留学生が日本で会社設立をする道|在学中と卒業後で変わる選択肢

この記事の対象
留学の在留資格で日本にいる外国人の方で、日本で会社設立をしたいと考えている方に向けた記事です。大学や専門学校の担当者にも読んでいただけます。
留学の在留資格は、教育機関で教育を受ける活動が認められたものです。会社設立そのものはできますが、その会社を経営していくには別の在留資格が必要になります。
以下は制度の整理です。個別の可否は事案によって判断されます。実際に動く前に、入管手続きに詳しい行政書士や、学校の担当部署へご相談ください。
留学の在留資格でできること

留学は、日本の教育機関で教育を受ける活動が認められた在留資格です。大学、大学院、専門学校、日本語教育機関などで学ぶ人が対象になります。
収入を伴う活動をするには、資格外活動の許可が必要です。包括的な許可では、1週について28時間以内、教育機関の長期休業期間中は1日について8時間以内という範囲が定められています。
会社設立をすること自体は、この範囲とは別の話です。会社の設立登記に、在留資格の種類による制限が条文上あるわけではありません。日本で会社設立をする留学生も、発起人になることはできます。
問題は、その会社を経営していく活動です。経営者として日常的に動くことは、留学で認められた活動の範囲にも、資格外活動の許可の範囲にも収まりません。
つまり、会社をつくることはできても、それを動かすには在留資格の変更が必要になります。この順番を押さえておいてください。
日本で学んでいる外国人が、そのまま日本で会社設立をしたいと考えるのは自然なことです。日本語も分かり、日本の生活にも慣れ、人のつながりもあります。制度の面での条件さえ整えば、有利な立場にいるとも言えます。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00003.html)
在学中にできる準備

在学中でも、事業を始めるための準備は進められます。事業計画を書く、市場を調べる、協力してくれる人を探す。こうした活動は収入を伴いません。
資金を貯めることも準備のひとつです。在留資格「経営・管理」では、2025年10月16日施行の改正で資本金等の額3,000万円以上という基準になりました。留学生にとって、これは大きな金額です。
日本で会社設立をしたい留学生にとって、この資金をどう用意するかが最大の課題になります。本国の家族からの支援、融資、共同での出資。方法を早めに検討してください。
学校の起業支援の窓口を使える場合もあります。大学によっては、起業を目指す学生を支援する仕組みがあります。相談してみてください。
また、日本語能力を高めておくことも準備になります。日本の大学等高等教育機関を卒業していることは、日本語能力の要件の示し方のひとつとされています。
日本の大学で学んだ内容が、事業の分野と関係していると説明しやすくなります。外国人が日本で会社設立をして在留資格を申請するとき、経歴の要件として学位が挙げられています。自分の専攻と事業の関係を整理しておいてください。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「スタートアップ関連施策」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/03_00070.html)
SECTION 03卒業のタイミングが分かれ目

留学の在留資格は、教育機関で学ぶことが前提です。卒業すると、その根拠がなくなります。
卒業後も日本にいるには、別の在留資格が必要になります。就職するなら技術・人文知識・国際業務など、起業するなら経営・管理などです。
日本で会社設立をして経営していくなら、「経営・管理」への変更を目指すことになります。ただし、2025年10月16日施行の改正後の基準を満たす必要があります。
基準を満たす準備が卒業までに整わない場合、準備の期間を確保するための制度を使える可能性があります。次の項で見ていきます。
いずれにしても、卒業の時期から逆算して計画を立てることになります。在学中から相談を始めておくと、選択肢が広がります。
卒業の時期は決まっています。そこから逆算すると、いつまでに何をすべきかが見えてきます。外国人が日本で会社設立をするための準備には、書類の取り寄せや専門家への依頼も含まれます。半年以上前から動き始めるつもりでいてください。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-2.html)
起業準備のための制度

卒業してすぐに「経営・管理」の基準を満たすのは、多くの留学生にとって難しいことです。準備の期間を確保するための制度があります。
外国人起業活動促進事業、いわゆるスタートアップビザという枠組みがあります。経済産業大臣の認定を受けた自治体で、起業の準備活動のための在留が認められる制度です。
出入国在留管理庁のページでは、外国人起業家として、この事業に関する案内が公表されています。日本で会社設立を目指す留学生にとって、使える可能性のある制度です。
また、スタートアップ関連施策として、在留資格に関する取り扱いが示されています。制度の内容は変わることがあるため、最新の情報を確認してください。
入管庁の資料では、経営・管理の改正にともなって、特定活動から経営・管理への変更許可申請の取り扱いについても説明されています。確認証明書の交付時期によって、当てはまる基準が変わるとされています。
制度を使う場合も、事業計画は必要になります。何をする事業なのか、どう進めるのか。日本で会社設立をしたい外国人にとって、この計画づくりはどの道を選んでも避けられない作業です。在学中から書き始めておいてください。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「外国人起業家(外国人起業活動促進事業)」(https://www.moj.go.jp/isa/03_00097.html)
資本金3,000万円という壁

2025年10月16日施行の改正で、在留資格「経営・管理」の基準に、資本金等の額3,000万円以上という条件が入りました。
留学生にとって、この金額は簡単ではありません。日本で会社設立をして経営に進む道は、以前より難しくなったと言えます。
用意の方法としては、本国の家族からの支援、融資、共同での出資などが考えられます。ただし、資金の出どころを説明できることが前提になります。
贈与を受ける場合、税務上の扱いも確認してください。日本に住所のある人が贈与を受けた場合、贈与税の対象になることがあります。
共同で出資する場合、誰が経営するのかをはっきりさせてください。留学生が日本で会社設立をして在留資格を申請するとき、経営の実態が問われます。
また、常勤職員1人以上の雇用も必要になりました。人件費も含めた資金計画を立てることになります。
外国人が日本で会社設立をするとき、資金の出どころは必ず確認されます。本国の家族から支援を受ける場合、その方の資力を示す資料も求められることがあります。早めに相談しておいてください。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf)
06就職してから起業するという道

卒業後にいったん就職して、数年働いてから起業するという道もあります。これは資金の面でも、経歴の面でも意味があります。
2025年10月16日施行の改正では、経歴の要件も加わりました。経営管理または申請に係る事業の業務に必要な技術または知識に係る分野に関する博士、修士もしくは専門職の学位を取得していること、または、事業の経営もしくは管理について3年以上の職歴を有することが求められます。
就職して経営や管理の経験を積めば、この職歴の要件を満たせる可能性があります。日本で会社設立をしたい留学生にとって、遠回りに見えて確実な道かもしれません。
働きながら資金を貯めることもできます。日本での取引先とのつながりもできます。事業を始めるときの土台になります。
ただし、就労系の在留資格のままで自分の会社を経営することはできません。独立する段階で、あらためて在留資格の変更を検討することになります。
就職してからの独立には、時間がかかります。ただ、日本での実務経験は事業の土台になります。外国人が日本で会社設立をして成功している例には、この道を通った方も多くいます。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html)
在学中に会社をつくる場合の注意

在学中に会社設立の登記を済ませておくという進め方もあります。卒業後にすぐ動けるようにするためです。
ただし、会社をつくることと、その会社を経営することは別です。留学の在留資格のままで経営を始めてしまうと、資格外の活動になるおそれがあります。
日本で会社設立をした留学生が、卒業を待たずに事業を始めてしまう例があります。取引が始まり、売上が立ってしまうと、後で説明が難しくなります。
また、会社が存在すれば、税務や社会保険の義務が生じます。法人住民税の均等割は、所得がなくてもかかります。動かさない会社を持ち続けると、費用だけがかかります。
事業を始める時期から逆算して、会社設立の時期を決めてください。早くつくればよいというものではありません。
在学中に登記だけ済ませておくかどうかは、事業を始める時期によります。外国人が日本で会社設立をする場合、会社を持つだけで費用が発生する点も考えてください。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「資格外活動の許可(入管法第19条)」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shikakugai_00001.html)
よくある質問

相談の場でよく出る質問を、この記事の内容に沿ってまとめました。事案によって結論は変わりますので、判断の材料としてお読みください。
留学中に会社をつくれますか。
会社の設立登記に、在留資格の種類による制限が条文上あるわけではありません。ただし、その会社を経営する活動は留学で認められた範囲に収まらないため、在留資格の変更が必要になります。
卒業後すぐに経営を始められますか。
在留資格「経営・管理」への変更が認められてからになります。2025年10月16日施行の改正後は、資本金等の額3,000万円以上、常勤職員1人以上の雇用などが基準になっています。
資金が足りない場合はどうすればよいですか。
起業の準備期間のための制度を検討する、いったん就職して資金と経歴を積む、共同で出資するなどの道が考えられます。事案によって選べる方法が変わるため、行政書士へご相談ください。
この項目の根拠:出入国在留管理庁「「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00003.html)
SECTION 09まとめ:卒業から逆算して設計する

留学の在留資格で日本にいる外国人が会社設立を目指すときの道すじを見てきました。在学中と卒業後で、できることが変わります。
- 在学中は、事業計画づくりと資金の準備を進める。経営は始めない
- 卒業の時期から逆算して、次の在留資格を設計する
- 「経営・管理」を目指すなら、資本金3,000万円と常勤職員1人以上が基準になる
- 準備の期間が必要なら、起業準備のための制度を検討する
- 就職してから独立するという道もある。職歴の要件を満たせる可能性がある
個別の可否は事案によって判断されます。この記事は制度の整理です。実際に動く前に、入管手続きに詳しい行政書士や、学校の担当部署へご相談ください。
このセクションの根拠:出入国在留管理庁「スタートアップ関連施策」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/03_00070.html)
読んでくださった方へ
日本で学んで、そのまま日本で事業を始めたいという気持ちは、とても自然なものだと思います。ただ、制度の面では準備が必要になります。
2025年の改正で、資本金の基準は高くなりました。すぐには難しいかもしれませんが、道がなくなったわけではありません。
在学中から相談を始めてください。早く動くほど、選べる道は多く残ります。学校の窓口や、行政書士に聞いてみてください。
この記事は役に立ちましたか?
押した数は同じ端末では二重に数えません。内容の誤りや制度変更に気づいた方は、お問い合わせページからご連絡ください。




