電子定款とは何か|外国人の会社設立で収入印紙4万円を節約する仕組みと手順

この記事の対象
日本で会社設立をするにあたって、電子定款にするかどうかを考えている外国人の方に向けた記事です。手続きを手伝う日本側の担当者にも読んでいただけます。
電子定款という言葉を初めて聞く方も多いと思います。定款を紙ではなく電子ファイルで作り、電子署名をつけたものです。紙の定款に必要な収入印紙4万円がかからないという利点があります。
自分で作るには環境の準備が必要です。この記事では、仕組みと、依頼する場合の流れを整理します。制度の細かい部分は変わることがあるため、実際の準備の前に依頼先へご確認ください。
なぜ紙だと収入印紙が要るのか

定款を紙で作成すると、印紙税法上の課税文書となり、収入印紙が必要になります。株式会社でも合同会社でも、金額は4万円です。
収入印紙は、郵便局や法務局などで購入し、定款に貼付して消印します。日本で会社設立をする外国人にとって、この4万円は決して小さくない金額です。
一方、電子ファイルで作成した定款は、この課税文書に当たらないとされています。そのため、収入印紙が不要になります。会社設立の費用を抑える方法として、広く使われています。
この差は、株式会社でも合同会社でも同じように生じます。合同会社では定款の認証が不要ですが、定款そのものは作るため、紙にすれば収入印紙が必要になります。
印紙税は、一定の文書を作成したときにかかる税金です。契約書や領収書など、対象になる文書が法律で決まっています。定款もそのひとつとされています。日本で会社設立をする外国人にとって、本国にはない仕組みかもしれません。
収入印紙を貼り忘れたり、消印をしなかったりすると、過怠税がかかることがあります。紙の定款で会社設立を進める場合は、貼付と消印を忘れないようにしてください。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)
電子定款を作るのに必要なもの

電子定款を作るには、電子署名をつけるための環境が必要です。定款のファイルに、作成者本人のものであることを示す電子的な署名を施します。
必要になるのは、電子証明書が入ったマイナンバーカードなど、ICカードリーダー、そして電子署名に対応したソフトです。加えて、公証役場や法務局のシステムに合わせた形式でファイルを作る必要があります。
日本で会社設立をする外国人が、これらを一から用意するのは手間がかかります。マイナンバーカードは住民登録がある人が取得できますが、電子証明書の設定や、ソフトの操作は日本語で行うことになります。
- 電子証明書マイナンバーカードに搭載されているものを使います。住民登録が必要です。
- ICカードリーダーカードを読み取る機器です。購入する必要があります。
- 対応ソフトPDFに電子署名をつけるソフトが必要です。
- 提出の方法公証役場や登記のシステムに合わせた形で送ります。
1回きりの会社設立のためにこれらをそろえるのは、費用と手間の面で見合わないことが多くあります。そのため、専門家に依頼する方法が一般的になっています。
マイナンバーカードの取得には、申請から交付まで数週間かかることがあります。会社設立を急いでいる場合、この時間が問題になります。外国人が日本で会社設立をするときは、カードの有無を早い段階で確認してください。
また、電子証明書には有効期限があります。カードを持っていても、証明書が失効していると使えません。使う前に確認してください。
このセクションの根拠:法務省「登記・供託オンライン申請システム」(https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/)
03専門家に依頼する場合

電子定款の作成は、司法書士や行政書士に依頼するのが一般的です。専門家は電子署名の環境を持っているため、追加の準備なしに作成できます。
依頼の報酬が4万円未満であれば、紙の定款を自分で作るより安くなる計算です。会社設立をまとめて依頼する場合、電子定款の作成が含まれていることが多くあります。
見積もりを取るときは、電子定款に対応しているかを確認してください。対応していない事務所に依頼すると、収入印紙4万円が別にかかることになります。
外国人が日本で会社設立をする場合、定款の作成そのものも依頼したいことが多いと思います。内容の相談と電子定款の作成をまとめて頼めば、手間が減ります。
報酬の相場は事務所によって幅があります。定款の作成だけを頼む場合と、会社設立をまとめて頼む場合でも変わります。日本で会社設立をする外国人が複数の事務所から見積もりを取るときは、含まれる作業の範囲をそろえて比べてください。
依頼をするときは、会社設立の全体を任せるのか、定款だけを頼むのかも決めてください。定款だけ作ってもらい、登記は自分で申請するという分け方もできます。外国人が日本で会社設立をする場合、書類の日本語に不安があれば、登記まで任せるほうが確実です。
このセクションの根拠:中小企業基盤整備機構「J-Net21 起業支援」(https://j-net21.smrj.go.jp/startup/index.html)
株式会社の場合の流れ

株式会社の場合、電子定款であっても公証人の認証は必要です。電子的な方法で定款を送り、認証を受けます。
認証を受けたあと、認証済みの定款を受け取ります。電子ファイルで受け取る形と、書面で交付を受ける形があります。登記の申請に使う分をどうするかは、依頼先に確認してください。
認証の手数料は、電子定款でも紙の定款でも同じです。資本金の額によって3万円から5万円、条件を満たす場合は1万5,000円とされています。日本で会社設立をする外国人が節約できるのは、収入印紙の4万円の部分です。
謄本の交付手数料は1ページ250円とされています。必要な枚数を、認証のときに合わせて依頼してください。
電子定款で認証を受ける場合、公証役場とのやり取りもオンラインで進むことがあります。テレビ電話での認証に対応している公証役場もあります。日本で会社設立をする外国人が遠方にいる場合、この方法が使えるか確認してみてください。
認証済みの定款を電子ファイルで受け取った場合、そのファイルをどう保管するかを決めておいてください。会社設立の後、法人口座の開設や在留資格の申請で写しを求められます。印刷したものも一部作っておくと便利です。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「会社の定款認証手数料の改定」(https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee)
合同会社の場合の流れ

合同会社の場合、定款の認証がありません。電子定款を作ったら、そのまま登記の添付書類として使います。
登記の申請をオンラインで行う場合、電子定款をそのまま添付できます。書面で申請する場合は、電子定款を印刷したものを使う形になります。取り扱いは法務局に確認してください。
外国人が日本で会社設立をして合同会社を選ぶ場合、電子定款にすることで、認証手数料も収入印紙もかからない形になります。設立時の法定費用は登録免許税だけになり、最低6万円で済みます。
合同会社の登記をオンラインで申請する場合、登録免許税を電子納付できることがあります。収入印紙を買いに行く手間が省けます。外国人が日本で会社設立をするとき、こうした細かい手間の差も積み重なります。
このセクションの根拠:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)
SECTION 06外国人が発起人の場合の電子署名

電子定款には、発起人の電子署名が必要になります。日本に住民登録がある外国人であれば、マイナンバーカードを取得して電子証明書を使える場合があります。
住民登録がない場合は、電子署名ができません。その場合の扱いは、専門家が代理で作成する形や、紙の定款で進める形など、事案によって変わります。
実務では、専門家が電子定款を作成し、発起人からは委任を受けるという形が多く使われています。日本で会社設立をする外国人が海外にいる場合も、この方法が使えることがあります。
どの形が使えるかは、依頼する専門家と公証役場に確認してください。会社設立の準備を始める前に聞いておくと、日程が立てやすくなります。
なお、専門家が電子定款を作成する場合でも、定款の内容は依頼者が決めます。事業目的や資本金の額、役員の構成など、会社設立の中身については自分で判断することになります。電子定款は、あくまで作成の方法の話です。
電子定款で進める場合も、会社設立の日程は変わりません。定款の内容を決める時間、認証の予約、払込み、登記。工程そのものは同じです。電子か紙かは、費用と手間の違いにとどまります。
このセクションの根拠:法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html)
紙の定款を選ぶ場面

電子定款のほうが安くなるとはいえ、紙の定款を選ぶ場面もあります。
専門家に依頼せず自分で会社設立を進める場合、電子署名の環境をそろえるのが難しければ、紙で作ることになります。収入印紙4万円はかかりますが、手続きは自分で完結します。
また、発起人の状況によって電子署名が使えない場合もあります。日本で会社設立をする外国人が住民登録をしていない場合などです。
急いでいる場合も、紙のほうが早いことがあります。電子定款のやり取りに慣れていない事務所に依頼すると、かえって時間がかかることもあります。
もうひとつ、紙の定款には手元に原本が残るという安心感があります。電子ファイルの管理に不安がある場合、紙を選ぶ理由になることもあります。日本で会社設立をした外国人が、数年後に定款を探すという場面は実際にあります。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「日本公証人連合会」(https://www.koshonin.gr.jp/)
よくある質問

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。
電子定款にすると何が安くなりますか。
紙の定款に必要な収入印紙4万円がかかりません。認証手数料や登録免許税は変わりません。
自分で電子定款を作れますか。
電子署名の環境を用意すれば作れます。ただしマイナンバーカード、ICカードリーダー、対応ソフトなどが必要で、1回の会社設立のためにそろえるのは手間がかかります。専門家に依頼する方が一般的です。
合同会社でも電子定款は使えますか。
使えます。合同会社では定款の認証が不要ですが、定款そのものは作るため、紙にすれば収入印紙4万円が必要になります。電子定款にすればこれがかかりません。
この項目の根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)
09まとめ:4万円の差をどう判断するか

外国人が日本で会社設立をするときの電子定款について見てきました。仕組みそのものは単純で、紙の定款に必要な収入印紙4万円がかからないというものです。
- 自分で電子定款を作るには、電子署名の環境が必要になる
- 1回の会社設立のためにそろえるのは、費用と手間の面で見合わないことが多い
- 専門家に依頼し、その報酬が4万円未満なら、紙より安くなる
- 株式会社でも合同会社でも、電子定款にすれば収入印紙は不要
- 合同会社かつ電子定款が、法定費用としては最も安い組み合わせ
制度の細かい取り扱いは変わることがあります。会社設立の見積もりを取るときは、電子定款に対応しているかを必ず確認してください。定款の内容については司法書士や行政書士へご相談ください。
最後に補足すると、電子定款は会社設立の場面だけの話ではありません。定款を変更するときにも、同じように電子的な方法が使えることがあります。日本で会社設立をした外国人が、後で事業目的を変えるような場面でも関係してきます。
このセクションの根拠:日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料(定款認証)」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7)
読んでくださった方へ
電子定款という言葉は分かりにくいのですが、要するに「紙で作らなければ印紙税がかからない」という話です。仕組みが分かってしまえば、判断は簡単です。
日本で会社設立をする外国人の場合、専門家に依頼することが多いと思います。そのときに、電子定款に対応しているかだけ確認してみてください。
4万円は、事務所の1か月分の家賃に近い金額かもしれません。抑えられるところは抑えて、事業の資金に回してください。
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