罪収益移転防止法の解説(JAFIC)」(https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/hourei/law_com.htm)

SECTION 08よくある質問

よくある質問。判断の材料としてお読みください
よくある質問。判断の材料としてお読みください

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。

外国人でも日本で会社設立できますか。

会社の設立登記そのものは、在留資格の種類による制限が条文上あるわけではなく、日本に住所のない人でも発起人になることはできます。ただし、その会社を自分で経営するには、在留資格「経営・管理」など経営という活動が認められる資格が必要です。

会社設立と在留資格は、どちらを先に進めればよいですか。

事案によります。先に会社をつくってから在留資格を申請する進め方と、事業計画を固めてから在留資格の見通しを立てる進め方があります。2025年10月16日以降は「経営・管理」の基準が変わったため、会社の設計をその基準に合わせるかどうかを先に決めることが多くなっています。

印鑑証明書が取れない場合はどうすればよいですか。

日本に住民登録がなく印鑑登録もしていない場合、記名押印に代えて署名し、その署名が本人のものであることを本国の官憲が証明した書類を添えるという扱いが取られます。求められる書類は公証役場や法務局によって異なることがあるため、事前に問い合わせてください。

この項目の根拠:JETRO「日本での拠点設立方法」(https://www.jetro.go.jp/invest/setting_up/section1/page1.html)

まとめ:順番を決めてから、書類を集める

順番から逆算して書類を集めると、待ち時間が減ります
順番から逆算して書類を集めると、待ち時間が減ります

自分でその会社を経営していくなら、在留資格「経営・管理」が必要になります。この資格の許可基準は、2025年10月16日施行の改正で変わりました。外国人が日本で会社設立をするとき、いまはこの基準を前提に会社の設計をすることになります。

2025年10月16日施行の改正で加わった主な基準
2025年10月16日施行の改正で加わった主な基準

あわせて、経歴の要件も加わりました。経営管理または申請に係る事業の分野に関する博士、修士もしくは専門職の学位を持っているか、事業の経営または管理について3年以上の職歴があることが求められます。また、事業所については、改正後の規模等に応じた経営活動を行うためのものが必要とされ、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められません。

施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの間に在留期間更新許可申請を行う場合については、改正後の許可基準に適合しない場合であっても、経営状況や改正後の許可基準に適合する見込み等を踏まえ、許否判断を行います。出典:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」

つまり、すでに「経営・管理」で日本にいる人には3年間の猶予があります。一方、これから新しく申請する人には、原則として改正後の基準が当てはまります。日本で会社設立を計画している段階の方は、この違いを最初に確認してください。

外国人が日本で会社設立をするときの手順を、もう一度短く並べます。まず在留資格を確認する。次に会社の内容を決める。定款をつくり、株式会社なら認証を受ける。資本金を払い込む。法務局へ登記を申請する。登記後の届出を期限内に出す。法人口座を開く。経営を自分でやるなら「経営・管理」へ進む。この順番です。

  • 在留資格の確認を最初に置く。会社をつくれることと、経営してよいことは別です。
  • 資本金の額は、会社法の下限ではなく、在留資格の基準と事業の実態から決めます。
  • 印鑑証明書が取れない場合は、サイン証明などの代わりになる書類を先に確認します。
  • 設立後の届出は、5日・1か月・2か月・3か月と期限がばらばらです。カレンダーに入れます。
  • 法人口座は別の審査です。事業の実態を説明できる材料を先にそろえます。

この記事に書いた金額と期限は、2026年8月時点で公表されている資料にもとづく目安です。特に在留資格「経営・管理」の基準は2025年に大きく変わったばかりで、運用がこれから固まっていく部分もあります。判断に迷うところは、所管の官庁と、入管手続きなら行政書士、税務なら税理士、登記なら司法書士へご確認ください。

このセクションの根拠:JETRO「日本での拠点設立方法」(https://www.jetro.go.jp/invest/setting_up/section1/page1.html)

読んでくださった方へ

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。外国人が日本で会社設立をするときの手順は、覚えることが多いように見えて、実際に決めるのは「どちらの線を先に動かすか」というひとつの判断です。そこさえ決まれば、必要な書類は自然に決まっていきます。

もし、いまの在留資格でどこまでできるのか、資本金をいくらにすべきかで迷っているなら、その部分だけでも先に確認しておくことをおすすめします。書類を集め始めてから前提が変わると、取り直しに時間がかかります。

このサイトでは、ここで触れた各手順を、カテゴリーごとにもう少し細かく分けて書いています。気になったところから読んでみてください。

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